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第三章 第七節 さよならアイ
第777話 エンマ・アイの死2
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身動きできなくなった亜獣に、タケルはひたすら攻撃を加えていった。やわらかい部分を斬ったり、突き刺したりして、どこかに弱点がないか自分の手で探していた。
「ヤマトくん、いま分析結果がでた」
エドの声がはずんでいた。
「やっぱり、その固い甲羅でおおわれている首の部分に、あらゆる重要器官が集まっていた。頭を切り離せば、この亜獣は退治できる!」
「いや、でもこいつは簡単には斬り落せない。アル、どうすればいい?」
「タケル。すまねぇがアイに変わってくれねぇか?」
わざわざアルに指名されて、すこしドキッとした。
ショックを必死で抑え込んでいるなかで、これ以上、なにかをやれと命じられても、応じきれるか、自信がない……
「アル、あたしなのぉ。タケルにできないのに、あたしにやれることなんてないわよ」
「そーでもねぇんだよ、アイ。こいつの弱点はおまえさんの槍のほうが向いてるのさ。槍を短くたたんで、そいつの首回りの甲羅に突き立ててくれないか」
「アイちゃん。その甲羅にはわずかだけど隙間があるんだよ。そこに槍の刃をさしいれて、甲羅を破壊してもらいたいんだ」
アルとエドに続けざまにそうアドバイスされて、あたしは亜獣の首元を見おろした。
たしかに岩のような甲羅には、帯状に隙間があった。
「おそらく、空気穴とか汗腺とかそういうものが通っているんだと思う」
あたしは槍の柄を短く縮めると、亜獣の首筋の隙間にむかって突き立てた。
ガチンという反動があって、刃が跳ね返された。
「アイ、もう一度だ。狙う場所に『光誘導マーキング』をしてから、やってみてくれや」
アルの指示にしたがって、狙うべき隙間部分に光をあてて、マーキングした。これで槍の穂先はそのマーキング位置に、スムーズに導かれるはずだ。
あたしは渾身の力で槍先を一気にたたきこんだ。
今度はうまくいった。
槍の先が甲羅の隙間を穿って、隙間を押し広げた。
これを数回繰り返すと、点のような隙間が、おおきくひろがり、甲羅の下に隠れていた首筋があらわになってきた。
「アル、エド! 甲羅に穴があいたわよ。次どうすればいい?」
「アイちゃん、一箇所じゃなくて、もう何箇所か穴をあけてほしい」
「わりぃが、アイ。隙間をひろげてくれるだけいい。それだけでこの甲羅はずいぶんもろくなっちまう。そうなりゃ、タケルのサムライ・ソードでそいつの首を落とせる」
「ヤマトくん、いま分析結果がでた」
エドの声がはずんでいた。
「やっぱり、その固い甲羅でおおわれている首の部分に、あらゆる重要器官が集まっていた。頭を切り離せば、この亜獣は退治できる!」
「いや、でもこいつは簡単には斬り落せない。アル、どうすればいい?」
「タケル。すまねぇがアイに変わってくれねぇか?」
わざわざアルに指名されて、すこしドキッとした。
ショックを必死で抑え込んでいるなかで、これ以上、なにかをやれと命じられても、応じきれるか、自信がない……
「アル、あたしなのぉ。タケルにできないのに、あたしにやれることなんてないわよ」
「そーでもねぇんだよ、アイ。こいつの弱点はおまえさんの槍のほうが向いてるのさ。槍を短くたたんで、そいつの首回りの甲羅に突き立ててくれないか」
「アイちゃん。その甲羅にはわずかだけど隙間があるんだよ。そこに槍の刃をさしいれて、甲羅を破壊してもらいたいんだ」
アルとエドに続けざまにそうアドバイスされて、あたしは亜獣の首元を見おろした。
たしかに岩のような甲羅には、帯状に隙間があった。
「おそらく、空気穴とか汗腺とかそういうものが通っているんだと思う」
あたしは槍の柄を短く縮めると、亜獣の首筋の隙間にむかって突き立てた。
ガチンという反動があって、刃が跳ね返された。
「アイ、もう一度だ。狙う場所に『光誘導マーキング』をしてから、やってみてくれや」
アルの指示にしたがって、狙うべき隙間部分に光をあてて、マーキングした。これで槍の穂先はそのマーキング位置に、スムーズに導かれるはずだ。
あたしは渾身の力で槍先を一気にたたきこんだ。
今度はうまくいった。
槍の先が甲羅の隙間を穿って、隙間を押し広げた。
これを数回繰り返すと、点のような隙間が、おおきくひろがり、甲羅の下に隠れていた首筋があらわになってきた。
「アル、エド! 甲羅に穴があいたわよ。次どうすればいい?」
「アイちゃん、一箇所じゃなくて、もう何箇所か穴をあけてほしい」
「わりぃが、アイ。隙間をひろげてくれるだけいい。それだけでこの甲羅はずいぶんもろくなっちまう。そうなりゃ、タケルのサムライ・ソードでそいつの首を落とせる」
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