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第三章 第六節 ミリオンマーダラー
第729話 対魔法少女用銃
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管理ロボットが報告してきた。出口付近でその隊列の積み荷を、遠隔で再チェックしている個体だ。
『アルさん、積み荷の送付先、数量、種類、問題ありませんでしたでしょうか』
「問題ない。で、こいつが届いたとして、カバー率はどれくらいだ?」
『エリアカバー率は全体の45・3%%、本棟だけでしたら93・5%。ただし人員のカバー率はマックスでも33・2%程度です』
「そんなのはわかってる。元から全員にゃあ行き渡る数は用意できねぇし、あれを使える人材にも限りがあるからな」
『銃は使われないのですか?。あれを配れば剣や刀をつかえなくても対抗できるかと……』
アルは腰から銃を引き抜いた。それはピストルより大ぶりの銃で、ショットガンを片手サイズに縮めたような武骨な作りをしていた。今から600年前に拳銃が製造された、初期の短筒銃を思い出させるデザインだ。
「バカ言ってくれんな。ありゃ、射程距離が2メートルしかねぇんだ。どこのだれが魔法少女にそんなに近づいて、銃をぶっぱなせるんだ」
「たったの2メートルだって?」
ふいにうしろから聞こえた声に、アルはすばやくふりむくなり銃を構えた。
そこにいたのはエドだった。
「おい、エド。どういうことだい?」
アルは銃を構えた腕を、すこし下にむけただけにとどめた。
「いま、基地内を歩き回っちゃあ、いけないことになってんだろ」
「あぁ、知ってる」
「それに作戦のまっただなかじゃねぇのか」
「ああ、すぐに戻らないといけない。だがそれはアル、きみもおなじだろう。名古屋にイオージャ、渋谷にエンアイムがどうじに現われたんだからね」
「しかたねぇだろ。こんな事態なんだから。今は玄羽介に任せている」
「ぼくも金田日にお願いしている」
「だが、なんでこの緊急時に……」
「アル、きみにどうしても尋ねたいことがあって来た。それも直接ね」
エドはめがねの縁に指でつまみあげ、すこし持ちあげてから言った。
相手に対して優位性をしめそうとする、エドの見慣れた仕草だ。アルは銃をつきだしていた腕を、上にもちあげてばんざいをしてみせた。ひきがねから指をはずして、手のひらにのせてエドのほうにむける。
「こいつは魔法少女用の銃でね」
『アルさん、積み荷の送付先、数量、種類、問題ありませんでしたでしょうか』
「問題ない。で、こいつが届いたとして、カバー率はどれくらいだ?」
『エリアカバー率は全体の45・3%%、本棟だけでしたら93・5%。ただし人員のカバー率はマックスでも33・2%程度です』
「そんなのはわかってる。元から全員にゃあ行き渡る数は用意できねぇし、あれを使える人材にも限りがあるからな」
『銃は使われないのですか?。あれを配れば剣や刀をつかえなくても対抗できるかと……』
アルは腰から銃を引き抜いた。それはピストルより大ぶりの銃で、ショットガンを片手サイズに縮めたような武骨な作りをしていた。今から600年前に拳銃が製造された、初期の短筒銃を思い出させるデザインだ。
「バカ言ってくれんな。ありゃ、射程距離が2メートルしかねぇんだ。どこのだれが魔法少女にそんなに近づいて、銃をぶっぱなせるんだ」
「たったの2メートルだって?」
ふいにうしろから聞こえた声に、アルはすばやくふりむくなり銃を構えた。
そこにいたのはエドだった。
「おい、エド。どういうことだい?」
アルは銃を構えた腕を、すこし下にむけただけにとどめた。
「いま、基地内を歩き回っちゃあ、いけないことになってんだろ」
「あぁ、知ってる」
「それに作戦のまっただなかじゃねぇのか」
「ああ、すぐに戻らないといけない。だがそれはアル、きみもおなじだろう。名古屋にイオージャ、渋谷にエンアイムがどうじに現われたんだからね」
「しかたねぇだろ。こんな事態なんだから。今は玄羽介に任せている」
「ぼくも金田日にお願いしている」
「だが、なんでこの緊急時に……」
「アル、きみにどうしても尋ねたいことがあって来た。それも直接ね」
エドはめがねの縁に指でつまみあげ、すこし持ちあげてから言った。
相手に対して優位性をしめそうとする、エドの見慣れた仕草だ。アルは銃をつきだしていた腕を、上にもちあげてばんざいをしてみせた。ひきがねから指をはずして、手のひらにのせてエドのほうにむける。
「こいつは魔法少女用の銃でね」
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