403 / 935
ダイブ5 コンスタンティノープル陥落の巻 〜 ヴラド・ツェペッシュ編 〜
第51話 掴まえる?。それあとにしてもらっていい?
しおりを挟む
「ちょっと、やらかしちゃったみたいね、あたし。で、おじさんたち、どうするつもり?」
「おまえを掴まえる」
「掴まえる?。ごめんなさい。それあとにしてもらっていいかしら?。あたしが司令官の首をちょん切ってからで……」
「なにぃ!」
取り囲んだ兵士たちが、一斉に気色ばんだ。と同時に兵士たちが腰から剣を引き抜いて、いつでも斬りかかれるように正面に構えはじめる。
が、マリアの剣はそれより速かった。
地面を踏みぬかんばかりに力をこめてジャンプすると、正面の大柄の兵士に飛びかかっていった。兵士の首をめがけて、マリアがてぶらのまま右腕を大振りする。
「ここを抜けられるものかぁ!」
正面の兵士はそう叫んだ。が、マリアの振り回した腕がその兵士の首元に近づいたときには、マリアの手はすでに具現化させた剣を握っていた。
次の瞬間にはその頭は、そのへらず口ごと刎ね飛ばされていた。
兵士の首から血柱がふきあがり、ぐらりと倒れていく。マリアはすぐさまその倒れかけた兵士の両肩に、足をかけて、思いっきり上に飛び上がった。
仲間があっという間に殺られて、周りの兵士たちが浮き足立った。剣を構えたまま、マリアの姿を目で追いかけて上をみあげる。
そこへ風が吹いてきた。
ロルフが放ってきた、弾丸のような風の飛礫。それが地面を這うようにして吹いてきて、兵士たちの足元をすくった。誰彼かまわずあたりにいた兵の足の肉を切り裂き、脚の骨をへし折る。
マリアが地面に降りたったときには、周りにいた兵士たちは軒並み、その場に転倒したまま呻き苦しんでいた。人だけではない。あたりの幕舎は崩れたり破られていたし、係留していた馬も犠牲になっていた。
隠密で行動したいたはずが、まるで台風にでも直撃されたようなあたりの有り様を見て、マリアはため息をついた。
まったく……、ロルフったら派手にやりすぎったらない。
さいごのエリアは面倒なことになりそうね。
マリアはそう覚悟したが、鎧兵部隊と騎馬兵団たちの駐屯エリアを向けたところで、覚悟した以上の兵士たちが待ち構えていることがわかった。赤い服、頭にターバン、そして腹にサッシュという出で立ち。
イェニチェリだった——。
彼らは容赦がなかった。騎馬兵団らとちがい、マリアになにかを尋ねることも、なにかを伝えることもなく、いきなり斬りかかってきた。一度に十人以上が一気に剣を抜いて、マリアのほうへ飛び込んでくる。機敏な動きと訓練されたフォーメーションで、マリアに逃げ場を与えない。
何本もの刃が、一斉にマリアのほうへ突き出され、横に振り向かれ、上から突き立てようとしてきた。
「ちょっとは遠慮しなさい!」
「おまえを掴まえる」
「掴まえる?。ごめんなさい。それあとにしてもらっていいかしら?。あたしが司令官の首をちょん切ってからで……」
「なにぃ!」
取り囲んだ兵士たちが、一斉に気色ばんだ。と同時に兵士たちが腰から剣を引き抜いて、いつでも斬りかかれるように正面に構えはじめる。
が、マリアの剣はそれより速かった。
地面を踏みぬかんばかりに力をこめてジャンプすると、正面の大柄の兵士に飛びかかっていった。兵士の首をめがけて、マリアがてぶらのまま右腕を大振りする。
「ここを抜けられるものかぁ!」
正面の兵士はそう叫んだ。が、マリアの振り回した腕がその兵士の首元に近づいたときには、マリアの手はすでに具現化させた剣を握っていた。
次の瞬間にはその頭は、そのへらず口ごと刎ね飛ばされていた。
兵士の首から血柱がふきあがり、ぐらりと倒れていく。マリアはすぐさまその倒れかけた兵士の両肩に、足をかけて、思いっきり上に飛び上がった。
仲間があっという間に殺られて、周りの兵士たちが浮き足立った。剣を構えたまま、マリアの姿を目で追いかけて上をみあげる。
そこへ風が吹いてきた。
ロルフが放ってきた、弾丸のような風の飛礫。それが地面を這うようにして吹いてきて、兵士たちの足元をすくった。誰彼かまわずあたりにいた兵の足の肉を切り裂き、脚の骨をへし折る。
マリアが地面に降りたったときには、周りにいた兵士たちは軒並み、その場に転倒したまま呻き苦しんでいた。人だけではない。あたりの幕舎は崩れたり破られていたし、係留していた馬も犠牲になっていた。
隠密で行動したいたはずが、まるで台風にでも直撃されたようなあたりの有り様を見て、マリアはため息をついた。
まったく……、ロルフったら派手にやりすぎったらない。
さいごのエリアは面倒なことになりそうね。
マリアはそう覚悟したが、鎧兵部隊と騎馬兵団たちの駐屯エリアを向けたところで、覚悟した以上の兵士たちが待ち構えていることがわかった。赤い服、頭にターバン、そして腹にサッシュという出で立ち。
イェニチェリだった——。
彼らは容赦がなかった。騎馬兵団らとちがい、マリアになにかを尋ねることも、なにかを伝えることもなく、いきなり斬りかかってきた。一度に十人以上が一気に剣を抜いて、マリアのほうへ飛び込んでくる。機敏な動きと訓練されたフォーメーションで、マリアに逃げ場を与えない。
何本もの刃が、一斉にマリアのほうへ突き出され、横に振り向かれ、上から突き立てようとしてきた。
「ちょっとは遠慮しなさい!」
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる