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ダイブ5 コンスタンティノープル陥落の巻 〜 ヴラド・ツェペッシュ編 〜
第15話 長老アルバは斬首した?。ダン三世を生き埋めにした?
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「お嬢さん!。その剣をどけていただけますか」
さきほど処刑を指示した優しげな顔の男が、静かだがとても威圧的な声で言った。剣を引き抜き身構えていたが、その顔にはまだ若干の笑みが残って見えた。
「おじさん、そんなにこわい声で言われたら、あたし、手がふるえてしまってよ」
マリアはわざとそう言って挑発すると、ヴラドの首にさらに刃をつよく押し当てた。まわりの臣下や兵たちが思わず剣を構え直す。
だが、その男はまったく微動だにしなかった。マリアはその男の顔を見あげた。
主君の危機を目の前にしているのに、顔にはあいかわらず微笑みが浮かんでいる。だがその目には冷徹さが感じられた。料理のメニューをオーダーするくらいの気まぐれさで、処刑方法を決めるようなそんな冷たさがあった。
「あのおじさんはだぁれ?」
マリアがヴラドの耳元に口をよせて尋ねると、ヴラドは首に押しつけられた刃に気をとめる様子もなく答えた。
「あやつはわたしの腹心、軍事監視官のコンスタンティン・ストイカ将軍だ」
「そう、じゃあ、ストイカさんに剣をひくように命じていただける?」
「ふ、ストイカの剣が怖くなったか?」
「ちがいましてよ。あの人だけは本気で斬りかかってくるってわかるからなの。でもそうなったら、あたし、あなたの首を絶対に刎ねちゃうと思うから……」
マリアはにっこりとヴラドに微笑んでみせた。ヴラドは一度唾を飲み込んでから、片手をあげてストイカを制した。
「ストイカ。剣をしまえ」
その鷹揚としたヴラドの態度に、ストイカが剣をおさめると、まわりの臣下たちもそれに従った。
マリアはゆっくりとヴラドの首元から剣を引き離した。
「小娘。貴様の名前はなんと言う?」
ヴラドはふりむこうともせずマリアに尋ねた。
「あたし?。あたしはマリア・フォン・トラップよ」
「では、マリアよ。貴様たちはなんのためにここに来た?」
「その前に聞いていい?。今がいつ頃か教えてくれないかしら?」
ヴラドは鋭い視線だけをマリアにむけた。自分の質問に答えもせず、質問を返してきたのに腹をたてたのかもしれなかった。が、マリアは気にせず続けた。
「もう長老のアルバは斬首されました?。それとも王の座を狙うダン三世は生き埋めにされたあとかしら?」
ヴラドはそれを聞き流すように表情を替えなかったが、周りを取り巻いている臣下や兵たちがどよめいた。
マリアは可愛らしい仕草にみえるように、大きく首を傾げてみせて尋ねた。
「それとも、もうトルコのスルタン、メフメト二世と開戦しちゃったかしら?」
屈託のない言い方だったが、そのことばにヴラドの顔色が変わった。あからさまな表情の変化こそコントロールしきったが、顔のこわばりは隠しきれなかった。
「マリアと言ったな。おまえは何者だ?」
ヴラドは目だけをマリアにむけて言った。
「ドラキュラのおじさん、ちゃんと人の言うことは聞いてよね。最初から言ってるでしょ……」
「未来から来たって」
さきほど処刑を指示した優しげな顔の男が、静かだがとても威圧的な声で言った。剣を引き抜き身構えていたが、その顔にはまだ若干の笑みが残って見えた。
「おじさん、そんなにこわい声で言われたら、あたし、手がふるえてしまってよ」
マリアはわざとそう言って挑発すると、ヴラドの首にさらに刃をつよく押し当てた。まわりの臣下や兵たちが思わず剣を構え直す。
だが、その男はまったく微動だにしなかった。マリアはその男の顔を見あげた。
主君の危機を目の前にしているのに、顔にはあいかわらず微笑みが浮かんでいる。だがその目には冷徹さが感じられた。料理のメニューをオーダーするくらいの気まぐれさで、処刑方法を決めるようなそんな冷たさがあった。
「あのおじさんはだぁれ?」
マリアがヴラドの耳元に口をよせて尋ねると、ヴラドは首に押しつけられた刃に気をとめる様子もなく答えた。
「あやつはわたしの腹心、軍事監視官のコンスタンティン・ストイカ将軍だ」
「そう、じゃあ、ストイカさんに剣をひくように命じていただける?」
「ふ、ストイカの剣が怖くなったか?」
「ちがいましてよ。あの人だけは本気で斬りかかってくるってわかるからなの。でもそうなったら、あたし、あなたの首を絶対に刎ねちゃうと思うから……」
マリアはにっこりとヴラドに微笑んでみせた。ヴラドは一度唾を飲み込んでから、片手をあげてストイカを制した。
「ストイカ。剣をしまえ」
その鷹揚としたヴラドの態度に、ストイカが剣をおさめると、まわりの臣下たちもそれに従った。
マリアはゆっくりとヴラドの首元から剣を引き離した。
「小娘。貴様の名前はなんと言う?」
ヴラドはふりむこうともせずマリアに尋ねた。
「あたし?。あたしはマリア・フォン・トラップよ」
「では、マリアよ。貴様たちはなんのためにここに来た?」
「その前に聞いていい?。今がいつ頃か教えてくれないかしら?」
ヴラドは鋭い視線だけをマリアにむけた。自分の質問に答えもせず、質問を返してきたのに腹をたてたのかもしれなかった。が、マリアは気にせず続けた。
「もう長老のアルバは斬首されました?。それとも王の座を狙うダン三世は生き埋めにされたあとかしら?」
ヴラドはそれを聞き流すように表情を替えなかったが、周りを取り巻いている臣下や兵たちがどよめいた。
マリアは可愛らしい仕草にみえるように、大きく首を傾げてみせて尋ねた。
「それとも、もうトルコのスルタン、メフメト二世と開戦しちゃったかしら?」
屈託のない言い方だったが、そのことばにヴラドの顔色が変わった。あからさまな表情の変化こそコントロールしきったが、顔のこわばりは隠しきれなかった。
「マリアと言ったな。おまえは何者だ?」
ヴラドは目だけをマリアにむけて言った。
「ドラキュラのおじさん、ちゃんと人の言うことは聞いてよね。最初から言ってるでしょ……」
「未来から来たって」
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