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ダイブ5 コンスタンティノープル陥落の巻 〜 ヴラド・ツェペッシュ編 〜
第79話 全面戦争はじまる!
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レオンは波紋のように広がっていくこの勝利の声に、トルコ軍がまちがいなく怯むと確信した。ふっと晴れがましい気持ちが胸をつきあげる。
これが自分の力なのだ——。
ロルフが自分のこの唯一無二の力を頼りにしている、という意味が、あらためてわかったような気がする。
「なんとすごい!。これではどんなに巨大な大砲も、どんな大量の弓矢もまったく歯がたたないではないか!」
ヴラドとともに戦況を見守っていたハンガリー王、マーチャーシュが感嘆の声をあげると、モルダヴィア王シュテファンが顔を輝かせた。
「ヴラド、きみがイスタンブールを陥落するなぞと嘯くわけだ。こんなにもすごい防衛能力をお持ちとは……」
ふたりの王にそう絶賛されると、ヴラドはレオンの肩をかるく叩いて言った。
「あぁ、このレオンという男は、一万の守備兵より心強い」
ヴラドの誇らしげな話っぷりに、レオンはたちまち気分がよくなった。
ドオォォンと耳を聾するような音がして、空気がびりつく。
ロルフは城壁への『風の刃』攻撃を緩めようとはしなかった。テオドシウスの城壁は、外壁、内壁かまわず、穴が次々と穿たれていく。もう『刃』というより『爆弾』や『ミサイル』といったほうがいいほどにすら思える。
その凄まじい攻撃に勇気づけられるようにして、数万もの十字軍兵士たちが一気に城壁ににむかって突撃していった。
それを迎え撃つべく、トルコ軍も城門を開け、準備していた兵たちを一気に投入する。
イカレ集団のボシボズク、重歩兵部隊《トプチュ》、鎧兵部隊、騎馬兵団、外国人の傭兵、そして精鋭集団のイェニチェリなど、メフメト二世は出し惜しみをすることがなかった。
両軍から発せられる鬨の声は、壁面にぶつかり、大音声となってあたりにこだまする。
テオドシウスの城壁をのぞむ戦場を、埋め尽くさんばかりに展開した両軍の兵たちは、さながら荒れ狂った流れに翻弄されるがままの瓦礫のように、数万の兵士があらゆるところで激突しあった。
彼ら自身もだれとどのように戦っているのかわからないなかで、ただ目の前に現れた敵を脊髄反射的に殺しあっていた。すでに自分たちでは、戦い方の判断もできないほど、戦いの波に飲まれているように見える。
遠くから見ていると、音の濁流が戦場に渦巻いているだけのようですらある。
これが自分の力なのだ——。
ロルフが自分のこの唯一無二の力を頼りにしている、という意味が、あらためてわかったような気がする。
「なんとすごい!。これではどんなに巨大な大砲も、どんな大量の弓矢もまったく歯がたたないではないか!」
ヴラドとともに戦況を見守っていたハンガリー王、マーチャーシュが感嘆の声をあげると、モルダヴィア王シュテファンが顔を輝かせた。
「ヴラド、きみがイスタンブールを陥落するなぞと嘯くわけだ。こんなにもすごい防衛能力をお持ちとは……」
ふたりの王にそう絶賛されると、ヴラドはレオンの肩をかるく叩いて言った。
「あぁ、このレオンという男は、一万の守備兵より心強い」
ヴラドの誇らしげな話っぷりに、レオンはたちまち気分がよくなった。
ドオォォンと耳を聾するような音がして、空気がびりつく。
ロルフは城壁への『風の刃』攻撃を緩めようとはしなかった。テオドシウスの城壁は、外壁、内壁かまわず、穴が次々と穿たれていく。もう『刃』というより『爆弾』や『ミサイル』といったほうがいいほどにすら思える。
その凄まじい攻撃に勇気づけられるようにして、数万もの十字軍兵士たちが一気に城壁ににむかって突撃していった。
それを迎え撃つべく、トルコ軍も城門を開け、準備していた兵たちを一気に投入する。
イカレ集団のボシボズク、重歩兵部隊《トプチュ》、鎧兵部隊、騎馬兵団、外国人の傭兵、そして精鋭集団のイェニチェリなど、メフメト二世は出し惜しみをすることがなかった。
両軍から発せられる鬨の声は、壁面にぶつかり、大音声となってあたりにこだまする。
テオドシウスの城壁をのぞむ戦場を、埋め尽くさんばかりに展開した両軍の兵たちは、さながら荒れ狂った流れに翻弄されるがままの瓦礫のように、数万の兵士があらゆるところで激突しあった。
彼ら自身もだれとどのように戦っているのかわからないなかで、ただ目の前に現れた敵を脊髄反射的に殺しあっていた。すでに自分たちでは、戦い方の判断もできないほど、戦いの波に飲まれているように見える。
遠くから見ていると、音の濁流が戦場に渦巻いているだけのようですらある。
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