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第四章 第四節 ヤマト襲撃される
第993話 草薙の不安
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草薙にとって今回の任務は懸念だらけだった。
まず、先日のエンアイムとの戦いで破壊された、渋谷の街の復興中の街に繰りだすというのが不安だった。
さらにここかしこでロボットによる工事が行われており、あたりが騒々しいのも問題だった。また防護布等で修復中の建物が覆われているのも気にかかる。
警護しにくいったらないわ。
責任者として口にはできなかったが、つねにそんな不満が頭にあった。
「バトー、今からデザートショップへむかう。そちらのチェックは済んだ?」
「問題ない……ーーって言いてぇとこだが、大佐。まだ全部チェックしきれてねぇ」
「どういうこと?」
「建築中の建物が多くてね。事前の情報とちがうモンだから、精査するのに時間がかかっていけねぇ」
「まだ動かないほうがいい?」
「イシカワの旦那が上から見てくれてるが、今ンところは問題ねぇって言ってるがね」
「不審者情報はあるか? サイトー」
「いえ、生体管理局のAIから特別供与されている生体データには、いまのところ敵意や犯意は検知されていません。まぁ、悪意は嫌っていうほど街中に蔓延しているようですが……」
「オールクリア、とはいかんか……」
「隊長、ここにいるかぎり、そんなのは一生望めませんぜ。ヤマト・タケルがいるんですからね」
バットーが半笑いを浮かべながら言った。
「そんなことは折り込み済みだ」
「じゃあ、ちゃっちゃと次の目的地に進みましょうや」
草薙はバットーの意見ももっともだと思いながらも、なぜかついてまわる嫌な予感が払拭できずにいた。ここ渋谷についてから、なにものかにずっと見られているような視線を感じてならなかったからだ。
「草薙さん、なにかあるのかい?」
ヤマトが怪訝そうな視線をむけてきた。
「あ、いえ。タケルくん。なんかね……」
「なんかってなによ。草薙大佐」
不用意にことばをにごしたせいで、アスカのほうが先に反応した。
「確たるものはないんだけどね。わたしたち、ずっと見られている気がするの?」
「草薙大佐、それはしかたがないのではないですか?」
今度はクララだった。
「街中にこんなに兵隊さんがでてるんですよ。しかも現代ではめったにお目にかかれない少年、少女がいるとなれば、じろじろ見ない人はいないでしょう」
「ええ。でもね、クララ。なにか違和感があるのよ」
「違和感ですって? ずいぶん曖昧な。大佐らしくないですわね」
クララがなかばあきれたような顔をすると、キラもそれに続いた。
「隊長さん、ずいぶんアナログなこと言うのですね? AIの生体管理を信頼してないってことなのかしら?」
「キラさん、アナログじゃないわ。直感って霊覚や想覚が働いている証拠なのよ」
「それは知ってるけど…… いったいぜんたい、なにが引っかかってるんんですの?」
まず、先日のエンアイムとの戦いで破壊された、渋谷の街の復興中の街に繰りだすというのが不安だった。
さらにここかしこでロボットによる工事が行われており、あたりが騒々しいのも問題だった。また防護布等で修復中の建物が覆われているのも気にかかる。
警護しにくいったらないわ。
責任者として口にはできなかったが、つねにそんな不満が頭にあった。
「バトー、今からデザートショップへむかう。そちらのチェックは済んだ?」
「問題ない……ーーって言いてぇとこだが、大佐。まだ全部チェックしきれてねぇ」
「どういうこと?」
「建築中の建物が多くてね。事前の情報とちがうモンだから、精査するのに時間がかかっていけねぇ」
「まだ動かないほうがいい?」
「イシカワの旦那が上から見てくれてるが、今ンところは問題ねぇって言ってるがね」
「不審者情報はあるか? サイトー」
「いえ、生体管理局のAIから特別供与されている生体データには、いまのところ敵意や犯意は検知されていません。まぁ、悪意は嫌っていうほど街中に蔓延しているようですが……」
「オールクリア、とはいかんか……」
「隊長、ここにいるかぎり、そんなのは一生望めませんぜ。ヤマト・タケルがいるんですからね」
バットーが半笑いを浮かべながら言った。
「そんなことは折り込み済みだ」
「じゃあ、ちゃっちゃと次の目的地に進みましょうや」
草薙はバットーの意見ももっともだと思いながらも、なぜかついてまわる嫌な予感が払拭できずにいた。ここ渋谷についてから、なにものかにずっと見られているような視線を感じてならなかったからだ。
「草薙さん、なにかあるのかい?」
ヤマトが怪訝そうな視線をむけてきた。
「あ、いえ。タケルくん。なんかね……」
「なんかってなによ。草薙大佐」
不用意にことばをにごしたせいで、アスカのほうが先に反応した。
「確たるものはないんだけどね。わたしたち、ずっと見られている気がするの?」
「草薙大佐、それはしかたがないのではないですか?」
今度はクララだった。
「街中にこんなに兵隊さんがでてるんですよ。しかも現代ではめったにお目にかかれない少年、少女がいるとなれば、じろじろ見ない人はいないでしょう」
「ええ。でもね、クララ。なにか違和感があるのよ」
「違和感ですって? ずいぶん曖昧な。大佐らしくないですわね」
クララがなかばあきれたような顔をすると、キラもそれに続いた。
「隊長さん、ずいぶんアナログなこと言うのですね? AIの生体管理を信頼してないってことなのかしら?」
「キラさん、アナログじゃないわ。直感って霊覚や想覚が働いている証拠なのよ」
「それは知ってるけど…… いったいぜんたい、なにが引っかかってるんんですの?」
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