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第四章 第一節 四解文書 第一節 それを知れば憤怒にかられる
第878話 だったらあたしも特別な呼び方させてもらうわ
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「はん。あたしはタケルのこと、アキラ、って特別な呼び方させてもらってるわ」
アスカがそう言うと、クララとユウキが顔を見合わせた。それは当然だとヤマトは思った。アキラって呼ぶ、と宣言されたことはあったが、そう呼ばれたことは一度もないからだ。
「なぜ アキラですの?」
アスカは空中にホロ映像を呼びだすと、ヤマトの名前『託慧月』という文字を表示させた。
「タケルの名前の『託慧月』の真ん中の『慧』は『アキラ』っていい方するの。だからあたしちの『アキラとアスカ』もしっくりくるの!」
「アスカお姉さま。あたくしはお姉さまがたと張り合うつもりはありませんのよ。でも血の繋がった本当の兄妹なら、特別な呼び方があってもよいのではありませんの?」
そう言うと、アスカが中空に浮かべたままにしていた『託慧月』という名前の3D映像をしげしげと眺めた。が、すぐにぽんと手をうって叫んだ。
「ひらめきましたわ。あたくしは『託慧月』お兄さまの『月』という字をもらいますわ。そしてこの『月』を『ライト』って呼びます。いいですよね……」
「ライトお兄さま」
キラはほんとうに嬉しそうに笑った。
ヤマトはキラが本当の妹である、という実感はまだ持てなかったが、悪い気はしなかったので、曖昧にうなずいて肯定した。
「ああ、べ、べつにかまわない」
「さすが兄妹ね。すぐに打ち解けてくれて、ホッとする」
ミサトがやれやれと言わんばかりの口調で言った。
「ほかのパイロットたちともうまくやれそうだな」
ウルスラもどこかホッとした様子だった。
「司令官さん、あたりまえじゃありませんか。あたくしヤマト・タケルの妹であると同時に、デミリアンのパイロットなのですよ。まぁ、どうして火星人のあたくしに、セラ・マーズが割り当てられなかったのか不満はありますけどね」
その視線はマーズのパイロット、ユウキにむけられていた。
「いや、キラくん。それはわたしが決めたわけでは……」
「わかっておりますわ。ちょっと愚痴ってみただけです。ユウキ様」
キラにゆるりとあしらわれたユウキが、ヤマトのほうを見てきた。その顔には悪感情は感じられなかった。むしろ物おじしないキラとの会話を楽しんでいるようにみえた。
「あたくし疲れましたわ。月でも地球でもいろいろ手続きが面倒でしたから。今日は休ませてもらっていいでしょうか?」
アスカがそう言うと、クララとユウキが顔を見合わせた。それは当然だとヤマトは思った。アキラって呼ぶ、と宣言されたことはあったが、そう呼ばれたことは一度もないからだ。
「なぜ アキラですの?」
アスカは空中にホロ映像を呼びだすと、ヤマトの名前『託慧月』という文字を表示させた。
「タケルの名前の『託慧月』の真ん中の『慧』は『アキラ』っていい方するの。だからあたしちの『アキラとアスカ』もしっくりくるの!」
「アスカお姉さま。あたくしはお姉さまがたと張り合うつもりはありませんのよ。でも血の繋がった本当の兄妹なら、特別な呼び方があってもよいのではありませんの?」
そう言うと、アスカが中空に浮かべたままにしていた『託慧月』という名前の3D映像をしげしげと眺めた。が、すぐにぽんと手をうって叫んだ。
「ひらめきましたわ。あたくしは『託慧月』お兄さまの『月』という字をもらいますわ。そしてこの『月』を『ライト』って呼びます。いいですよね……」
「ライトお兄さま」
キラはほんとうに嬉しそうに笑った。
ヤマトはキラが本当の妹である、という実感はまだ持てなかったが、悪い気はしなかったので、曖昧にうなずいて肯定した。
「ああ、べ、べつにかまわない」
「さすが兄妹ね。すぐに打ち解けてくれて、ホッとする」
ミサトがやれやれと言わんばかりの口調で言った。
「ほかのパイロットたちともうまくやれそうだな」
ウルスラもどこかホッとした様子だった。
「司令官さん、あたりまえじゃありませんか。あたくしヤマト・タケルの妹であると同時に、デミリアンのパイロットなのですよ。まぁ、どうして火星人のあたくしに、セラ・マーズが割り当てられなかったのか不満はありますけどね」
その視線はマーズのパイロット、ユウキにむけられていた。
「いや、キラくん。それはわたしが決めたわけでは……」
「わかっておりますわ。ちょっと愚痴ってみただけです。ユウキ様」
キラにゆるりとあしらわれたユウキが、ヤマトのほうを見てきた。その顔には悪感情は感じられなかった。むしろ物おじしないキラとの会話を楽しんでいるようにみえた。
「あたくし疲れましたわ。月でも地球でもいろいろ手続きが面倒でしたから。今日は休ませてもらっていいでしょうか?」
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