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第三章 第四節 エンマ・アイ
第612話 あの天井にたむろしている連中を排除するわ
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「本部!。あの天井にたむろしている連中を排除するわ」
セラ・ヴィーナスは狭い屋上を蹴りあげると、積層ビルの中腹に飛びついた。一瞬、全体重がのしかかった過重でビルがたわんだ。
ボキリと折れてしまいそうなほどビルがしなる。
だが、アスカはそんなことは気にかけもせず、木登りさながらにビルをするすると昇っていった。いびつな形状をしているために、指をかける突起部にはことかかない。が、足や指がかかるたびに、どこかのでっぱりが崩れ、剥落していく。
「アスカ、注意して。もうすぐヤツラの射程距離よ」
それまで黙って戦況を見守っていた春日リンが注意を促した。そのひとことにアスカはフラストレーションを爆発させた。
「そんなことより、この右手ぇぇ!。逆向きでうまく引っかけられないわよぉぉ」
「なによ、見事に使いこなしてるんじゃないのぉ?」
リンの専門家とは思えない無責任なことばにイラッとした。
もう一度上をみる。リンが指摘したように、たしかに天井すれすれまで来ている。モニタ上に『高度400メートル』の表示がみえる。
落下したら怪我を負いかねない高さね——。
だが、その危険性などは端からわかっていることだ。アスカは天井近くに集結している魔法少女たちに目をやった。
魔法少女たちと目があう。だれもがセラ・ヴィーナスを睨みつけていた。さきほどより羽音が大きくなったように感じられた。
警戒色を強めているのは確かだ。
だが、だれひとりとして襲ってこようとしなかった。地上ちかくまで降りてきていた部隊は、なんの躊躇もなく襲ってきたというのに……。
なにかを守ってる……?。
アスカの脳裏にそんな疑問がふっと浮かんだ。
イオージャと対峙したとき、一群の魔法少女は自分たちのからだを盾にして、亜獣を守ろうとした。攻撃する隙があっても、一定数の魔法少女は防衛に徹していた——。
ならば天井から動かずに、こちらの出方をうかがっているというのは、その付近に亜獣がいる、ということを示唆しているのかもしれない。
「アスカ、『なにかを守っている』ってどういうこと?」
ヘッドギアに搭載された脳内通信システム代替装置の外部型『テレパス・ライン』を通じて自分の考察の一部がリンに伝わったらしい。
「メイ、あの魔法少女、あそこから動かないの。あれはなにかを守ろうとしているように、あたしには感じる。どう思う?」
セラ・ヴィーナスは狭い屋上を蹴りあげると、積層ビルの中腹に飛びついた。一瞬、全体重がのしかかった過重でビルがたわんだ。
ボキリと折れてしまいそうなほどビルがしなる。
だが、アスカはそんなことは気にかけもせず、木登りさながらにビルをするすると昇っていった。いびつな形状をしているために、指をかける突起部にはことかかない。が、足や指がかかるたびに、どこかのでっぱりが崩れ、剥落していく。
「アスカ、注意して。もうすぐヤツラの射程距離よ」
それまで黙って戦況を見守っていた春日リンが注意を促した。そのひとことにアスカはフラストレーションを爆発させた。
「そんなことより、この右手ぇぇ!。逆向きでうまく引っかけられないわよぉぉ」
「なによ、見事に使いこなしてるんじゃないのぉ?」
リンの専門家とは思えない無責任なことばにイラッとした。
もう一度上をみる。リンが指摘したように、たしかに天井すれすれまで来ている。モニタ上に『高度400メートル』の表示がみえる。
落下したら怪我を負いかねない高さね——。
だが、その危険性などは端からわかっていることだ。アスカは天井近くに集結している魔法少女たちに目をやった。
魔法少女たちと目があう。だれもがセラ・ヴィーナスを睨みつけていた。さきほどより羽音が大きくなったように感じられた。
警戒色を強めているのは確かだ。
だが、だれひとりとして襲ってこようとしなかった。地上ちかくまで降りてきていた部隊は、なんの躊躇もなく襲ってきたというのに……。
なにかを守ってる……?。
アスカの脳裏にそんな疑問がふっと浮かんだ。
イオージャと対峙したとき、一群の魔法少女は自分たちのからだを盾にして、亜獣を守ろうとした。攻撃する隙があっても、一定数の魔法少女は防衛に徹していた——。
ならば天井から動かずに、こちらの出方をうかがっているというのは、その付近に亜獣がいる、ということを示唆しているのかもしれない。
「アスカ、『なにかを守っている』ってどういうこと?」
ヘッドギアに搭載された脳内通信システム代替装置の外部型『テレパス・ライン』を通じて自分の考察の一部がリンに伝わったらしい。
「メイ、あの魔法少女、あそこから動かないの。あれはなにかを守ろうとしているように、あたしには感じる。どう思う?」
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