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第四章 第一節 四解文書 第一節 それを知れば憤怒にかられる
第857話 エンアイムとイオージャとの戦いの顛末3
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さきほど以上に議場がざわついた。
だがウルスラにとっては、さざ波や小川のせせらぎのような、耳に心地いい音に聞こえた。
もっともらしい理由、そして事務総長や議員たちの自尊心をくすぐり、それでいて己に及んだかもしれないという危機感を喚起してのけたのだ。
もう一押し——
ウルスラはミサトを目で促した。
「議員のみなさん。想像してみていただけますか」
ミサトがここぞとばかりに悲痛な口調で、声をはりあげた。
「この議場のなかに魔法少女が飛んでいることを。ゴーストで遠隔で参加されている方は、今貴方がたが座っているRV(リアル・バーチャリティ)装置のすぐ外に、ひとのからだをいとも簡単にバラバラにする力をもつ、魔法少女がうろついていると」
「わたしたちは2体の亜獣と戦っているさなか、そのような状態にあったのです。エド、江戸川イアン博士が魔法少女エンマ・アイによって『魔法使い』に変えられ、彼は操られるまま、仲間や部下たちを魔法少女にしていったのです」
ウルスラがミサトをひきついだ。
「カツライ・ミサト司令は、5メートル以内に近づけばなにもかもをバラバラにする力をもった魔法少女と、壁一枚隔てた場所で指揮をふるい、2体の亜獣との戦いを指示した。自分がバラバラにされる恐怖とも戦いながらね」
「この戦いに勝利していなければ、世界中に潜伏している魔法少女はいまだ猛威をふるい、今この瞬間もあなたを、あなたの大切なひとを、魔法少女という亜獣に変えるか、バラバラにしてしまっているかもしれないのです」
ミサトが続ける。
「4万人超の犠牲者はほんとうに残念です。わたしの力が及ばなかった、いましめの数字です。ですが、こののちにおきたであろう数十万、数百万もの惨劇をここで食い止めた、という勝利の数字でもあるのです」
「これは国際連邦の議員方の、英断なしにはなし得なかった、とわたしは確信しています」
議場全体が静まり返っていた。さきほどまでのざわつき、さざ波ひとつなかった。
が、次の瞬間、頭上から拍手の雨が降り注いできた。
スタンディング・オべージョン——
実際にいる議員も、『素体』で参加している議員も、ゴーストで実体のない議員も、みなたちあがって、拍手していた。
華々しい茶番——
ウルスラは鼻を鳴らしそうになったが、目を真っ赤にして議員たちに手をふるミサトの姿をみて、しぶしぶと手をあげた。
完璧すぎる茶番劇はおもしろくなかったが——
わるい気分はしなかった。
だがウルスラにとっては、さざ波や小川のせせらぎのような、耳に心地いい音に聞こえた。
もっともらしい理由、そして事務総長や議員たちの自尊心をくすぐり、それでいて己に及んだかもしれないという危機感を喚起してのけたのだ。
もう一押し——
ウルスラはミサトを目で促した。
「議員のみなさん。想像してみていただけますか」
ミサトがここぞとばかりに悲痛な口調で、声をはりあげた。
「この議場のなかに魔法少女が飛んでいることを。ゴーストで遠隔で参加されている方は、今貴方がたが座っているRV(リアル・バーチャリティ)装置のすぐ外に、ひとのからだをいとも簡単にバラバラにする力をもつ、魔法少女がうろついていると」
「わたしたちは2体の亜獣と戦っているさなか、そのような状態にあったのです。エド、江戸川イアン博士が魔法少女エンマ・アイによって『魔法使い』に変えられ、彼は操られるまま、仲間や部下たちを魔法少女にしていったのです」
ウルスラがミサトをひきついだ。
「カツライ・ミサト司令は、5メートル以内に近づけばなにもかもをバラバラにする力をもった魔法少女と、壁一枚隔てた場所で指揮をふるい、2体の亜獣との戦いを指示した。自分がバラバラにされる恐怖とも戦いながらね」
「この戦いに勝利していなければ、世界中に潜伏している魔法少女はいまだ猛威をふるい、今この瞬間もあなたを、あなたの大切なひとを、魔法少女という亜獣に変えるか、バラバラにしてしまっているかもしれないのです」
ミサトが続ける。
「4万人超の犠牲者はほんとうに残念です。わたしの力が及ばなかった、いましめの数字です。ですが、こののちにおきたであろう数十万、数百万もの惨劇をここで食い止めた、という勝利の数字でもあるのです」
「これは国際連邦の議員方の、英断なしにはなし得なかった、とわたしは確信しています」
議場全体が静まり返っていた。さきほどまでのざわつき、さざ波ひとつなかった。
が、次の瞬間、頭上から拍手の雨が降り注いできた。
スタンディング・オべージョン——
実際にいる議員も、『素体』で参加している議員も、ゴーストで実体のない議員も、みなたちあがって、拍手していた。
華々しい茶番——
ウルスラは鼻を鳴らしそうになったが、目を真っ赤にして議員たちに手をふるミサトの姿をみて、しぶしぶと手をあげた。
完璧すぎる茶番劇はおもしろくなかったが——
わるい気分はしなかった。
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