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ダイブ4 古代オリンピックの巻 〜 ソクラテス・プラトン 編 〜
第61話 アリストパネスとの対話2
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「あら、そうでしょうか?。アリストパネスさん、あなたはその『恋愛』について、お友達と真剣に論じ合ったことがある、とお聞きしましたが?」
エヴァは自分にむけられた冷やかな視線に負けじと、すこし挑発気味に訊いた。
「ふうむ。そういうこともあったね。あれは、悲劇詩人のアガトンの優勝祝いのときだ」
「アリストパネス様、あなたはその時、ユニークな『恋愛論』を語られたそうですが……」
「ふうむ。それは『恋愛(エロス)』のことだね。スピロ、きみは『アンドロギュノス』を知っているかね?」
「アンドロギュノス……。わたしたちの世界では『両性具有』という意味で知られています……」
「そのむかし、イデア界にいた人間は、二人の人間が背中合わせにくっついたような円筒状の胴体をもつ姿をしていたのだよ。顔は2つ、性器も2つ、手足は4本ずつ。『男・男』、『女・女』、『男・女』の三種の種族に分かれていた。そのなかの男女の組み合わせを持つのが『アンドロギュノス』なのだよ。彼らは、速く走りたいときには、四本の手と四本の足でくるくると素早く進んでいくことができたそうだ」
エヴァは頭のなかで、まるまるとしたからだをして、表は男、裏は女、という不思議な生き物を想像した。戯画化されたコミカルな姿を思い浮かべた。
「ところが、この人間たちは神々に対して傲慢にも、謀反を企ててしまった。そのことを重くみた主神ゼウスは、人の力を弱めるため、からだを縦に真っ二つに引き裂いて、地上に追放してしまったのだ。これが今この地上にいるわたしたちなのだよ。
二つの存在へと引き裂かれた人間は、もはやみずからの身体だけで充足することができなくなって、互いに自分のうしなわれた半身である相手を探し求めるようになった。
『恋愛』とは、本来の完全なる姿へと回帰しようとする原初的な欲求。半身となった人間たちが、元々の『完全な姿』を追い求め、もういっぽうの片割れを探してさまようことにほかならないのだよネ」
「なるほど。ですから、元が男同士なら互いに男を、女同士なら互いに女を、そして、アンドドロギュノスは異性を求める、ということなのですね」
「そうだとも。『恋愛』とは欠如にあるのだよ。元の姿に戻りたいという憧れ、欲求、それを導く神が『エロス』なのだ」
「とても興味深い解釈だと思います」
「そう思うかね。だがね……。ソクラテスはそれを真っ向から否定してきたのだ……」
アリストパネスはその時のことを語って聞かせてきた。
エヴァは自分にむけられた冷やかな視線に負けじと、すこし挑発気味に訊いた。
「ふうむ。そういうこともあったね。あれは、悲劇詩人のアガトンの優勝祝いのときだ」
「アリストパネス様、あなたはその時、ユニークな『恋愛論』を語られたそうですが……」
「ふうむ。それは『恋愛(エロス)』のことだね。スピロ、きみは『アンドロギュノス』を知っているかね?」
「アンドロギュノス……。わたしたちの世界では『両性具有』という意味で知られています……」
「そのむかし、イデア界にいた人間は、二人の人間が背中合わせにくっついたような円筒状の胴体をもつ姿をしていたのだよ。顔は2つ、性器も2つ、手足は4本ずつ。『男・男』、『女・女』、『男・女』の三種の種族に分かれていた。そのなかの男女の組み合わせを持つのが『アンドロギュノス』なのだよ。彼らは、速く走りたいときには、四本の手と四本の足でくるくると素早く進んでいくことができたそうだ」
エヴァは頭のなかで、まるまるとしたからだをして、表は男、裏は女、という不思議な生き物を想像した。戯画化されたコミカルな姿を思い浮かべた。
「ところが、この人間たちは神々に対して傲慢にも、謀反を企ててしまった。そのことを重くみた主神ゼウスは、人の力を弱めるため、からだを縦に真っ二つに引き裂いて、地上に追放してしまったのだ。これが今この地上にいるわたしたちなのだよ。
二つの存在へと引き裂かれた人間は、もはやみずからの身体だけで充足することができなくなって、互いに自分のうしなわれた半身である相手を探し求めるようになった。
『恋愛』とは、本来の完全なる姿へと回帰しようとする原初的な欲求。半身となった人間たちが、元々の『完全な姿』を追い求め、もういっぽうの片割れを探してさまようことにほかならないのだよネ」
「なるほど。ですから、元が男同士なら互いに男を、女同士なら互いに女を、そして、アンドドロギュノスは異性を求める、ということなのですね」
「そうだとも。『恋愛』とは欠如にあるのだよ。元の姿に戻りたいという憧れ、欲求、それを導く神が『エロス』なのだ」
「とても興味深い解釈だと思います」
「そう思うかね。だがね……。ソクラテスはそれを真っ向から否定してきたのだ……」
アリストパネスはその時のことを語って聞かせてきた。
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