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第四章 第二節 犯罪組織グランディスとの戦い
第942話 レイくんが取り逃した?
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「レイさん…… いつこの列車に?」
クララのまぬけな質問に、レイは若干いらついた。
「今。セイントに人格をすくい上げてもらって、この素体に憑依している」
「レイくん。逃げ切れてないとは?」
ユウキはすでに事態の把握につとめていた。
「雑魚たちを相手にしているあいだに、ヤタに追いつかれた。というより伏兵の先頭のライダーとヤタが入れ替わった。それで取り逃した」
「レイくんが取り逃した?」
「ええ。してやられた。最初からそういう作戦だった」
「で、ヤタは?」
「わからない。この素体に憑依しているあいだに、みうしなった」
「レイ、大丈夫よ。あとすこしで『電磁バリアトンネル』にはいるわ。そうしたらヤツラももう手出し不可能よ」
そう大声をあげて前の車両からずかずかと入ってきたのは、アスカだった。
「クララ、いい判断だった」
アスカに続いて、ヤマトもやってきた。
「ぼくらは直後にヤタの部下のミサイルに撃ち落とされたけど、クララがドラゴンズ・ボールを受け取ってくれてたからホッとしたよ」
『やあ、やっとみんな揃ったね』
セイントが落ち着きはらった声で言った。
『さあ、最終局面だ。さいごまで気をひきしめてくれ。この車両に乗っている素体は、いまきみたちが使っているので全部だ。残念ながらスペアはない。ここで素体をうしなったら、この作戦から即退場ということになる』
「リョーカイ、わかったわよ」
アスカが口をまげたが、まだ脅威が去っていないことを、わかっている口ぶりだった。遠くから狙われた一撃だったとはいえ、今の今、エア・バイクを撃ち落とされたのだから慎重になるのも当然だ。
「セイント、このあとの手順を再確認させてくれ」
ヤマトがユウキの横の座席に座りながら訊いた。
『OK、ヤマト。このあと1分ほどで、この列車は『電磁バリアトンネル』にはいる。はいると同時に列車はスピードをゆるめて、じっくりと時間をかけてエトナ山の火口の上を通り抜けていく。ゆっくりといっても5分程度だがね』
「トンネルといっても、視認性は確保されているのですね?」
『そうだともクララくん。でなければ観光の目玉にはらならないだろう』
「『トンネル』と言ってるけど、危険区域に容易に侵入させないための、電磁波の筒でしかない」
ヤマトはそう補足すると、セイントに疑問を投げかけた。
クララのまぬけな質問に、レイは若干いらついた。
「今。セイントに人格をすくい上げてもらって、この素体に憑依している」
「レイくん。逃げ切れてないとは?」
ユウキはすでに事態の把握につとめていた。
「雑魚たちを相手にしているあいだに、ヤタに追いつかれた。というより伏兵の先頭のライダーとヤタが入れ替わった。それで取り逃した」
「レイくんが取り逃した?」
「ええ。してやられた。最初からそういう作戦だった」
「で、ヤタは?」
「わからない。この素体に憑依しているあいだに、みうしなった」
「レイ、大丈夫よ。あとすこしで『電磁バリアトンネル』にはいるわ。そうしたらヤツラももう手出し不可能よ」
そう大声をあげて前の車両からずかずかと入ってきたのは、アスカだった。
「クララ、いい判断だった」
アスカに続いて、ヤマトもやってきた。
「ぼくらは直後にヤタの部下のミサイルに撃ち落とされたけど、クララがドラゴンズ・ボールを受け取ってくれてたからホッとしたよ」
『やあ、やっとみんな揃ったね』
セイントが落ち着きはらった声で言った。
『さあ、最終局面だ。さいごまで気をひきしめてくれ。この車両に乗っている素体は、いまきみたちが使っているので全部だ。残念ながらスペアはない。ここで素体をうしなったら、この作戦から即退場ということになる』
「リョーカイ、わかったわよ」
アスカが口をまげたが、まだ脅威が去っていないことを、わかっている口ぶりだった。遠くから狙われた一撃だったとはいえ、今の今、エア・バイクを撃ち落とされたのだから慎重になるのも当然だ。
「セイント、このあとの手順を再確認させてくれ」
ヤマトがユウキの横の座席に座りながら訊いた。
『OK、ヤマト。このあと1分ほどで、この列車は『電磁バリアトンネル』にはいる。はいると同時に列車はスピードをゆるめて、じっくりと時間をかけてエトナ山の火口の上を通り抜けていく。ゆっくりといっても5分程度だがね』
「トンネルといっても、視認性は確保されているのですね?」
『そうだともクララくん。でなければ観光の目玉にはらならないだろう』
「『トンネル』と言ってるけど、危険区域に容易に侵入させないための、電磁波の筒でしかない」
ヤマトはそう補足すると、セイントに疑問を投げかけた。
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