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第四章 第一節 四解文書 第一節 それを知れば憤怒にかられる
第874話 火星の移民が地球へ
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あの火星に出現した亜獣をセラ・マーキュリーが駆逐してから一週間が経った。クルーはだれももやもやとした気持ちを抱えていた。そんなとき、驚くべき報告がもたらされた。
「火星星系の移民が地球星系へ移送されてくるですか?」
ウルスラ総司令からそう告げられて、まっさきに声をあげたのはミライ副司令だった。
「ああ、わたしも今さきほど連絡を受けたばかりだ」
「なぜです?」
「先日、火星に出現した亜獣は、セラ・マーキュリーが倒して、事無きを得たようにみえたが、その前に別のプラントが攻撃されていたらしい。そのせいで酸素生成量が不足し、火星とそのまわりのスペース・コロニーの絶対量をまかなえなくなったそうだ」
「それに……」
ウルスラのことばを補完するように、ミサトが続けた。
「あの戦いでプラントは守られたように見えたけど、あの爆弾の威力の反動で一部に破損を生じたらしいの。その修理にすくなくとも半年はかかるっていう話よ」
「移送人数はどれくらいなのでしょう?」
ユウキが尋ねた。
「まだ知らされてないわ。でも予測シミュレーションでは5万人ほどにはなりそう」
「5万人って、どこの国が受け入れるのよぉ」
アスカがため息まじりに訊いた。
「ぶっちゃけ、火星星系と地球星系、あんまり仲がいいとは言えないもの」
「ええ。それは国際連邦が今、その受け入れ先を選定しているところ。でも、おそらく暫定的に、月基地のほうで受け入れって形になるでしょうね」
「は! あいかわらずね。厄介事は月基地ばっかりに押しつけるっていうわけね」
「ほんとうに。わたしたち訓練生も、月基地に押しつけられましたからね」
クララが不快そうに顔をゆがめて、アスカに同調する。
「クララくん。わたしはけっして押しつけられた、という印象はないのだがね」
「まぁ、そうですか。たしかにわたしたちは、選ばれた人材ではありますけど、月基地に訓練生が集められているのは、ひとめにつかないというのが大きいですよね」
「ん、まぁ、それはいなめないが……」
「ミサト、それで移民の月基地へ移送はいつ開始されるの?」
春日リンがユウキたちの話の腰をおるように、わってはいった。
「リン、それがすでに第一陣はむこうを出立済みっていうのよ」
「もう? じゃあ10日もすれば月に到着するっていうわけ?」
「ええ、そうなの……」
ミサトがちらりとウルスラのほうに目配せした。ヤマトはその動作を見逃さなかった。
「ミサトさん、なにか問題があるんですね」
ふいをつかれてミサトは驚きの表情を隠し切れなかった。全員の視線がミサトに集まる。
すると、ウルスラが一歩前に踏み出しながら言った。
「セラ・マーキュリーも一緒にくる」
「火星星系の移民が地球星系へ移送されてくるですか?」
ウルスラ総司令からそう告げられて、まっさきに声をあげたのはミライ副司令だった。
「ああ、わたしも今さきほど連絡を受けたばかりだ」
「なぜです?」
「先日、火星に出現した亜獣は、セラ・マーキュリーが倒して、事無きを得たようにみえたが、その前に別のプラントが攻撃されていたらしい。そのせいで酸素生成量が不足し、火星とそのまわりのスペース・コロニーの絶対量をまかなえなくなったそうだ」
「それに……」
ウルスラのことばを補完するように、ミサトが続けた。
「あの戦いでプラントは守られたように見えたけど、あの爆弾の威力の反動で一部に破損を生じたらしいの。その修理にすくなくとも半年はかかるっていう話よ」
「移送人数はどれくらいなのでしょう?」
ユウキが尋ねた。
「まだ知らされてないわ。でも予測シミュレーションでは5万人ほどにはなりそう」
「5万人って、どこの国が受け入れるのよぉ」
アスカがため息まじりに訊いた。
「ぶっちゃけ、火星星系と地球星系、あんまり仲がいいとは言えないもの」
「ええ。それは国際連邦が今、その受け入れ先を選定しているところ。でも、おそらく暫定的に、月基地のほうで受け入れって形になるでしょうね」
「は! あいかわらずね。厄介事は月基地ばっかりに押しつけるっていうわけね」
「ほんとうに。わたしたち訓練生も、月基地に押しつけられましたからね」
クララが不快そうに顔をゆがめて、アスカに同調する。
「クララくん。わたしはけっして押しつけられた、という印象はないのだがね」
「まぁ、そうですか。たしかにわたしたちは、選ばれた人材ではありますけど、月基地に訓練生が集められているのは、ひとめにつかないというのが大きいですよね」
「ん、まぁ、それはいなめないが……」
「ミサト、それで移民の月基地へ移送はいつ開始されるの?」
春日リンがユウキたちの話の腰をおるように、わってはいった。
「リン、それがすでに第一陣はむこうを出立済みっていうのよ」
「もう? じゃあ10日もすれば月に到着するっていうわけ?」
「ええ、そうなの……」
ミサトがちらりとウルスラのほうに目配せした。ヤマトはその動作を見逃さなかった。
「ミサトさん、なにか問題があるんですね」
ふいをつかれてミサトは驚きの表情を隠し切れなかった。全員の視線がミサトに集まる。
すると、ウルスラが一歩前に踏み出しながら言った。
「セラ・マーキュリーも一緒にくる」
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