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ダイブ4 古代オリンピックの巻 〜 ソクラテス・プラトン 編 〜
第210話 これがセイの戦い方!
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ゾーイはその様子に目を奪われた。
が、それと同時にそれ以外のほとんどの刀が、地上にいる怪物たちめがけて急降下していく様子もかいま見えた。
競馬場の敷地いっぱいにひろがって落ちて行く。
まるで日本刀の雨——。
下にいる怪物たちには避けようもない。
これがセイの戦い方——。
ゾーイはセイの圧倒的物量の勝負に、わくわくしている自分がいるのに気づいた。
だが、それだけではないとすぐに気づかされた。
セイは刀の階段を駆け降りながら、帯刀した自分の刀を振り上げた。だがセイの目の前になにかがいるわけではない。意味がわからずゾーイは呆気にとられたが、セイは一気に数段飛ばしで跳躍すると、その剣を空中で上から斜め下にむけて袈裟懸けしてみせた。
その瞬間、急降下していた膨大な数の刀が、セイがみせた太刀筋そのままに上段にふりあがった。
そして、ちかくにいる怪物にむかって一斉に斬りこんでいった。
「うそ……」
何千もの日本刀がセイが描いた鋭い剣筋の軌跡をトレースする圧巻の光景に、ゾーイの口からおもわず驚嘆の声がついてでる。
そのひと振りで、その場にいた怪物の三分の一ほどがその場に崩れ落ちた。
セイはその間に剣の階段の下段に達していた。あと数段というところでセイは残り全部の段を飛ばして、地面にむかって飛び降りた。と同時に空中を舞いながら今度は剣を引き戻し、左側から右側に水平に薙ぐように太刀をふるった。セイが刀をふりきったと同時に、セイの足は地面に踏み込んでいた。からだをぐっと沈み込ませるセイ。
膨大な数の刀が水平に振るわれ、さらに三分の一ほどの怪物が屠られた。
なんという力——。
ゾーイは自分の足がガクガクと震えているのに気づいた。セイの容赦のない力を目の当たりにして、もうわくわくどころでは済まなくなっていた。
まるで全能の神、ゼウスがここに降臨したのかと思うほどに圧倒されていた。
ゾーイはふらふらとした足で御者台の前のほうへ進めると馬たちにむかって言った。
「なあ、おまえたちも見ただろう。マリアさんがね、『あいつと一緒に旅すりゃ、誰だって好きになっちまう』って言ってたのさ」
ゾーイはおおきくため息を吐いて言った。
「たしかにマリアさんの言う通りだね」
が、それと同時にそれ以外のほとんどの刀が、地上にいる怪物たちめがけて急降下していく様子もかいま見えた。
競馬場の敷地いっぱいにひろがって落ちて行く。
まるで日本刀の雨——。
下にいる怪物たちには避けようもない。
これがセイの戦い方——。
ゾーイはセイの圧倒的物量の勝負に、わくわくしている自分がいるのに気づいた。
だが、それだけではないとすぐに気づかされた。
セイは刀の階段を駆け降りながら、帯刀した自分の刀を振り上げた。だがセイの目の前になにかがいるわけではない。意味がわからずゾーイは呆気にとられたが、セイは一気に数段飛ばしで跳躍すると、その剣を空中で上から斜め下にむけて袈裟懸けしてみせた。
その瞬間、急降下していた膨大な数の刀が、セイがみせた太刀筋そのままに上段にふりあがった。
そして、ちかくにいる怪物にむかって一斉に斬りこんでいった。
「うそ……」
何千もの日本刀がセイが描いた鋭い剣筋の軌跡をトレースする圧巻の光景に、ゾーイの口からおもわず驚嘆の声がついてでる。
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なんという力——。
ゾーイは自分の足がガクガクと震えているのに気づいた。セイの容赦のない力を目の当たりにして、もうわくわくどころでは済まなくなっていた。
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「なあ、おまえたちも見ただろう。マリアさんがね、『あいつと一緒に旅すりゃ、誰だって好きになっちまう』って言ってたのさ」
ゾーイはおおきくため息を吐いて言った。
「たしかにマリアさんの言う通りだね」
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