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第三章 第七節 さよならアイ
第804話 ぼくは死にかかっているのか?
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エドの足がふいにスピードを落とした。
自分の意志がからだの暴走に勝った、と一瞬思った。だが、残った右手が撃ち抜かれた腹を抑え込んでいるのをみて、単純に体力がうしなわれただけだと理解した。ふりむくと廊下に点々と血痕が残っている。
死にかかってる?
ぼくは死にかかっているのか——?
エドはよろよろと足をもつれさせながら、通路の壁によりかかった。
そして血まみれの右手をもちあげると、中空にデータスクリーンを呼びだした。目の前に現在地を中心とした地図が現われる。
日本支部の中腹にいることがわかった。
エドは手のひらをよこにスワイプした。地図の端のほうに赤く点滅している場所がみえた。そこへズームするよう念じる。
そこはシミュレーションエリアだった。
街ひとつがまるまるダミーで作れる広大なエリア。
そして自分が魔法少女を呼び込もうとしたエリアでもある——
エドは自分がそこへ逃げ込もうとして、向っていたことがわかった。リュウ・リョウマの事件でも、草薙大佐たちは偽物に陽動されて、このエリアで苦戦させられたと聞いていた。
たしかにここなら、草薙大佐たちであっても、探しだすのは容易ではない。時間を稼ぐことができれば、反撃にうってでれるはずだ。
だが、なぜ——?
なぜぼくはそんなことをしなければならない——?
そのとき、目の前に投影されている地図データの脇に表示されているカメラの映像に気づいた。自分がいる廊下が映った映像だ。
そこに壁にもたれかかっている自分の姿があった。
エドはぎくりとした。
それは絶対に自分なのに、自分の姿だと思えなかったからだ。
からだじゅうの汗腺から、どっと汗がふきだす。
エドはおそるおそる、ズームアップを念じた。
そこにいるのは、悪鬼ともいえる化物の姿だった。自分の顔だちの面影こそわずかに感じられたが、まるで別人、いや別の生物のような形相だった。
まるで亜獣……
そう思った瞬間、頭のなかにどっと記憶が押し寄せてきた。まるで500年前のモノクロームのフィルムのような不鮮明さで、記憶のリールがまわった。
それは自分が魔法少女カヤメ・マドカ、いや、お面をかぶって正体をかくしていたエンマ・アイから、魔法使いの能力を受け取ったときの記憶だった。もちろん顔や声などは加工されていない。
なぜ自分がそんな誘いにのったのか——
自分の意志がからだの暴走に勝った、と一瞬思った。だが、残った右手が撃ち抜かれた腹を抑え込んでいるのをみて、単純に体力がうしなわれただけだと理解した。ふりむくと廊下に点々と血痕が残っている。
死にかかってる?
ぼくは死にかかっているのか——?
エドはよろよろと足をもつれさせながら、通路の壁によりかかった。
そして血まみれの右手をもちあげると、中空にデータスクリーンを呼びだした。目の前に現在地を中心とした地図が現われる。
日本支部の中腹にいることがわかった。
エドは手のひらをよこにスワイプした。地図の端のほうに赤く点滅している場所がみえた。そこへズームするよう念じる。
そこはシミュレーションエリアだった。
街ひとつがまるまるダミーで作れる広大なエリア。
そして自分が魔法少女を呼び込もうとしたエリアでもある——
エドは自分がそこへ逃げ込もうとして、向っていたことがわかった。リュウ・リョウマの事件でも、草薙大佐たちは偽物に陽動されて、このエリアで苦戦させられたと聞いていた。
たしかにここなら、草薙大佐たちであっても、探しだすのは容易ではない。時間を稼ぐことができれば、反撃にうってでれるはずだ。
だが、なぜ——?
なぜぼくはそんなことをしなければならない——?
そのとき、目の前に投影されている地図データの脇に表示されているカメラの映像に気づいた。自分がいる廊下が映った映像だ。
そこに壁にもたれかかっている自分の姿があった。
エドはぎくりとした。
それは絶対に自分なのに、自分の姿だと思えなかったからだ。
からだじゅうの汗腺から、どっと汗がふきだす。
エドはおそるおそる、ズームアップを念じた。
そこにいるのは、悪鬼ともいえる化物の姿だった。自分の顔だちの面影こそわずかに感じられたが、まるで別人、いや別の生物のような形相だった。
まるで亜獣……
そう思った瞬間、頭のなかにどっと記憶が押し寄せてきた。まるで500年前のモノクロームのフィルムのような不鮮明さで、記憶のリールがまわった。
それは自分が魔法少女カヤメ・マドカ、いや、お面をかぶって正体をかくしていたエンマ・アイから、魔法使いの能力を受け取ったときの記憶だった。もちろん顔や声などは加工されていない。
なぜ自分がそんな誘いにのったのか——
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