上 下
944 / 1,035
第四章 第二節 犯罪組織グランディスとの戦い

第942話 レイくんが取り逃した?

しおりを挟む
「レイさん…… いつこの列車に?」

 クララのまぬけな質問に、レイは若干いらついた。
「今。セイントに人格をすくい上げてもらって、この素体に憑依している」
「レイくん。逃げ切れてないとは?」
 ユウキはすでに事態の把握につとめていた。

「雑魚たちを相手にしているあいだに、ヤタに追いつかれた。というより伏兵の先頭のライダーとヤタが入れ替わった。それで取り逃した」
「レイくんが取り逃した?」
「ええ。してやられた。最初からそういう作戦だった」
「で、ヤタは?」

「わからない。この素体に憑依しているあいだに、みうしなった」

「レイ、大丈夫よ。あとすこしで『電磁バリアトンネル』にはいるわ。そうしたらヤツラももう手出し不可能よ」
 そう大声をあげて前の車両からずかずかと入ってきたのは、アスカだった。

「クララ、いい判断だった」
 アスカに続いて、ヤマトもやってきた。
「ぼくらは直後にヤタの部下のミサイルに撃ち落とされたけど、クララがドラゴンズ・ボールを受け取ってくれてたからホッとしたよ」

『やあ、やっとみんな揃ったね』
 セイントが落ち着きはらった声で言った。
『さあ、最終局面だ。さいごまで気をひきしめてくれ。この車両に乗っている素体は、いまきみたちが使っているので全部だ。残念ながらスペアはない。ここで素体をうしなったら、この作戦から即退場ということになる』

「リョーカイ、わかったわよ」
 アスカが口をまげたが、まだ脅威が去っていないことを、わかっている口ぶりだった。遠くから狙われた一撃だったとはいえ、今の今、エア・バイクを撃ち落とされたのだから慎重になるのも当然だ。

「セイント、このあとの手順を再確認させてくれ」
 ヤマトがユウキの横の座席に座りながら訊いた。
『OK、ヤマト。このあと1分ほどで、この列車は『電磁バリアトンネル』にはいる。はいると同時に列車はスピードをゆるめて、じっくりと時間をかけてエトナ山の火口の上を通り抜けていく。ゆっくりといっても5分程度だがね』

「トンネルといっても、視認性は確保されているのですね?」
『そうだともクララくん。でなければ観光の目玉にはらならないだろう』
「『トンネル』と言ってるけど、危険区域に容易に侵入させないための、電磁波の筒でしかない」

 ヤマトはそう補足すると、セイントに疑問を投げかけた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ズボラ通販生活

ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!

黒の信仰

ぼっち・ちぇりー
SF
 人間は過ちを犯す生物である。  しかし、問題はそこになくて、もっと別の場所にあるのだ。                                           創造神:ビーピステウス 西暦22XX年、ついに0次エネルギーを開発した人類たちは繁栄し、栄華を極め。        ついには神の洗礼を受けることになる。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命
SF
 三国志の三英雄の1人劉備玄徳が大好きな高校生の劉義賢が劉備玄徳の墓を訪れるが、くまなく調べると何かの装置が作動し墓の中に落ちる。  辺りを見回すと奥に劉備玄徳愛用の双股剣があったので触れると謎の女性の『玄徳様の運命をお変えください』という言葉で光に包まれ目を覚ますとそこは後漢末期の涿郡涿県楼桑村だった。  目の前にいる兄だと名乗る劉備殿に困惑しながらも義勇兵を結成し、激動の時代を劉備殿の天下のために尽力する物語。 1章 黄巾の乱編 完結 2章 反董卓連合編 完結 3章 群雄割拠編 完結 4章 三国鼎立編 完結 5章 天下統一編 鋭意製作中 ※二次創作ではありますが史実に忠実ではなくオリジナル戦記寄りとなってます。  数多くの武将が出るため、誰が話しているかわからなくなることを避けるために「」の前に名前を入れます。  読みにくい場合はコメントなどで教えてもらえるとありがたいです。  オリジナルキャラも登場します。 ※小説家になろう様・カクヨム様でも掲載しています。

日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。

スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。 地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!? 異世界国家サバイバル、ここに爆誕!

後方支援なら任せてください〜幼馴染にS級クランを追放された【薬師】の私は、拾ってくれたクラマスを影から支えて成り上がらせることにしました〜

黄舞
SF
「お前もういらないから」  大人気VRMMORPGゲーム【マルメリア・オンライン】に誘った本人である幼馴染から受けた言葉に、私は気を失いそうになった。  彼、S級クランのクランマスターであるユースケは、それだけ伝えるといきなりクラマス権限であるキック、つまりクラン追放をした。 「なんで!? 私、ユースケのために一生懸命言われた通りに薬作ったよ? なんでいきなりキックされるの!?」 「薬なんて買えばいいだろ。次の攻城戦こそランキング一位狙ってるから。薬作るしか能のないお前、はっきり言って邪魔なんだよね」  個別チャットで送ったメッセージに返ってきた言葉に、私の中の何かが壊れた。 「そう……なら、私が今までどれだけこのクランに役に立っていたか思い知らせてあげる……後から泣きついたって知らないんだから!!」  現実でも優秀でイケメンでモテる幼馴染に、少しでも気に入られようと尽くしたことで得たこのスキルや装備。  私ほど薬作製に秀でたプレイヤーは居ないと自負がある。  その力、思う存分見せつけてあげるわ!! VRMMORPGとは仮想現実、大規模、多人数参加型、オンライン、ロールプレイングゲームのことです。 つまり現実世界があって、その人たちが仮想現実空間でオンラインでゲームをしているお話です。 嬉しいことにあまりこういったものに馴染みがない人も楽しんで貰っているようなので記載しておきます。

遺伝子分布論 102K

黒龍院如水
SF
現代より、十万年以上が経過した、宇宙歴102000年、 人類の生活圏は、太陽系外の恒星系にまで広がっていた。 人類の未来の生活を、淡々と描く。 果たしてそこにドラマは生まれるのか。

お兄ちゃんの装備でダンジョン配信

高瀬ユキカズ
ファンタジー
レベル1なのに、ダンジョンの最下層へ。脱出できるのか!? ダンジョンが現代に現れ、ライブ配信が当たり前になった世界。 強さに応じてランキングが発表され、世界的な人気を誇る配信者たちはワールドクラスプレイヤーと呼ばれる。 主人公の筑紫春菜はワールドクラスプレイヤーを兄に持つ中学2年生。 春菜は兄のアカウントに接続し、SSS級の激レア装備である【神王の装備フルセット】を持ち出してライブ配信を始める。 最強の装備を持った最弱の主人公。 春菜は視聴者に騙されて、人類未踏の最下層へと降り立ってしまう。しかし、危険な場所に来たことには無自覚であった。ろくな知識もないまま攻略し、さらに深い階層へと進んでいく。 無謀とも思える春菜の行動に、閲覧者数は爆上がりする。

処理中です...