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第三章 第四節 エンマ・アイ
第623話 バットーのおそるべき太刀筋
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ユウキはバットーが映し出された映像を見た。
バットーはエア・バイクに乗ったまま単身で、空中の魔法少女の群れに飛び込んでいた。彼はバイクにはまたがっていたが、ステップに足を踏ん張ったまま、腕を真横に突き出してマジカル・ソードを振り回していた。
「ひとりだけで!」
バットーは魔法少女に狙いをさだめると呪文を呟かせないように、最初の太刀でまず喉を切り裂いた。そしてすれ違いざまに魔法少女の羽根を、根元から切り捨てた。その動きはあまりに流麗で、まるでバットーがバイクと一体化しているかのようにすら感じられる。
なんという精神力だ——。
生体チップを埋込んだ人々が、思念によるAI操作をおこなうことができるのは知っていた。エア・バイクの操縦ですら、それほど難しいことではないと言う話だった。だがこの自動運転は人間がおこなえる運転の範囲を、おおきく超えるものではない。
だが、今、バットーがおこなっているのは、空中でのアクロバット運転にちかい。
それだけでもかなりの離れ業なのにもかかわらず、バットーは運転をしながら刀を振り回している。それは想像するまでもなく困難なことだった。雑念が浮かべば、いや敵に気を配っただけでも、操作が乱れるのだ。
さらにおどろくべきはその太刀筋——。
バイクの動きとあいまって、まるで剣舞か、入念にふりつけられた殺陣でも見せつけられているようだった。空中でバットーの刃が閃くと、確実に二振りで魔法少女は墜落していった。いけると判断したときは、通り抜けざまに羽根だけを叩き落とし、一撃で落としていくことさえある。
5メートル以内に近づけば『分解光線』にさらされる可能性を持つ魔法少女相手に、あまりに大胆な攻撃だったが、まったく危なげなかった。
またそれは一番の隙をつくるはずの、デミリアンの体液の封入された『マガジン(弾倉)』の取り換えの時ですら変わらなかった。
6回制限の最後のひと振りのとき、魔法少女の羽根を上から下にむけて振り抜く寸前には柄頭から、不要になった『マガジン(弾倉)』が飛び出していた。刀を振り降ろしたときには、すでに空になったマガジン室が上をむいている。バットーはそのマガジン室に、次のマガジンを上から叩き込むようにして装填すると、返す刀でもう次の魔法少女に狙いをさだめていた。
以前に草薙がデモンストレーションでみせた、マガジンの交換の所作も見とれるほどだったが、バットーのそれはもっと実務的で無駄がなかった。
「まさか、これほどとは……」
バットーはエア・バイクに乗ったまま単身で、空中の魔法少女の群れに飛び込んでいた。彼はバイクにはまたがっていたが、ステップに足を踏ん張ったまま、腕を真横に突き出してマジカル・ソードを振り回していた。
「ひとりだけで!」
バットーは魔法少女に狙いをさだめると呪文を呟かせないように、最初の太刀でまず喉を切り裂いた。そしてすれ違いざまに魔法少女の羽根を、根元から切り捨てた。その動きはあまりに流麗で、まるでバットーがバイクと一体化しているかのようにすら感じられる。
なんという精神力だ——。
生体チップを埋込んだ人々が、思念によるAI操作をおこなうことができるのは知っていた。エア・バイクの操縦ですら、それほど難しいことではないと言う話だった。だがこの自動運転は人間がおこなえる運転の範囲を、おおきく超えるものではない。
だが、今、バットーがおこなっているのは、空中でのアクロバット運転にちかい。
それだけでもかなりの離れ業なのにもかかわらず、バットーは運転をしながら刀を振り回している。それは想像するまでもなく困難なことだった。雑念が浮かべば、いや敵に気を配っただけでも、操作が乱れるのだ。
さらにおどろくべきはその太刀筋——。
バイクの動きとあいまって、まるで剣舞か、入念にふりつけられた殺陣でも見せつけられているようだった。空中でバットーの刃が閃くと、確実に二振りで魔法少女は墜落していった。いけると判断したときは、通り抜けざまに羽根だけを叩き落とし、一撃で落としていくことさえある。
5メートル以内に近づけば『分解光線』にさらされる可能性を持つ魔法少女相手に、あまりに大胆な攻撃だったが、まったく危なげなかった。
またそれは一番の隙をつくるはずの、デミリアンの体液の封入された『マガジン(弾倉)』の取り換えの時ですら変わらなかった。
6回制限の最後のひと振りのとき、魔法少女の羽根を上から下にむけて振り抜く寸前には柄頭から、不要になった『マガジン(弾倉)』が飛び出していた。刀を振り降ろしたときには、すでに空になったマガジン室が上をむいている。バットーはそのマガジン室に、次のマガジンを上から叩き込むようにして装填すると、返す刀でもう次の魔法少女に狙いをさだめていた。
以前に草薙がデモンストレーションでみせた、マガジンの交換の所作も見とれるほどだったが、バットーのそれはもっと実務的で無駄がなかった。
「まさか、これほどとは……」
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