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第四章 第四節 ヤマト襲撃される
第990話 怒り狂うダイ・ラッキー
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ケイの考察はばかばかしいことこの上なかった。
頭から怒鳴りつけたいところだったが、可能性がゼロではない、と考えれば、駄目元で探ってみる必要があった。
それほどあり得ない可能性にすがるほど、アルは追い詰められていた。
アルは秘匿回路をつかって、ダイ・ラッキー・ワン、日本名『銭形幸一』に連絡をとることにした。彼はおそろしく不機嫌だった。
「あぁ…… 三代目か。なんか俺様に用事があるのか?」
「おい、おい、ダイ・ラッキー……なにかあったのか?」
「あったのか? アル、勘弁してくれよ。おめえンとこの小僧っ子どものせいで、俺様がいまどんな目にあってるか、知ってるだろ?」
「あ、いや……ああ……ニュースでな」
「ああ、そうだ。ブレイン・ドラッグの原本になるリュウ・リョウマの『ドラゴンズ・ボール』をおしゃかにされてから、俺様は不運続き……いや、あのヤマト・タケルのせいで、俺様の組織は壊滅寸前まで追い込まれてるんだよ」
「あ、ああ……当局があんたンところの根城のいくつかを……」
「いくつかじゃねぇ。13箇所だ! 20箇所のアジトの半分を潰された。AIの監視を一時的に撹乱する施設も接収されて、チップ埋込者の顧客リストを押収されちまった」
「ああ…… ここ数十年なかった世界レベルのスキャンダルらしいな。ニュースに疎いおれにも聞こえてきてるくらい……」
「オレ様は許さねぇ」
「ちょ、ちょっと待てや。なにを許さな……」
「ヤマト・タケルを許さねぇよ」
「おい、おい。ダイ・ラッキー。ちぃとは頭を冷やせ。おめえさんがタケルを恨む気持ちはわかるがな、あいつは今、この世界を、この地球を守っているンだ。万が一にもタケルになにかがあったら、地球が滅亡する可能性があるほどだ。100億の人類でもっとも大事な人物なんだぜ。わかってン……」
「そんなの関係ねぇよ。どっちにしろと、俺様は遅かれ早かれ終わっちまうンだ」
「待て、待て! おまえさんの組織が終わるのは気の毒だと思うがな、地球を道連れってぇのは、いくらなんでも了見、狭すぎじゃねぇか?」
「なにを言われてもかまわねぇ、俺様にはおンなじなんだよ。おまえさんがたチップ埋込者と違って、おれたちゃよく生きて100年しか生きられねぇンだ」
「たしかにそうだが、それでもまだ数十年は余裕が……」
「刑務所で過ごす数十年だよ」
アルは凄みのあるダイ・ラッキーの声に、おもわずごくりと固唾を飲みこんだ。
「しかも確実に市に近づいて、老いていく数十年だ。チップ埋込者のおまえと違ってな」
「いや……」
「おまえさんがどう言いつくろうと関係ねぇよ」
「オレ様はぜったいにヤマト・タケルを許さねぇからな」
ダイ・ラッキーの睨み据えた目は、すこし血走っていて、腹をくくったような不退転の覚悟が見てとれた。
アルはゾクッと鳥肌がたつのを感じた。
頭から怒鳴りつけたいところだったが、可能性がゼロではない、と考えれば、駄目元で探ってみる必要があった。
それほどあり得ない可能性にすがるほど、アルは追い詰められていた。
アルは秘匿回路をつかって、ダイ・ラッキー・ワン、日本名『銭形幸一』に連絡をとることにした。彼はおそろしく不機嫌だった。
「あぁ…… 三代目か。なんか俺様に用事があるのか?」
「おい、おい、ダイ・ラッキー……なにかあったのか?」
「あったのか? アル、勘弁してくれよ。おめえンとこの小僧っ子どものせいで、俺様がいまどんな目にあってるか、知ってるだろ?」
「あ、いや……ああ……ニュースでな」
「ああ、そうだ。ブレイン・ドラッグの原本になるリュウ・リョウマの『ドラゴンズ・ボール』をおしゃかにされてから、俺様は不運続き……いや、あのヤマト・タケルのせいで、俺様の組織は壊滅寸前まで追い込まれてるんだよ」
「あ、ああ……当局があんたンところの根城のいくつかを……」
「いくつかじゃねぇ。13箇所だ! 20箇所のアジトの半分を潰された。AIの監視を一時的に撹乱する施設も接収されて、チップ埋込者の顧客リストを押収されちまった」
「ああ…… ここ数十年なかった世界レベルのスキャンダルらしいな。ニュースに疎いおれにも聞こえてきてるくらい……」
「オレ様は許さねぇ」
「ちょ、ちょっと待てや。なにを許さな……」
「ヤマト・タケルを許さねぇよ」
「おい、おい。ダイ・ラッキー。ちぃとは頭を冷やせ。おめえさんがタケルを恨む気持ちはわかるがな、あいつは今、この世界を、この地球を守っているンだ。万が一にもタケルになにかがあったら、地球が滅亡する可能性があるほどだ。100億の人類でもっとも大事な人物なんだぜ。わかってン……」
「そんなの関係ねぇよ。どっちにしろと、俺様は遅かれ早かれ終わっちまうンだ」
「待て、待て! おまえさんの組織が終わるのは気の毒だと思うがな、地球を道連れってぇのは、いくらなんでも了見、狭すぎじゃねぇか?」
「なにを言われてもかまわねぇ、俺様にはおンなじなんだよ。おまえさんがたチップ埋込者と違って、おれたちゃよく生きて100年しか生きられねぇンだ」
「たしかにそうだが、それでもまだ数十年は余裕が……」
「刑務所で過ごす数十年だよ」
アルは凄みのあるダイ・ラッキーの声に、おもわずごくりと固唾を飲みこんだ。
「しかも確実に市に近づいて、老いていく数十年だ。チップ埋込者のおまえと違ってな」
「いや……」
「おまえさんがどう言いつくろうと関係ねぇよ」
「オレ様はぜったいにヤマト・タケルを許さねぇからな」
ダイ・ラッキーの睨み据えた目は、すこし血走っていて、腹をくくったような不退転の覚悟が見てとれた。
アルはゾクッと鳥肌がたつのを感じた。
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