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第三章 第四節 エンマ・アイ
第619話 草薙、レイに相談をもちかける
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「ここから2キロほど先にある教会までむかい、そこを拠点にしてローラー作戦で亜獣および魔法少女の兆候をさぐる。各位、自分に割り振られたエリアに注力してくれ」
トグロが兵士たちに明確な指示を出すのを聞きながら、草薙はパイロット向け秘匿回線を開いてレイに連絡をいれた。
「レイ、今、こちらは亜獣の捜索を開始したわ」
『それで?』
「ちょっと相談があるのよ、あなたに」
『相談?』
「もし、アスカたちのほうへ加勢に言ってくれって言ったら、どれくらいでいける自信がある?」
『条件しだい。でも30分はかからないと思う』
「そんなに早く?」
草薙はレイの口から信じられないほど、短い時間が飛び出したことにとまどった。レイがそんなでたらめを言うはずはないし、冗談を口をするのはもっと考えられない。
「根拠は?。その30分の根拠はなに!」
おもわず怒鳴りつけるような口調になっていた。だが、レイはなにも気にする様子もなく、さらりと答えた。
『こちらの熱海側と箱根側をつなぐ通路をつかう』
「なにを言ってるの?。そこは列車や車用の通路よ。デミリアンが通れるわけないでしょう!」
『大佐、実際の場所を確認した?』
「地図で確認済みよ。200年前の地図ですけどね」
突然、網膜に映像が送り込まれてきた。そこにはおおきな穴のようなものが映し出されていた。なかは暗い。レイの説明が聞こえてくる。
『たぶん、その当時、動力も節約したんだと思う……』
そのとき、暗がりに明かりが投じられた。この映像を見ているレイの機体、セラ・サターンが投じたものだ。あたりが薄ぼんやりと照らしだされる。
そこには線路が敷設されていた。だが、それは急勾配で下に向かって続いていた。パッとみただけでも傾斜角は45度はあるだろうか。強い光源にもかかわらず明かりは途中で途切れていた。その下はまるで底のない深淵が続いているようだ。
「レイ、これは……?」
『ええ、地図では横に伸びているように見えたけど、実際は下に落ちていっているの。たぶん動力なしでも輸送できるようにした。だから列車もおかしな形をしてる』
レイのカメラが線路の上方へむく。そこにはコンテナボックスが階段のように積み重なったような列車が停車していた。
『この狭さでは、この子たちは這うことはできないけど……』
レイのカメラがもう一度、下方の深淵をとらえる。
『すべり落ちて行くのはできる……。こちらからだけの一方通行だけど……』
トグロが兵士たちに明確な指示を出すのを聞きながら、草薙はパイロット向け秘匿回線を開いてレイに連絡をいれた。
「レイ、今、こちらは亜獣の捜索を開始したわ」
『それで?』
「ちょっと相談があるのよ、あなたに」
『相談?』
「もし、アスカたちのほうへ加勢に言ってくれって言ったら、どれくらいでいける自信がある?」
『条件しだい。でも30分はかからないと思う』
「そんなに早く?」
草薙はレイの口から信じられないほど、短い時間が飛び出したことにとまどった。レイがそんなでたらめを言うはずはないし、冗談を口をするのはもっと考えられない。
「根拠は?。その30分の根拠はなに!」
おもわず怒鳴りつけるような口調になっていた。だが、レイはなにも気にする様子もなく、さらりと答えた。
『こちらの熱海側と箱根側をつなぐ通路をつかう』
「なにを言ってるの?。そこは列車や車用の通路よ。デミリアンが通れるわけないでしょう!」
『大佐、実際の場所を確認した?』
「地図で確認済みよ。200年前の地図ですけどね」
突然、網膜に映像が送り込まれてきた。そこにはおおきな穴のようなものが映し出されていた。なかは暗い。レイの説明が聞こえてくる。
『たぶん、その当時、動力も節約したんだと思う……』
そのとき、暗がりに明かりが投じられた。この映像を見ているレイの機体、セラ・サターンが投じたものだ。あたりが薄ぼんやりと照らしだされる。
そこには線路が敷設されていた。だが、それは急勾配で下に向かって続いていた。パッとみただけでも傾斜角は45度はあるだろうか。強い光源にもかかわらず明かりは途中で途切れていた。その下はまるで底のない深淵が続いているようだ。
「レイ、これは……?」
『ええ、地図では横に伸びているように見えたけど、実際は下に落ちていっているの。たぶん動力なしでも輸送できるようにした。だから列車もおかしな形をしてる』
レイのカメラが線路の上方へむく。そこにはコンテナボックスが階段のように積み重なったような列車が停車していた。
『この狭さでは、この子たちは這うことはできないけど……』
レイのカメラがもう一度、下方の深淵をとらえる。
『すべり落ちて行くのはできる……。こちらからだけの一方通行だけど……』
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2章:お爺ちゃんとクラン 【58〜108話】
3章:お爺ちゃんと古代の導き【109〜238話】
4章:お爺ちゃんと生配信 【239話〜355話】
5章:お爺ちゃんと聖魔大戦 【356話〜497話】
====================================
2020.03.21_掲載
2020.05.24_100話達成
2020.09.29_200話達成
2021.02.19_300話達成
2021.11.05_400話達成
2022.06.25_完結!
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