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第三章 第六節 ミリオンマーダラー
第708話 意見があうことがないと思ってたわ
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「あなたとわたしは水と油みたいに意見があうことがないと思ってたわ」
「ええ。そうですね……」
「でもその考え、わたしも一緒です。わたしもミサト司令とは、アプローチがいつも真逆で合わないと思ってました」
「真逆か。お互いに鏡をみているようなものだったかもね」
「かもしれません。わたしも性別のちがいをひきあいにだしたくないですが、あの亜獣エンアイムは、亜獣のむきだしの本能でうごいているとは思えないと感じています」
自分でもおどろくほど本心を口にして、ミライにはすこしばかり居心地がわるかった。
「わたしもおなじ意見よ」
そんなミライの気持ちを見透かしたように、春日リンがふたりの対話に飛び込んできた。
「ミサト、いえ、ミサト司令、ミライ副司令。わたしもこのエンアイムという亜獣は、エンマ・アイの脳を取り込むことで、彼女の記憶や思考ルーチンに影響を受けていると考えています。ある意味、むこうがエンマ・アイに取り込まれてしまっているのかもしれません」
「リン、じゃあ、あなたは具体的にあの亜獣、いえ、あのおんなはなにをしようとしていると思う?」
「残念だけど、具体的には思い浮かばない……。でも生前のあの子を知っていると、タケルくんをうんと困らせようとするんじゃないかって……」
「困らせる?。リン、それは意地悪をするってこと?」
「ええ、たぶん……。これまでも芝居がかった登場をしたり、挑発じみた言動でタケルくんを翻弄してきた。あれって、実にアイっぽいの」
「それがエンマ・アイっぽいのですか?」
ミライはなにかが腑に落ちた気がして、なんの他意もなく質問した。
「ええ。タケルくんの気をひきたくて、どうしても無視できないような言動をとることがよくあった。よく言えば無邪気だったと言えるかもしれない」
ミライはゾクッとした。
その瞬間、自分がさっきなにに怖気だっていたのか、わかったような気がした。
「もし、亜獣エンアイムがエンマ・アイそのものだとしたら、あの亜獣はヤマト少尉を拘束しようとしてるんだと思います。『愛』というきれいごとを押しつけてね」
「愛を押しつけて?」
ミサトは怪訝そうな顔をミライにむけてきた。
「カツライ司令もおっしゃっていましたよね。『あの亜獣はなにをたくらんでるの?』って。本能的に感じられたんじゃないですか?。あの亜獣に女のみにくいエゴのようなものを」
「それはどうかしら……」
「ええ。そうですね……」
「でもその考え、わたしも一緒です。わたしもミサト司令とは、アプローチがいつも真逆で合わないと思ってました」
「真逆か。お互いに鏡をみているようなものだったかもね」
「かもしれません。わたしも性別のちがいをひきあいにだしたくないですが、あの亜獣エンアイムは、亜獣のむきだしの本能でうごいているとは思えないと感じています」
自分でもおどろくほど本心を口にして、ミライにはすこしばかり居心地がわるかった。
「わたしもおなじ意見よ」
そんなミライの気持ちを見透かしたように、春日リンがふたりの対話に飛び込んできた。
「ミサト、いえ、ミサト司令、ミライ副司令。わたしもこのエンアイムという亜獣は、エンマ・アイの脳を取り込むことで、彼女の記憶や思考ルーチンに影響を受けていると考えています。ある意味、むこうがエンマ・アイに取り込まれてしまっているのかもしれません」
「リン、じゃあ、あなたは具体的にあの亜獣、いえ、あのおんなはなにをしようとしていると思う?」
「残念だけど、具体的には思い浮かばない……。でも生前のあの子を知っていると、タケルくんをうんと困らせようとするんじゃないかって……」
「困らせる?。リン、それは意地悪をするってこと?」
「ええ、たぶん……。これまでも芝居がかった登場をしたり、挑発じみた言動でタケルくんを翻弄してきた。あれって、実にアイっぽいの」
「それがエンマ・アイっぽいのですか?」
ミライはなにかが腑に落ちた気がして、なんの他意もなく質問した。
「ええ。タケルくんの気をひきたくて、どうしても無視できないような言動をとることがよくあった。よく言えば無邪気だったと言えるかもしれない」
ミライはゾクッとした。
その瞬間、自分がさっきなにに怖気だっていたのか、わかったような気がした。
「もし、亜獣エンアイムがエンマ・アイそのものだとしたら、あの亜獣はヤマト少尉を拘束しようとしてるんだと思います。『愛』というきれいごとを押しつけてね」
「愛を押しつけて?」
ミサトは怪訝そうな顔をミライにむけてきた。
「カツライ司令もおっしゃっていましたよね。『あの亜獣はなにをたくらんでるの?』って。本能的に感じられたんじゃないですか?。あの亜獣に女のみにくいエゴのようなものを」
「それはどうかしら……」
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