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ダイブ4 古代オリンピックの巻 〜 ソクラテス・プラトン 編 〜
第234話 わたしの名前はゾーイ・クロニスです1
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『わたしの名前はゾーイ・クロニスです』
首から下げた音声翻訳器から自己紹介の声が発せられた。
場所は近くのファスト・フードショップの一角だったが、セイたちに囲まれてゾーイはすこし緊張していた。はじめての日本だったし、目の前にいる本人たちがあちらの世界と寸分たがわぬ、何の加工もしていない姿だったからだ。
こちらがアバターと割り切って姿や形に若干加工をほどこしているのと大違いだ。
「ゾーイ、今日の朝、日本に着いたってよ」
マリアがセイに事情を説明しはじめた。
「スピロはわけあってこれねぇから、今回はゾーイだけなんだが、こいつ日本の制服に昔からあこがれていて、どうしても制服を着たいっていうんで……」
「わたしがお貸しいたしましたわ」
エヴァがこれみよがしな口調で言った。
「なにせ、マリアさんのは小さすぎますし、かがりさんのは胸のあたりが少々窮屈になりすぎますしね」
「ちょ、ちょっとぉ、エヴァ、なんてことを」
かがりがエヴァの腕をひっぱって抗議をする。
ゾーイはかかりの顔をまぶしそうに見た。
これがセイのガールフレンド——。
マリアをして『敵うわけない』と言わせしめたセイの拠り所。
エヴァにからかわれ口をとがらせてみせる、その仏頂面のなんと自然なことか。
同性のゾーイからみてもとても可愛いらしくみえる。
「ゾーイ。君にあえてうれしいよ」
セイがにこやかな笑顔をむけてきた。
とたんにドキンと拍動がはねあがる。ペガサスの戦車の上で力いっぱい抱きしめられた時のことをつい思いだす。
「それにしても、すこしばかりあちらの世界とちがうな。ゾーイ、ずいぶん女らしくなってるぞ」
マリアがセンシティブな疑問を遠慮なく訊いてくる。こういうところはまったくマリアらしい。
『はい。わたしも兄も現実世界とは異なる姿です。なりたい姿を選んでいます』
「かーっ。その手があったか。オレも背が高いキャラにすればよかったかも」
「あら、今からでも遅くないのでしょう。すらりとして八頭身美女にされては」
マリアの嘆きをエヴァが皮肉交じりに一刀両断した。
「いまさらできるかよ。みっともない。それにこの小さな体もなにかと役に立つんでな。肩車してもらえるしな」
ゾーイは思わずくすりと笑った。
「おい、なんだゾーイ。なにがおかしい」
『すみません。ふたりはコチラの世界でも変わらないのですね』
「は、悪かったな。それよりゾーイ、おまえの丁寧なことば使いの方が気になってしかたねぇ」
「それは、この翻訳機の性能のせいです」
「なんだよ、おまえ能力者だろ。そんなモン使わずテレパシーかなんかで会話してくれよ」
ゾーイはそれを聞きながら赤面する思いだった。あわてて手で弁解する。
『すこし待って下さい。姉は何を言ったのでしょうか。私の超能力はそんなスゴくありません』
首から下げた音声翻訳器から自己紹介の声が発せられた。
場所は近くのファスト・フードショップの一角だったが、セイたちに囲まれてゾーイはすこし緊張していた。はじめての日本だったし、目の前にいる本人たちがあちらの世界と寸分たがわぬ、何の加工もしていない姿だったからだ。
こちらがアバターと割り切って姿や形に若干加工をほどこしているのと大違いだ。
「ゾーイ、今日の朝、日本に着いたってよ」
マリアがセイに事情を説明しはじめた。
「スピロはわけあってこれねぇから、今回はゾーイだけなんだが、こいつ日本の制服に昔からあこがれていて、どうしても制服を着たいっていうんで……」
「わたしがお貸しいたしましたわ」
エヴァがこれみよがしな口調で言った。
「なにせ、マリアさんのは小さすぎますし、かがりさんのは胸のあたりが少々窮屈になりすぎますしね」
「ちょ、ちょっとぉ、エヴァ、なんてことを」
かがりがエヴァの腕をひっぱって抗議をする。
ゾーイはかかりの顔をまぶしそうに見た。
これがセイのガールフレンド——。
マリアをして『敵うわけない』と言わせしめたセイの拠り所。
エヴァにからかわれ口をとがらせてみせる、その仏頂面のなんと自然なことか。
同性のゾーイからみてもとても可愛いらしくみえる。
「ゾーイ。君にあえてうれしいよ」
セイがにこやかな笑顔をむけてきた。
とたんにドキンと拍動がはねあがる。ペガサスの戦車の上で力いっぱい抱きしめられた時のことをつい思いだす。
「それにしても、すこしばかりあちらの世界とちがうな。ゾーイ、ずいぶん女らしくなってるぞ」
マリアがセンシティブな疑問を遠慮なく訊いてくる。こういうところはまったくマリアらしい。
『はい。わたしも兄も現実世界とは異なる姿です。なりたい姿を選んでいます』
「かーっ。その手があったか。オレも背が高いキャラにすればよかったかも」
「あら、今からでも遅くないのでしょう。すらりとして八頭身美女にされては」
マリアの嘆きをエヴァが皮肉交じりに一刀両断した。
「いまさらできるかよ。みっともない。それにこの小さな体もなにかと役に立つんでな。肩車してもらえるしな」
ゾーイは思わずくすりと笑った。
「おい、なんだゾーイ。なにがおかしい」
『すみません。ふたりはコチラの世界でも変わらないのですね』
「は、悪かったな。それよりゾーイ、おまえの丁寧なことば使いの方が気になってしかたねぇ」
「それは、この翻訳機の性能のせいです」
「なんだよ、おまえ能力者だろ。そんなモン使わずテレパシーかなんかで会話してくれよ」
ゾーイはそれを聞きながら赤面する思いだった。あわてて手で弁解する。
『すこし待って下さい。姉は何を言ったのでしょうか。私の超能力はそんなスゴくありません』
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