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ダイブ4 古代オリンピックの巻 〜 ソクラテス・プラトン 編 〜
第194話 タルディス、そいつにとびのれ
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マリアは引寄せられるように集まってくる怪物を見渡してから、上空にホバリング状態で待機しているエヴァのバイクを見あげてきた。
その目がエヴァに訴えかけていた。
エヴァはマリアのしたいことがわかった。
エヴァは、はぁーと、あきらめの入り交じったため息を吐いた。下にいるマリアにむかって恨みがましい目をむけてから、バイクの高度を下げていった。ゆっくり慎重に。
怪物に気づかれてはならない。
だが、その高度はミノタウロスのような巨人でなくとも手が届く位置に達した。もっとも危険な高さだ。エヴァはマリアに目で促した。
「タルディス、どうすればいいかおしえてやる」
マリアが叫んだ。その瞬間、タルディスの周りを囲っていた剣が、ぱっと外側に開いて一気に飛びちった。周りを取り囲んでいた怪物に剣が直撃する。
マリアがタルディスの手を掴み、ひっぱりだした。
「今だ。タルディス、そいつにとびのれ」
地面すれすれまで降下してきたエヴァのバイクの後部シートに、マリアがタルディスを押し込むように乗せた。エヴァはタルディスの重みでバイクがうしろに傾いた感触を感じるやいなや、一気にスロットルをひねってバイクを急上昇させた。
が、遅かった——。
地上から数メートル上昇したところで、巨人族から車体前方のカウルに手をかけられた。巨人族はバイクを地上に引き戻そうとする。さらに今度は後方を別の怪物が掴みかかった。
エヴァがエンジンを吹かす。
バイクがじりじりと上昇した。が、巨人族のからだも一緒に浮かびはじめる。その足をケンタウロス、そしてそのほかのよく名前もわからない怪物がつかむ。
ぐっと車体が下方にひっぱられた。
「マリアさん!」
エヴァが叫ぶと、地上のマリアがすぐさま名前のわからない怪物を叩き切った。ふいに前方にかかっていたテンションが緩み、バイクがうしろにのけ反る。そのあおりで後部座席に座っていたタルディスのからだが中空に投げ出された。が、エヴァがすぐさま手を伸ばし、なんとかタルディスの腕をつかんだ。が、今度はタルディスの重みで、車体が左側に傾いていく。
「こら!、タルディス、落ちんなよ。落ちたら叩き斬るからな!」
下の方からマリアの荒くれた脅し文句が聞こえてきた。
その目がエヴァに訴えかけていた。
エヴァはマリアのしたいことがわかった。
エヴァは、はぁーと、あきらめの入り交じったため息を吐いた。下にいるマリアにむかって恨みがましい目をむけてから、バイクの高度を下げていった。ゆっくり慎重に。
怪物に気づかれてはならない。
だが、その高度はミノタウロスのような巨人でなくとも手が届く位置に達した。もっとも危険な高さだ。エヴァはマリアに目で促した。
「タルディス、どうすればいいかおしえてやる」
マリアが叫んだ。その瞬間、タルディスの周りを囲っていた剣が、ぱっと外側に開いて一気に飛びちった。周りを取り囲んでいた怪物に剣が直撃する。
マリアがタルディスの手を掴み、ひっぱりだした。
「今だ。タルディス、そいつにとびのれ」
地面すれすれまで降下してきたエヴァのバイクの後部シートに、マリアがタルディスを押し込むように乗せた。エヴァはタルディスの重みでバイクがうしろに傾いた感触を感じるやいなや、一気にスロットルをひねってバイクを急上昇させた。
が、遅かった——。
地上から数メートル上昇したところで、巨人族から車体前方のカウルに手をかけられた。巨人族はバイクを地上に引き戻そうとする。さらに今度は後方を別の怪物が掴みかかった。
エヴァがエンジンを吹かす。
バイクがじりじりと上昇した。が、巨人族のからだも一緒に浮かびはじめる。その足をケンタウロス、そしてそのほかのよく名前もわからない怪物がつかむ。
ぐっと車体が下方にひっぱられた。
「マリアさん!」
エヴァが叫ぶと、地上のマリアがすぐさま名前のわからない怪物を叩き切った。ふいに前方にかかっていたテンションが緩み、バイクがうしろにのけ反る。そのあおりで後部座席に座っていたタルディスのからだが中空に投げ出された。が、エヴァがすぐさま手を伸ばし、なんとかタルディスの腕をつかんだ。が、今度はタルディスの重みで、車体が左側に傾いていく。
「こら!、タルディス、落ちんなよ。落ちたら叩き斬るからな!」
下の方からマリアの荒くれた脅し文句が聞こえてきた。
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