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第三章 第六節 ミリオンマーダラー

第733話 草薙素子到着!

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「アル、なぜ、嘘をつく!」

「なにが映っているかわからない映像なら、なぜきみは世界一のセキュリティサーバーに封印しようとしたんだ!」

 しくじった——
 ただストレートにそう思った。

「アル!」
 エドが強く叫んだ。糾弾するような口調。
 そのとき、出口のほうで、重々しいセキュリティ扉が上にあがり、機械音のようなものが聞こえてきた。アルは憲兵隊の移送ロボットが到着したと思い、エドの肩越しにそちらに目をやった。それにつられるようにエドもふりむく。

 そこには憲兵隊の移送ロボットの列と、その上を滑るようにして飛んでくる2台のエア・バイクの姿があった。

 草薙素子大佐だった——
 
 草薙の乗ったバイクはロボットを追い抜いてくると、アルたちから数メートル離れた空中で静止した。

 エドは状況を把握できず、きょとんとした顔をしている。草薙はヴァーサタイル・ヘルメットの表面を指でタッチして、ちいさく収縮させながら言った。
「エド博士。よかった。無事でしたのね」
 そのことばを聞いて、やっと自分を探しに来てくれたのだと理解したようだった。

「ぼくを探しに?」

「申し訳ありませんでした。わたしの部下が博士を守りきれず、たいへん危険な目にあわせてしまいました。ですがもう安全です」
「あ……ああ……そ、そうだね。きみの部下のひとりは、魔法少女の頭が生きていたせいで、魔法少女に変えられた。あぶなかったよ」
「ほんとうに怖い思いをされたと思います。許してください。いま部下のサイトーが魔法少女にされた、その部下の駆除にむかっております」
 そう言うとうしろについてきた、もう一台のバイクに乗った兵士に目配せした。その兵士は無言でうなずくと、空間におおきな基地の見取り図を表示した。
「草薙大佐。サイトー少佐が魔法少女を殲滅せんめつして、もうすぐこちらへ到着いたします」
 兵士が基地の地図上に、『×』のマークが点滅しているところを指さす。
「了解した。サイトーたちに武器を再確認するように伝えてくれ」
 草薙は兵士にそう指示すると、エドのほうへ向き直った。
「エド博士。もうすこし時間をください。別動隊が合流したら、一緒に司令室へもどりましょう」
 エドはふいにアルを指さした。

「草薙大佐、アルが基地内の魔法少女に関する重要な映像データを、勝手に軍事機密アーカイブに移動して隠匿した。取り調べてくれ!」
 草薙の顔がすぐに、興味深そうな顔つきに変わった。

「ほう、基地内の魔法少女の? それはどんなものです?」
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