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第四章 第四節 ヤマト襲撃される
第994話 草薙、違和感に気づく
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「それは知ってるけど…… いったいぜんたい、なにが引っかかってるんんですの?」
キラからそう問われて、草薙は自分がなににとらわれているのかが気になった。
なににとらわれている——?
草薙は自分が渋谷に到着してからの記憶を思い返してみた。
地元警察に人払いを依頼し、人員の整理はスムーズに行われていた。警察からは冷たい視線をむけられたのは確かだが、それは毎度のことだから、それほど神経質になるほどではない。
だがあのとき、なにかを聞いた——
草薙はハッとした。
超流動斥力波の波動! 自分が耳にしたのはスカイ・モービルやエア・バイクから排出される超流動斥力波の波動の音だ。
通行を規制されている場所で、その音はあり得ないはずだ。軍や警察車両でもない限り、侵入してはならない場所で、聞こえていいはずの音ではない。
そして——
草薙はそのとき一緒に耳慣れない言語を聞いたことを思い出した。
日本語じゃない——
「日本語以外の言語が聞こえたのよ」
「なにを言ってンのよ、大佐。ここは世界的な観光地よ。ーったり前……」
「いや、不自然だ。アスカ!」
アスカのことばを否定したのはヤマトだった。
「チップ埋込者なら、どこの国の人間だろうと翻訳されて、日本語になるはずだ。外国語がそのままアウトプットされたというのは不自然だ」
「それはどういう意味ですの? お兄さま?」
そのとき草薙の視界にチカッと光るものが映った。正面にある建設中のビルの5階。
まずい!
草薙は瞬時にヤマトの前に飛び出して、おおきく手をひろげた。
その瞬間、草薙のからだはうしろへはじき飛ばされた。
------------------------------------------------------------
草薙のからだがぶつかって、ヤマトのからだはうしろの壁に叩きつけられた。正確には草薙の腕がぶつかっただけだったが、その腕に薙ぎ飛ばされた。彼女の腕はいやに重たく思わず、うっという声が漏れた。
なにが——!
腕がぶつかった痛みや、壁に叩きつけられた痛みよりも、なにが起きたかのほうが、問題だった。それほどまでにヤマトには、なにが起きたかわからなかった。
『大佐が狙撃されたっっ!』
だれかが叫ぶ声が聞こえた。
撃たれた?
ヤマトの頭に疑問が頭に浮かんだが、その意味を理解するよりも速く、兵士たちが自分たちを取り囲んだ。バットーが正面に陣取って、真っ先に盾になった。
「大佐、大丈夫ですか?」
キラからそう問われて、草薙は自分がなににとらわれているのかが気になった。
なににとらわれている——?
草薙は自分が渋谷に到着してからの記憶を思い返してみた。
地元警察に人払いを依頼し、人員の整理はスムーズに行われていた。警察からは冷たい視線をむけられたのは確かだが、それは毎度のことだから、それほど神経質になるほどではない。
だがあのとき、なにかを聞いた——
草薙はハッとした。
超流動斥力波の波動! 自分が耳にしたのはスカイ・モービルやエア・バイクから排出される超流動斥力波の波動の音だ。
通行を規制されている場所で、その音はあり得ないはずだ。軍や警察車両でもない限り、侵入してはならない場所で、聞こえていいはずの音ではない。
そして——
草薙はそのとき一緒に耳慣れない言語を聞いたことを思い出した。
日本語じゃない——
「日本語以外の言語が聞こえたのよ」
「なにを言ってンのよ、大佐。ここは世界的な観光地よ。ーったり前……」
「いや、不自然だ。アスカ!」
アスカのことばを否定したのはヤマトだった。
「チップ埋込者なら、どこの国の人間だろうと翻訳されて、日本語になるはずだ。外国語がそのままアウトプットされたというのは不自然だ」
「それはどういう意味ですの? お兄さま?」
そのとき草薙の視界にチカッと光るものが映った。正面にある建設中のビルの5階。
まずい!
草薙は瞬時にヤマトの前に飛び出して、おおきく手をひろげた。
その瞬間、草薙のからだはうしろへはじき飛ばされた。
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草薙のからだがぶつかって、ヤマトのからだはうしろの壁に叩きつけられた。正確には草薙の腕がぶつかっただけだったが、その腕に薙ぎ飛ばされた。彼女の腕はいやに重たく思わず、うっという声が漏れた。
なにが——!
腕がぶつかった痛みや、壁に叩きつけられた痛みよりも、なにが起きたかのほうが、問題だった。それほどまでにヤマトには、なにが起きたかわからなかった。
『大佐が狙撃されたっっ!』
だれかが叫ぶ声が聞こえた。
撃たれた?
ヤマトの頭に疑問が頭に浮かんだが、その意味を理解するよりも速く、兵士たちが自分たちを取り囲んだ。バットーが正面に陣取って、真っ先に盾になった。
「大佐、大丈夫ですか?」
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