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第三章 第五節 エンマアイの記憶
第697話 勝手にやらせてもらうわよ。勝手にね
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その瞬間、迎え撃つように、ユウキのセラ・マーズが空中に身を躍らせ、渾身の力でその触手の束に戦棍を叩きつけた。
『バキバキバキ』っというど派手な破壊音が、あたりの空気を震わせた。
三回目の一撃は強烈だった。
槍の触手はへし折れるだけでなく、木っ端みじんに粉砕されていた。半分ほど残っていたはずの触手の束は、あっと言う間に消え去った。
先ほどまでは黒い塊にみえていた触手が、数本程度の繊維状になっている。
「よし!」
ユウキの気合いがおもわず口から漏れ聞こえてくる。ユウキのセラ・マーズは戦棍を急いで肩口のホルダーに戻すと、そのままアスカが足場にしたビルに激突しながら、うまくしがみついた。
「まぁ、合格点ってとこね」
「アスカくん、三回で破壊なら上出来ではないのかね」
「ふん、じゃあ、そういうことでいいわよ」
アスカは素直に実績を認めたくなかったので、わざとすねてみせたが、ユウキはすぐに次のモードに切り替わっていた。
「で、このあとどうするか、本部に指示を仰ぐかね?」
「は、ユウキ、あんた、ボカぁ?。司令本部はさっきからまったく機能してないでしょうがぁ」
「まぁ確かに。こちらのことは任せっきりで……」
「過去の記憶を見せつけられて、おたおたしてンのよ。あたしたちのことなんて構っちゃいられないってこと」
「たしかに。あのヤマト・タケルくんの会見は衝撃的でしたからね」
「あの会見を知らない地球人なんて、いやしないでしょうがぁ。あれにショックを受けてアカデミーでてった候補生、けっこういたのよ」
「その当時、現場にいた本人たちからすると、かなりのトラウマというべきなのかもしれませんね」
「知ったこたぁないわ。だから勝手にやらせてもらうわよ。勝手にね」
「どうするのかね?」
アスカは天井を見あげた。
すでにあれほどまで視界を邪魔していた亜獣の触手はない。見あげた先にはエンマ・アイの脳がむき出しといってもいいほど、くっきりと見える。
が、触手の防御が無くなるやいなや、さきほどまで存在感がなかった魔法少女が姿をあらわした。
脳を隠すような布陣で正面に陣取る。
アスカは自信に満ちあふれた口調で叫んだ。
「ユウキ、やることはきまってンでしょ。あの魔法少女、はたき落として、エンマ・アイの脳を破壊するだけよ」
渋谷に亜獣エンアイム本体出現の報がもたらされたのは、そうアスカがユウキを激励したときだった。
『バキバキバキ』っというど派手な破壊音が、あたりの空気を震わせた。
三回目の一撃は強烈だった。
槍の触手はへし折れるだけでなく、木っ端みじんに粉砕されていた。半分ほど残っていたはずの触手の束は、あっと言う間に消え去った。
先ほどまでは黒い塊にみえていた触手が、数本程度の繊維状になっている。
「よし!」
ユウキの気合いがおもわず口から漏れ聞こえてくる。ユウキのセラ・マーズは戦棍を急いで肩口のホルダーに戻すと、そのままアスカが足場にしたビルに激突しながら、うまくしがみついた。
「まぁ、合格点ってとこね」
「アスカくん、三回で破壊なら上出来ではないのかね」
「ふん、じゃあ、そういうことでいいわよ」
アスカは素直に実績を認めたくなかったので、わざとすねてみせたが、ユウキはすぐに次のモードに切り替わっていた。
「で、このあとどうするか、本部に指示を仰ぐかね?」
「は、ユウキ、あんた、ボカぁ?。司令本部はさっきからまったく機能してないでしょうがぁ」
「まぁ確かに。こちらのことは任せっきりで……」
「過去の記憶を見せつけられて、おたおたしてンのよ。あたしたちのことなんて構っちゃいられないってこと」
「たしかに。あのヤマト・タケルくんの会見は衝撃的でしたからね」
「あの会見を知らない地球人なんて、いやしないでしょうがぁ。あれにショックを受けてアカデミーでてった候補生、けっこういたのよ」
「その当時、現場にいた本人たちからすると、かなりのトラウマというべきなのかもしれませんね」
「知ったこたぁないわ。だから勝手にやらせてもらうわよ。勝手にね」
「どうするのかね?」
アスカは天井を見あげた。
すでにあれほどまで視界を邪魔していた亜獣の触手はない。見あげた先にはエンマ・アイの脳がむき出しといってもいいほど、くっきりと見える。
が、触手の防御が無くなるやいなや、さきほどまで存在感がなかった魔法少女が姿をあらわした。
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「ユウキ、やることはきまってンでしょ。あの魔法少女、はたき落として、エンマ・アイの脳を破壊するだけよ」
渋谷に亜獣エンアイム本体出現の報がもたらされたのは、そうアスカがユウキを激励したときだった。
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