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第三章 第四節 エンマ・アイ
第614話 次はあんたらの番ンンン
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「バットー!、トグロ!。みんな、注意して。ビルが倒れるわ」
アスカはそう言いながらも倒れていくビルの方向を見定めた。ありがたいことに、そこで戦っている兵士はほとんどいなかった。アスカはそれだけを確認すると、セラ・ヴィーナスでビルの上に這いあがろうと手をかけた。倒れていくビルの上をむいた面に腹ばいになると、ゆっくりと立ちあがる。アスカは倒れていくビルの上面を一気に駆けおりはじめた。はやく駆けおりなければ倒壊した衝撃に巻き込まれる。
ビルの折れた根元付近に、魔法少女の群れが待機しているのがアスカの目に入った。地上の兵士たちに襲いかかるタイミングを狙っているにちがいない。
アスカが走っていくビルの勾配がゆるくなっていく。ビルが完全に倒れるのも時間の問題だ。スピードを緩めるわけにはいかない状況だった。
ビルが低層のビルを押し潰すように倒壊した瞬間、アスカはおおきくジャンプした。
「次はあんたらの番ンンン」
手首に巻いた『万布』をふたたび幅広のラケットに変形させると、上空から魔法少女の群れにむけて全体重をのせてふりおろした。
が、天井の魔法少女とちがい、この場所の群れはアスカの渾身の一撃を回避してきた。10体ほどはかろうじて捉えたものの、それ以外はするりと脇に抜けていった。アスカはラケットをふりおろした姿勢のまま、そのむこう側にある中層ビルの屋上に飛び乗った。
「バットー。ごめん、思ったほど、落とせなかった!」
そうエクスキューズしながら、正面のほうを向き直った。
その正面に魔法少女たちが集結していた。すでにステッキをふりあげて、攻撃をしかける寸前だった。
な!。
アスカは瞬時に腕を突き出し『万布』を盾に変形させたが、完全には間に合わなかった。
セラ・ヴィーナスは攻撃を浴びた。『万布』の盾は有功だったが、すべてをカバーしきれなかった。横っ腹にいやに重々しい鈍痛が走った。
おもわずからだが『くの字』に曲がる。
『アスカ!』
リンが叫ぶのが聞こえた。
一瞬の痛みの『洗礼』が通り過ぎると、アスカは『万布』の盾を解いて、すかさず反攻にでた。目の前にずらりと勢ぞろいした魔法少女を、ラケットで横殴りにする。今度はほぼ一網打尽にできた。近くの建物に一気に赤い血飛沫のペイントが塗りたくられる。
「今、数十体潰したわ。だれか息を吹き返す前にとどめをさして!」
さきほどの痛みを思い出し怒り半分で指示を飛ばすと、アスカはその矛先を金田日のほうにむけた。
「金田日せんせー。あの攻撃なにぃぃぃ!!!。バラバラ光線でも電撃でもなかったわ」
アスカはそう言いながらも倒れていくビルの方向を見定めた。ありがたいことに、そこで戦っている兵士はほとんどいなかった。アスカはそれだけを確認すると、セラ・ヴィーナスでビルの上に這いあがろうと手をかけた。倒れていくビルの上をむいた面に腹ばいになると、ゆっくりと立ちあがる。アスカは倒れていくビルの上面を一気に駆けおりはじめた。はやく駆けおりなければ倒壊した衝撃に巻き込まれる。
ビルの折れた根元付近に、魔法少女の群れが待機しているのがアスカの目に入った。地上の兵士たちに襲いかかるタイミングを狙っているにちがいない。
アスカが走っていくビルの勾配がゆるくなっていく。ビルが完全に倒れるのも時間の問題だ。スピードを緩めるわけにはいかない状況だった。
ビルが低層のビルを押し潰すように倒壊した瞬間、アスカはおおきくジャンプした。
「次はあんたらの番ンンン」
手首に巻いた『万布』をふたたび幅広のラケットに変形させると、上空から魔法少女の群れにむけて全体重をのせてふりおろした。
が、天井の魔法少女とちがい、この場所の群れはアスカの渾身の一撃を回避してきた。10体ほどはかろうじて捉えたものの、それ以外はするりと脇に抜けていった。アスカはラケットをふりおろした姿勢のまま、そのむこう側にある中層ビルの屋上に飛び乗った。
「バットー。ごめん、思ったほど、落とせなかった!」
そうエクスキューズしながら、正面のほうを向き直った。
その正面に魔法少女たちが集結していた。すでにステッキをふりあげて、攻撃をしかける寸前だった。
な!。
アスカは瞬時に腕を突き出し『万布』を盾に変形させたが、完全には間に合わなかった。
セラ・ヴィーナスは攻撃を浴びた。『万布』の盾は有功だったが、すべてをカバーしきれなかった。横っ腹にいやに重々しい鈍痛が走った。
おもわずからだが『くの字』に曲がる。
『アスカ!』
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さきほどの痛みを思い出し怒り半分で指示を飛ばすと、アスカはその矛先を金田日のほうにむけた。
「金田日せんせー。あの攻撃なにぃぃぃ!!!。バラバラ光線でも電撃でもなかったわ」
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