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第四章 第二節 犯罪組織グランディスとの戦い
第929話 レイ、ヤタに追われる
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だが、そう返事した瞬間、ドォォーンという爆破音がして、自分がでてきた階段へのドアが吹き飛んだ。
みなくてもわかった。
ヤタがドアごと吹き飛ばしたのだ。
レイは上階へアクセスできる方法を目で探った。20メートルほど離れた場所に、エレベータがあるのを見つける。
瞬間的に駆け出していた。
素体のパワーをひきだせば、ほんの数歩、数秒の距離だ。
レイは3基あるエレベータから左端のものを選んだ。それが一番はやく乗れそうだとわかったからだ。
飛びつくように乗降スイッチに手をかけようとした瞬間、真横をなにかが通り抜けていくのを感じて、反射的に身を伏せた。
ふたたび轟音がして、目の前のエレベータのドアが吹き飛んだ。
這いつくばったレイの体の上を、ドアの破片が飛んで行く。
「甘いですね」
背後からヤタの声。
顔をそちら側にむけると、エア・バイクの正面にある開口部から煙が立ちぼっているのが見えた。
「特別仕様みたいね」
「もちろんですとも。ほかの連中とはちがってね。こちらは軍事仕様」
ヤタはすべるように近づいてくると、床に伏臥したままのレイを見おろした。
「そして、この素体もね」
そう言ったとたん、ヤタの背中から大ぶりの3本指の手が飛び出したかと思うと、長々と伸びて、レイのからだを背中から鷲掴みにした。
「あなたがたが壊してくれた守衛の素体よりも、堅牢な仕様です」
手がギューンと引き揚げられると、レイのからだが易々と持ちあげられた。
「簡単には奪わせない」
レイは腰のポーチを押さえつけながら、ヤタに宣言した。
「そうでしょうね。わたしもあなたから無理やり奪うつもりはありませんよ」
どういうこと……?
「あなたが手放すようにするだけです」
そう言うなり、エア・バイクを反転させて発進させた。
とたんに一斉に悲鳴があがった。
騒動に驚いて隠れるようにしてことの成り行きをみていた乗客たちは、自分たちにむかってエア・バイクが突進してくるのに恐怖したからだ。ひとびとが逃げまどっていた。ヤタはそんなことをかまわず、ひとの頭の上、ギリギリの高度でバイクを走らせる。
「なにをするつもり?」
レイはヤタに強い口調で訊いた。
だが、ヤタがなにをするつもりか、すでにわかっていた。
『セイント、まずいわ。ヤタはわたしを大型プールに落とすつもりよ』
レイは思念でセイントにコンタクトした。
『ああ。そのようだ。あそこはイベント兼用プールだから水深は10メートルほどある。素体の重さを考えると、一度沈んだら、自力では浮かびあがれないだろう』
『わたしを沈めてから、ドラゴンズ・ボールを奪い取るつもりなんでしょうね』
『ああ、まちがいないだろう』
『どうするつもり?』
セイントから返事がなかった。
やがて正面にドーム状の透明壁が見えてきた。そこがこのフロアの最後尾で、そこから下のプールを覗けるようになっている。
バシュっという空気が抜けるような音がしたかと思うと、バーンとど派手な音とともに正面の透明壁が砕け散った。ヤタのロケット弾だった。ぽっかりと開いた穴から、海風が吹き込んでくる。
バイクが外に飛びだすと、青空が視界いっぱいにひろがった。
「沈んでしまえぇぇぇぇ」
ヤタが叫ぶ。バイクが直滑降で数十メートル下のプールにむけて急降下していく。
「お願い、アスカ!」
レイは腰のポーチからドラゴンズ・ボールを取り出すと、真横に放りなげた。横から一陣の風がふいたかと思うと、アスカの乗ったエア・バイクがすり抜け際にボールをキャッチしていた。
「受け取ったわよ、レイ!」
みなくてもわかった。
ヤタがドアごと吹き飛ばしたのだ。
レイは上階へアクセスできる方法を目で探った。20メートルほど離れた場所に、エレベータがあるのを見つける。
瞬間的に駆け出していた。
素体のパワーをひきだせば、ほんの数歩、数秒の距離だ。
レイは3基あるエレベータから左端のものを選んだ。それが一番はやく乗れそうだとわかったからだ。
飛びつくように乗降スイッチに手をかけようとした瞬間、真横をなにかが通り抜けていくのを感じて、反射的に身を伏せた。
ふたたび轟音がして、目の前のエレベータのドアが吹き飛んだ。
這いつくばったレイの体の上を、ドアの破片が飛んで行く。
「甘いですね」
背後からヤタの声。
顔をそちら側にむけると、エア・バイクの正面にある開口部から煙が立ちぼっているのが見えた。
「特別仕様みたいね」
「もちろんですとも。ほかの連中とはちがってね。こちらは軍事仕様」
ヤタはすべるように近づいてくると、床に伏臥したままのレイを見おろした。
「そして、この素体もね」
そう言ったとたん、ヤタの背中から大ぶりの3本指の手が飛び出したかと思うと、長々と伸びて、レイのからだを背中から鷲掴みにした。
「あなたがたが壊してくれた守衛の素体よりも、堅牢な仕様です」
手がギューンと引き揚げられると、レイのからだが易々と持ちあげられた。
「簡単には奪わせない」
レイは腰のポーチを押さえつけながら、ヤタに宣言した。
「そうでしょうね。わたしもあなたから無理やり奪うつもりはありませんよ」
どういうこと……?
「あなたが手放すようにするだけです」
そう言うなり、エア・バイクを反転させて発進させた。
とたんに一斉に悲鳴があがった。
騒動に驚いて隠れるようにしてことの成り行きをみていた乗客たちは、自分たちにむかってエア・バイクが突進してくるのに恐怖したからだ。ひとびとが逃げまどっていた。ヤタはそんなことをかまわず、ひとの頭の上、ギリギリの高度でバイクを走らせる。
「なにをするつもり?」
レイはヤタに強い口調で訊いた。
だが、ヤタがなにをするつもりか、すでにわかっていた。
『セイント、まずいわ。ヤタはわたしを大型プールに落とすつもりよ』
レイは思念でセイントにコンタクトした。
『ああ。そのようだ。あそこはイベント兼用プールだから水深は10メートルほどある。素体の重さを考えると、一度沈んだら、自力では浮かびあがれないだろう』
『わたしを沈めてから、ドラゴンズ・ボールを奪い取るつもりなんでしょうね』
『ああ、まちがいないだろう』
『どうするつもり?』
セイントから返事がなかった。
やがて正面にドーム状の透明壁が見えてきた。そこがこのフロアの最後尾で、そこから下のプールを覗けるようになっている。
バシュっという空気が抜けるような音がしたかと思うと、バーンとど派手な音とともに正面の透明壁が砕け散った。ヤタのロケット弾だった。ぽっかりと開いた穴から、海風が吹き込んでくる。
バイクが外に飛びだすと、青空が視界いっぱいにひろがった。
「沈んでしまえぇぇぇぇ」
ヤタが叫ぶ。バイクが直滑降で数十メートル下のプールにむけて急降下していく。
「お願い、アスカ!」
レイは腰のポーチからドラゴンズ・ボールを取り出すと、真横に放りなげた。横から一陣の風がふいたかと思うと、アスカの乗ったエア・バイクがすり抜け際にボールをキャッチしていた。
「受け取ったわよ、レイ!」
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