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第三章 第四節 エンマ・アイ
第564話 文字通り、魔法が漏れだしてるんだ
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「なによ。結論から導きだしたの?。そんなの誰だってできるじゃない」
「でも、あまり考えたくない結論さ」
「どういう結論なのですか?」
クララが先を急がせる。
ヤマトは深く息を吐いてから言った。
「ぼくらはみんな騙されていたってこと。ヤツらは魔法少女を使ってこちらを攻撃しようとしているわけじゃないんだ」
ユウキがまっさきに異議を唱えた。それまでの考察をすべて否定されたのが、すこしばかり癇に障ったらしい。
「いや、タケルくん。ですが現に世界中が魔法少女の脅威にさらされているんですよ。あの亜獣も、置き土産だとか宣戦布告とか言ってたではないですか」
「ああ、そうだね、ユウキ。きみはその宣言を真に受けた。もちろんぼくもだ。だってそのあと本当に、魔法少女が出現して世界中を混乱させたからね」
ヤマトはレイに目をむけて言った。
「だけどレイが投げかけた『魔法が漏れだしてる』ということばで、ぼくは騙されていることに気づいたんだ。さすがだよ、レイ」
「どういうこと?。褒められてもちっとも嬉しくないわ」
「は、レイ、あんたはいつだって褒められて、嬉しそうな顔なんかしやしないでしょうがぁ」
アスカがレイを茶化したが、ヤマトはそれを気にせず説明を続けた。
「ヤツらは魔法少女を使ってこちらを攻撃しようとしているわけじゃない。文字通り、魔法が漏れだしてるんだ」
「そうか、そうなのね」
春日リンが大きな声をあげた。事情を知っているのでリンが最初に正解にたどり着くはずだと、ヤマトは予測していたが、まさしくそうなった。草薙はブライト邸の事件の処理に追われてこの会議に参加していなかったが、もしいたら彼女が真っ先に気づいたはずだ。
「あの亜獣が宣戦布告したのは、そうせざるを得ない事情があった。自分たちの弱点から目を逸らすために、どうしてもそう思わせる必要があったのね」
「そうです、リンさん。まんまと騙されるところだった。だけどそれが判明した今、ぼくらは亜獣を先制攻撃できるチャンスを手に入れた」
「先制攻撃?。すまねぇが、タケル、おまえまでエドのようなことを……」
それまでずっと黙ったまま、ことの成り行きを見ているだけだったアルが、たまらず疑義をさし狭んできた。
「まさか。だけど、アルにはあたらしい亜獣探知器を用意してもらわないといけないかもしれない。どんなに深い地中でも海の底でも、亜獣の信号を探しあてる装置をね」
「どういうことかね。タケルくん」
エドが眼鏡を指でずりあげながら問いかけた。なにかを咎められたとでも受けとったのだろう。亜獣対策の責任者として、聞き流すことはできなかったにちがいない。
それは金田日も同じようだった。
「でも、あまり考えたくない結論さ」
「どういう結論なのですか?」
クララが先を急がせる。
ヤマトは深く息を吐いてから言った。
「ぼくらはみんな騙されていたってこと。ヤツらは魔法少女を使ってこちらを攻撃しようとしているわけじゃないんだ」
ユウキがまっさきに異議を唱えた。それまでの考察をすべて否定されたのが、すこしばかり癇に障ったらしい。
「いや、タケルくん。ですが現に世界中が魔法少女の脅威にさらされているんですよ。あの亜獣も、置き土産だとか宣戦布告とか言ってたではないですか」
「ああ、そうだね、ユウキ。きみはその宣言を真に受けた。もちろんぼくもだ。だってそのあと本当に、魔法少女が出現して世界中を混乱させたからね」
ヤマトはレイに目をむけて言った。
「だけどレイが投げかけた『魔法が漏れだしてる』ということばで、ぼくは騙されていることに気づいたんだ。さすがだよ、レイ」
「どういうこと?。褒められてもちっとも嬉しくないわ」
「は、レイ、あんたはいつだって褒められて、嬉しそうな顔なんかしやしないでしょうがぁ」
アスカがレイを茶化したが、ヤマトはそれを気にせず説明を続けた。
「ヤツらは魔法少女を使ってこちらを攻撃しようとしているわけじゃない。文字通り、魔法が漏れだしてるんだ」
「そうか、そうなのね」
春日リンが大きな声をあげた。事情を知っているのでリンが最初に正解にたどり着くはずだと、ヤマトは予測していたが、まさしくそうなった。草薙はブライト邸の事件の処理に追われてこの会議に参加していなかったが、もしいたら彼女が真っ先に気づいたはずだ。
「あの亜獣が宣戦布告したのは、そうせざるを得ない事情があった。自分たちの弱点から目を逸らすために、どうしてもそう思わせる必要があったのね」
「そうです、リンさん。まんまと騙されるところだった。だけどそれが判明した今、ぼくらは亜獣を先制攻撃できるチャンスを手に入れた」
「先制攻撃?。すまねぇが、タケル、おまえまでエドのようなことを……」
それまでずっと黙ったまま、ことの成り行きを見ているだけだったアルが、たまらず疑義をさし狭んできた。
「まさか。だけど、アルにはあたらしい亜獣探知器を用意してもらわないといけないかもしれない。どんなに深い地中でも海の底でも、亜獣の信号を探しあてる装置をね」
「どういうことかね。タケルくん」
エドが眼鏡を指でずりあげながら問いかけた。なにかを咎められたとでも受けとったのだろう。亜獣対策の責任者として、聞き流すことはできなかったにちがいない。
それは金田日も同じようだった。
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