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第四章 第二節 犯罪組織グランディスとの戦い
第920話 ユウキ、豪華客船へむかう
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ユウキはレイが撃ち落としたヤタの腕をつかんだまま、どうしたものか迷っていた。本当はどこか落ちついた場所で、この腕からボールだけを抜き取りたかったが、そんな余裕はとてもなさそうだった。
背後から10台以上のエア・バイクが血眼になって追いかけてきているのだからしかたがない。
ドラゴンズ・ボールを手にしているのだから当然だ。
ユウキはセイントの指示にしたがって、海岸沿いのコースへむかっていた。内陸を斜めに横切るショートカットのコースから、ヤタのせいでずいぶん沿岸部へ押し戻されたので、計画変更はいたしかたない。
『ユウキ、なんとか海上までたどりついてくれ』
セイントの指示が聞こえた。
「海上? 海岸沿いのコースではないのですか?」
『ああ。ヤタにずいぶん距離を戻されたからね。プランGに変更する。エトナ山付近まで近づく作戦だ。現在チェファルー沖を豪華客船が航行している。全長500メートル、二十五階建てのな。きみにはそこに飛び込んでほしい」
「豪華客船に?」
『ああ、ドラゴンズ・ボールはどんなに逃げても捕捉され続けられるが、その精度は横30メートル程度の範囲。高度についてはまったく考慮されてない。だから階層のある建物なら、どの階にいるかがわからなくなる。そこで敵の追手を翻弄しようというわけだ』
「で、タケルくんたちは?」
『心配ご無用だ。すでに乗務員の素体を乗っ取って、スタンバイ中だ……』
『たぶん、船内のカジノでディーラーかなにかやってるだろうよ』
------------------------------------------------------------
船内客の乗務員に憑依したヤマトたちは、セイントが揶揄したように、船内のカジノにいた。
ヤマトはキザを絵に描いたような男の姿を借りていたが、アスカ、エヴァ、クララは自分たちの顔を表示させていた。だが、その顔はAIによってアレンジを加えられ、実際の顔より10歳近く大人びていた。
「セイント! あたし、この顔好きになれないんだけどぉ」
『アスカくん、我慢してくれたまえ。そのままの顔を表示したら、きみたちが子供だってバレてしまう。かと言って、全然ちがう顔を使ったら、きみらも誰が誰かわからなくなるだろう』
「セイント、わたしは嫌いじゃないから安心して」
レイがそう言うと、クララも続いた。
「ええ、大人になった気分になれて、すこしテンションがあがりますわ。でも、乗務員ではなく乗客だったら、おしゃれもできたのですけどね……」
「ふん、ミッション中に、おしゃれもへったくれもないわ」
「動きやすいから、これでいい」
「まぁ…… まわりがみんな、すごくステキな格好をしているものですから……」
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『ユウキ、なんとか海上までたどりついてくれ』
セイントの指示が聞こえた。
「海上? 海岸沿いのコースではないのですか?」
『ああ。ヤタにずいぶん距離を戻されたからね。プランGに変更する。エトナ山付近まで近づく作戦だ。現在チェファルー沖を豪華客船が航行している。全長500メートル、二十五階建てのな。きみにはそこに飛び込んでほしい」
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『たぶん、船内のカジノでディーラーかなにかやってるだろうよ』
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