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第三章 第七節 さよならアイ
第807話 ヤマト、エンアイムに刃を突き立てる
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亜獣エンアイムの外皮は見てくれほどぶ厚くなかった。
ヤマト・タケルがサムライ・ソードを突き立てると、想像したより手応えなく、深々と刃がささっていった。
幾層にも重なって行く手を遮ってきた、魔法少女のカーテンをくぐりぬけ、ヤマトはついにエンアイム本体にたどりついていた。エンマ・アイの姿形をうしなった魔法少女は、すでにヤマトには脅威とはいえない存在で、ただの邪魔でしかなかった。
エンマ・アイの姿であっても、ヤマトはむごいまでの仕打ちで魔法少女をたたきのめしていたが、姿をうしなってからは、ほんのわずか残っていた躊躇の欠片もなくなった。ものの数分でほとんどの魔法少女を殲滅し、一気にエンアイム本体に攻撃をかけていた。
エンアイムはマンゲツのサムライ・ソードに刺し貫かれても、なんの反応もなかった。なにかを吐きだしたり、隠し球の必殺技をだしたりしてくることもなければ、手ではねのけようともしなかった。もしそうしたくても、そもそも両腕はアスカとクララの元にある。
「本部、なんの反応もない」
「ヤマト少尉、おそらくエンアイムは、魔法少女を製造する力だけしかもたない亜獣だと思われます。護衛する魔法少女をうしなっては、なにもできないでしょう」
金田日がやたらかしこまって助言してきた。
「金田日さん。ヤマトでいいよ。かしこまって呼ぶのは、ミライ副司令だけで充分だよ」
「あ、はい。いや、うん。ではヤマトくん。エンアイムの上まで昇れるかい?」
「上……ですか?」
「ああ。その空にむかって広がっているスカートのような部分。そのなかにひとびとを巻込んで、魔法少女を作ってるんだ。ひとびとはそこから内部に取り込まれてる」
「そこから内部にアクセスできる、ってことですね」
「ああ。たぶん…… そしてそこが弱点だと思う」
ヤマトは上を見あげた。
エンアイムを上空から映しているカメラ映像では、もうひとつわかりにくかったが、あがってみれば、なにか糸口がつかめるだろう。
「了解しました」
そう返事をすると、正面映像がレイに切り替わった。
「タケル、そちらはあとどれくらいでエンアイムを倒せそう?」
「いまからエンアイムに昇る。内部から破壊できれば、すぐだ」
「そう…… じゃあ、待ってる。無理して魔法少女に守られているイオージャと戦う必要はないから」
「ああ…… そうだね。ぼくがエンアイムを倒せば、きみたちの戦いはぐっと楽になる」
「そうよ、タケル。あたしたちのおかげで、あなたが戦いやすくなったようにね」
今度は正面映像にアスカの顔が浮かびあがった。
「ええ、そうですとも。もうアイさんの戯れ言に悩まされずにすんだでしょう」
クララが正面映像を半分に切り分けて乗っ取ってきた。
「ああ…… アスカとクララのおかげだ。ぼくはなんのためらいもなく、このエンアイムと対峙できる」
「ならば急いでほしい、タケルくん。われわれもイオージャを目の前にして、いつまでも見ているだけ、というのも許されなくなるからね」
ユウキが困ったような顔で言ってきた。
「ああ、ユウキ。もうすこしでお終いだ。魔法少女がいなくなれば、バラバラ光線に煩わされることなく、存分に戦えるだろうかね」
「頼んだよ」
ヤマト・タケルがサムライ・ソードを突き立てると、想像したより手応えなく、深々と刃がささっていった。
幾層にも重なって行く手を遮ってきた、魔法少女のカーテンをくぐりぬけ、ヤマトはついにエンアイム本体にたどりついていた。エンマ・アイの姿形をうしなった魔法少女は、すでにヤマトには脅威とはいえない存在で、ただの邪魔でしかなかった。
エンマ・アイの姿であっても、ヤマトはむごいまでの仕打ちで魔法少女をたたきのめしていたが、姿をうしなってからは、ほんのわずか残っていた躊躇の欠片もなくなった。ものの数分でほとんどの魔法少女を殲滅し、一気にエンアイム本体に攻撃をかけていた。
エンアイムはマンゲツのサムライ・ソードに刺し貫かれても、なんの反応もなかった。なにかを吐きだしたり、隠し球の必殺技をだしたりしてくることもなければ、手ではねのけようともしなかった。もしそうしたくても、そもそも両腕はアスカとクララの元にある。
「本部、なんの反応もない」
「ヤマト少尉、おそらくエンアイムは、魔法少女を製造する力だけしかもたない亜獣だと思われます。護衛する魔法少女をうしなっては、なにもできないでしょう」
金田日がやたらかしこまって助言してきた。
「金田日さん。ヤマトでいいよ。かしこまって呼ぶのは、ミライ副司令だけで充分だよ」
「あ、はい。いや、うん。ではヤマトくん。エンアイムの上まで昇れるかい?」
「上……ですか?」
「ああ。その空にむかって広がっているスカートのような部分。そのなかにひとびとを巻込んで、魔法少女を作ってるんだ。ひとびとはそこから内部に取り込まれてる」
「そこから内部にアクセスできる、ってことですね」
「ああ。たぶん…… そしてそこが弱点だと思う」
ヤマトは上を見あげた。
エンアイムを上空から映しているカメラ映像では、もうひとつわかりにくかったが、あがってみれば、なにか糸口がつかめるだろう。
「了解しました」
そう返事をすると、正面映像がレイに切り替わった。
「タケル、そちらはあとどれくらいでエンアイムを倒せそう?」
「いまからエンアイムに昇る。内部から破壊できれば、すぐだ」
「そう…… じゃあ、待ってる。無理して魔法少女に守られているイオージャと戦う必要はないから」
「ああ…… そうだね。ぼくがエンアイムを倒せば、きみたちの戦いはぐっと楽になる」
「そうよ、タケル。あたしたちのおかげで、あなたが戦いやすくなったようにね」
今度は正面映像にアスカの顔が浮かびあがった。
「ええ、そうですとも。もうアイさんの戯れ言に悩まされずにすんだでしょう」
クララが正面映像を半分に切り分けて乗っ取ってきた。
「ああ…… アスカとクララのおかげだ。ぼくはなんのためらいもなく、このエンアイムと対峙できる」
「ならば急いでほしい、タケルくん。われわれもイオージャを目の前にして、いつまでも見ているだけ、というのも許されなくなるからね」
ユウキが困ったような顔で言ってきた。
「ああ、ユウキ。もうすこしでお終いだ。魔法少女がいなくなれば、バラバラ光線に煩わされることなく、存分に戦えるだろうかね」
「頼んだよ」
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