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ダイブ4 古代オリンピックの巻 〜 ソクラテス・プラトン 編 〜
第72話 タルディスが意識を失った!
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審判の合図で試合がはじまると、信じられないことに一方的な試合になった。この当時はストレートやジャブなどという攻撃はなく、もっぱら利き腕一本でのフックのようなスイングが中心だったが、エウクレスのパンチはその単調な動きでもとてつもない破壊力があった。
タルディスはエウクレスの最初のパンチを腕でブロックしたはずだった。だが、それだけでタルディスのからだは宙に浮いた。あわてて体勢を整えようとしたが、タルディスは砂に足をとられて、一瞬ふらついた。
そこにエウクレスの強烈な一撃が打ち込まれてきた。
タルディスはそれを避けようとしたが、足を踏ん張りきれなかった
エウクレスの一撃がタルディスのこめかみ付近を打ち抜いた。
『まずい!』
ゾーイはその瞬間すかさず、『念導力』を使って、タルディスのからだを支えようとした。だが、自分の手のひらにその力の反作用ともいえる反発する手応えが感じられなかった。
一瞬にしてタルディスが意識を断ち切られたことがわかった。だが、驚いたことにタルディスは、意識がないはずにもかかわらずまだ立っていた。
本能的な闘争本能なのかもしれない。現代のスポーツシーンでも無意識のまま試合を続けたという話を聞いたことがある。
だが非常事態なのは確かだ。
『お姉さま。タルディスさんが意識を失っちまってる』
ゾーイはスピロにむけて思考を飛ばした。が、その返事が返ってくる前に、タルディスがエウクレスのパンチを喰らって吹き飛んだ。今度は本能でもからだを支え切れなかった。数メートルむこうへごろごろと転がっていく。
観衆たちからおおきなどよめきがあがる。それは豪快なパンチに驚嘆したものであったが、あまりにはやく勝負がついたことへの不満もすくなからず混じっていた。
地面に横たわってピクリともしないタルディスの元にエウクレスが走り寄った。そしてタルディスの上に馬乗りになって、拳をふるった。一発、二発——。
観衆の一部から悲鳴のような警告が湧き上がった。
「危ない。タルディスのヤツをひきずりだせ」
「エウクレスは頭が割れて脳みそが噴き出すまで殴るつもりだぞ」
ゾーイは審判のほうへ目をむけた。観衆たちの悲鳴のような声に反応して、すぐに試合を止めにはいるはずだ。そう思った。だが、審判はあらぬ方向を見ていた。それも主審だけではなく、もう二人いる副審、そしてあろうことか審判長席に座る統括責任者までもが。
ゾーイはそれだけで。なにが起きようとしているか理解した。すぐさま隣のトゥキディデスの手をとって言った。
「トゥキディデスさん。タルディスを救わないといけない。一緒についてきてくんないかぃ」
「助けに?。それは無理だな」
「なぜなんだい?」
「すでにきみたちの仲間がむかっているからだよ」
タルディスはエウクレスの最初のパンチを腕でブロックしたはずだった。だが、それだけでタルディスのからだは宙に浮いた。あわてて体勢を整えようとしたが、タルディスは砂に足をとられて、一瞬ふらついた。
そこにエウクレスの強烈な一撃が打ち込まれてきた。
タルディスはそれを避けようとしたが、足を踏ん張りきれなかった
エウクレスの一撃がタルディスのこめかみ付近を打ち抜いた。
『まずい!』
ゾーイはその瞬間すかさず、『念導力』を使って、タルディスのからだを支えようとした。だが、自分の手のひらにその力の反作用ともいえる反発する手応えが感じられなかった。
一瞬にしてタルディスが意識を断ち切られたことがわかった。だが、驚いたことにタルディスは、意識がないはずにもかかわらずまだ立っていた。
本能的な闘争本能なのかもしれない。現代のスポーツシーンでも無意識のまま試合を続けたという話を聞いたことがある。
だが非常事態なのは確かだ。
『お姉さま。タルディスさんが意識を失っちまってる』
ゾーイはスピロにむけて思考を飛ばした。が、その返事が返ってくる前に、タルディスがエウクレスのパンチを喰らって吹き飛んだ。今度は本能でもからだを支え切れなかった。数メートルむこうへごろごろと転がっていく。
観衆たちからおおきなどよめきがあがる。それは豪快なパンチに驚嘆したものであったが、あまりにはやく勝負がついたことへの不満もすくなからず混じっていた。
地面に横たわってピクリともしないタルディスの元にエウクレスが走り寄った。そしてタルディスの上に馬乗りになって、拳をふるった。一発、二発——。
観衆の一部から悲鳴のような警告が湧き上がった。
「危ない。タルディスのヤツをひきずりだせ」
「エウクレスは頭が割れて脳みそが噴き出すまで殴るつもりだぞ」
ゾーイは審判のほうへ目をむけた。観衆たちの悲鳴のような声に反応して、すぐに試合を止めにはいるはずだ。そう思った。だが、審判はあらぬ方向を見ていた。それも主審だけではなく、もう二人いる副審、そしてあろうことか審判長席に座る統括責任者までもが。
ゾーイはそれだけで。なにが起きようとしているか理解した。すぐさま隣のトゥキディデスの手をとって言った。
「トゥキディデスさん。タルディスを救わないといけない。一緒についてきてくんないかぃ」
「助けに?。それは無理だな」
「なぜなんだい?」
「すでにきみたちの仲間がむかっているからだよ」
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