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ダイブ1 化天の夢幻の巻 〜 織田信長編 〜
第3話 『現世』の魂を救い出すために、歴史を改ざんさせてもらう
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ガーンと牢屋の格子を叩きつける、激しい音が辺りに響いた。
「貴様ら、なにをしている?」
ふいの音に、牢の囚われた少年は、びくっとからだを震わせた。その拍子に頭上に浮かんでいたドナルドのイメージがふっとひっこんで消えた。
セイは音のしたほうを振りむいた。そこにおそろしい形相の大男が立っていた。
「あぁ、隊長さん。気にしないでください。この少年を助けに来ただけ……」
「なんだとぉ!。そんな真似できるわけなかろう」
そう言いながら大男は、背後にいた兵士たちに手をふった。カチャカチャという金属音とともに、兵隊たちがセイの周りをとり囲んできたのがわかった。
「貴様たちも、イエス・キリストとかいうヤツを信じる異端者どもだな」
セイは首をよこにふった。
「ぜーんぜん」
「おい、あたいはゴリゴリのクリスチャンだぞ」
宗教がからむと黙っていられないのか、横からマリアがさりげなくカミングアウトした。すると、それに釣られるようにエヴァまでも小さく挙手して「わたくしもキリスト教信者ですわ。プロテスタントですが……」と告白した。
話をややこしくしてくれたな、と思ったが、いまさら仕方がないので、セイは肩をすくめた。
「だって——」
大男が目をぎらつかせた。
「ほう、俺さまの前で異教徒を告白するとはな。貴様ら、俺さまを誰だと思っている。俺さまは、ディオクレティアヌス皇帝直属の……」
セイが手をつきだして隊長のことばを制した。
「ごめん。あんた、名乗らなくていいよ。だって、あんた……」
「試験にでないもん」
「ただ、邪魔をするなら排除させてもらう」
そう言うと、セイは手のひらを天空にむけて突きあげた。手の中に眩い光が灯ったかと思うと、次の瞬間にはセイの手に剣が握られていた。古代ローマでは見ることがない、サムライが使っていた細身の刀。
その神がかった光景にセイたちをとり囲んでいた兵たちがどよめいた。
セイはドナルド・カードの魂にむかって言った。
「その子に宿ったあなたの『魂』を救うために、歴史を改変させてもらいます」
セイはすうっと鞘から刀身を引き抜いた。刃がぎらりと怪しげな光を投げ掛ける。セイはすっかり及び腰になっている兵隊たちに向かってウィンクした。
「あんたらは二千年近く前にとっくに死んでいるんだけど……」
「わるいね。もう一度、死んでもらったよ」
周りを取り囲んでいた兵士たちが目をぱちくりさせたが、一瞬ののちに一斉に首から血煙を吹き出させてその場に崩れ落ちた。
それを見るなり、マリアが舌打ちして叫んだ。
「おい、待て、セイ。オレの殺る分は残ってねぇのかよ」
「貴様ら、なにをしている?」
ふいの音に、牢の囚われた少年は、びくっとからだを震わせた。その拍子に頭上に浮かんでいたドナルドのイメージがふっとひっこんで消えた。
セイは音のしたほうを振りむいた。そこにおそろしい形相の大男が立っていた。
「あぁ、隊長さん。気にしないでください。この少年を助けに来ただけ……」
「なんだとぉ!。そんな真似できるわけなかろう」
そう言いながら大男は、背後にいた兵士たちに手をふった。カチャカチャという金属音とともに、兵隊たちがセイの周りをとり囲んできたのがわかった。
「貴様たちも、イエス・キリストとかいうヤツを信じる異端者どもだな」
セイは首をよこにふった。
「ぜーんぜん」
「おい、あたいはゴリゴリのクリスチャンだぞ」
宗教がからむと黙っていられないのか、横からマリアがさりげなくカミングアウトした。すると、それに釣られるようにエヴァまでも小さく挙手して「わたくしもキリスト教信者ですわ。プロテスタントですが……」と告白した。
話をややこしくしてくれたな、と思ったが、いまさら仕方がないので、セイは肩をすくめた。
「だって——」
大男が目をぎらつかせた。
「ほう、俺さまの前で異教徒を告白するとはな。貴様ら、俺さまを誰だと思っている。俺さまは、ディオクレティアヌス皇帝直属の……」
セイが手をつきだして隊長のことばを制した。
「ごめん。あんた、名乗らなくていいよ。だって、あんた……」
「試験にでないもん」
「ただ、邪魔をするなら排除させてもらう」
そう言うと、セイは手のひらを天空にむけて突きあげた。手の中に眩い光が灯ったかと思うと、次の瞬間にはセイの手に剣が握られていた。古代ローマでは見ることがない、サムライが使っていた細身の刀。
その神がかった光景にセイたちをとり囲んでいた兵たちがどよめいた。
セイはドナルド・カードの魂にむかって言った。
「その子に宿ったあなたの『魂』を救うために、歴史を改変させてもらいます」
セイはすうっと鞘から刀身を引き抜いた。刃がぎらりと怪しげな光を投げ掛ける。セイはすっかり及び腰になっている兵隊たちに向かってウィンクした。
「あんたらは二千年近く前にとっくに死んでいるんだけど……」
「わるいね。もう一度、死んでもらったよ」
周りを取り囲んでいた兵士たちが目をぱちくりさせたが、一瞬ののちに一斉に首から血煙を吹き出させてその場に崩れ落ちた。
それを見るなり、マリアが舌打ちして叫んだ。
「おい、待て、セイ。オレの殺る分は残ってねぇのかよ」
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