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第三章 第四節 エンマ・アイ
第611話 要は勝てればいいのではないかな
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アスカはすぐさまあたりを見回して、次にたたき潰すべき魔法少女の大群を探した。数百メートル先で、ユウキのセラ・マーズが自分と同じように魔法少女と格闘しているのがみえた。ユウキは自分のように手ではなく、どこかで調達した幅広のラケットのようなもので一気にたたき伏せていた。
「ユウキ、なによぉ、それ、ずるいじゃない」
おもわず不満の声をこぼすと、ユウキが手をやすめることなく言ってきた。
「これは万布。セラ・マーズの体液をしみ込ませているものだよ。アスカくんの右肩にも巻きついているはずだがね。レイくんが亜獣アトンを倒すときに有効だったので、採用されたものだよ」
「はん、レイの戦術をまるパクリっていうわけ?」
「アスカくん、ようは勝てればいいのではないかな。たぶん逆の立場ならレイくんもおなじことをやると思いますよ」
ユウキはそう言うと、『万布』を変形させてつくったテニス・ラケットを、渾身の力で振り抜いて、目の前の魔法少女をまとめてたたき落とした。
「そうね。いいアイディアを使わない手はないわね」
アスカはセラ・ヴィーナスの右肩を見た。そこにはユウキに指摘されたとおり『万布』がさりげなく巻かれていた。アスカはそれに念を送り込んで、いったん柔らかな布状態にした。
ふわりとした布が肩からすべり落ちるのを、そのまま右手で受けとめると、司令部をうつしだすモニタ画面のなかから、武器担当の玄野介の回線を探しだして叫んだ。
「ケイっ。この布に含まれている、ほら、なんとか素子っていうやつの効果ってどれくらい!」
「『GW素子』です。安心してください。効果は2時間もあります。特殊な加工を表面にほどこしているからね。なにせこの加工は……」
「わかった!」
ケイが物知り顔で知識を披瀝してきたのがわかったので、アスカはすぐさま会話を打ちきると、手の先にむけて念をあつめた。セラ・ヴィーナスの頭から首筋にかけて、表皮の中を青い粒状のまばゆい光が走り、『万布』を握る右手にむかって、点滅しながらあつまっていく。
これでこの布は『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』のむこうまで切り裂ける。
アスカはほのかに蒼い光を帯びた『万布』を手首に巻きつけると、近くにそびえたつビルを見あげた。積層のユニットで組みあげられた、天井にまでつながる柱がわりのビルだ。
その上空をみる。
天井すれすれの最上層に魔法少女が待機しているかのように集まっているのが見えた。その数は50人をくだらない。
「ユウキ、なによぉ、それ、ずるいじゃない」
おもわず不満の声をこぼすと、ユウキが手をやすめることなく言ってきた。
「これは万布。セラ・マーズの体液をしみ込ませているものだよ。アスカくんの右肩にも巻きついているはずだがね。レイくんが亜獣アトンを倒すときに有効だったので、採用されたものだよ」
「はん、レイの戦術をまるパクリっていうわけ?」
「アスカくん、ようは勝てればいいのではないかな。たぶん逆の立場ならレイくんもおなじことをやると思いますよ」
ユウキはそう言うと、『万布』を変形させてつくったテニス・ラケットを、渾身の力で振り抜いて、目の前の魔法少女をまとめてたたき落とした。
「そうね。いいアイディアを使わない手はないわね」
アスカはセラ・ヴィーナスの右肩を見た。そこにはユウキに指摘されたとおり『万布』がさりげなく巻かれていた。アスカはそれに念を送り込んで、いったん柔らかな布状態にした。
ふわりとした布が肩からすべり落ちるのを、そのまま右手で受けとめると、司令部をうつしだすモニタ画面のなかから、武器担当の玄野介の回線を探しだして叫んだ。
「ケイっ。この布に含まれている、ほら、なんとか素子っていうやつの効果ってどれくらい!」
「『GW素子』です。安心してください。効果は2時間もあります。特殊な加工を表面にほどこしているからね。なにせこの加工は……」
「わかった!」
ケイが物知り顔で知識を披瀝してきたのがわかったので、アスカはすぐさま会話を打ちきると、手の先にむけて念をあつめた。セラ・ヴィーナスの頭から首筋にかけて、表皮の中を青い粒状のまばゆい光が走り、『万布』を握る右手にむかって、点滅しながらあつまっていく。
これでこの布は『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』のむこうまで切り裂ける。
アスカはほのかに蒼い光を帯びた『万布』を手首に巻きつけると、近くにそびえたつビルを見あげた。積層のユニットで組みあげられた、天井にまでつながる柱がわりのビルだ。
その上空をみる。
天井すれすれの最上層に魔法少女が待機しているかのように集まっているのが見えた。その数は50人をくだらない。
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