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第三章 第四節 エンマ・アイ
第562話 違和感ってなによ、レイ
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「レイはそこに違和感があると言っています」
「違和感ってなによ、レイ」
そう尋ねたミサトの口ぶりは、まるでレイを恫喝しているように聞こえた。これ以上、厄介事を掘り起こして欲しくない、という自分の希望をたっぷり含んだ恣意的な質問だった。
「一群がいたこと……」
「それはさっきリンから聞いたわぁ。なにが気にくわないわけぇ」
レイがリンを見あげた。リンはその視線に促されるように、3Dマップを呼びだした。会議テーブルの真ん中におおきなホログラフィック映像の地球儀がまわりはじめる。それはエンマ・アイが消えたあとに赤い点で真っ赤になった地球の姿だった。
「ほかの場所でブライト邸とおなじ一群の魔法少女が報告されていないか調べました」
リンは空中の別の空間に浮かんでいるウィンドウ画面に手を伸ばすと、そこにあるデータ画面を指でつまんで、真っ赤な地球の上にドロップした。
赤い地球にそのデータが重なると、あらたな点がそこに現われた。
青く点滅する点——。
それは日本に三箇所、台湾民国に一箇所、そして中華合衆国の東岸に四箇所存在していた。
「全部で八箇所——。この青い点が、一群の魔法少女が出現が疑われると報告された場所です」
リンは日本地図の箱根付近の青い点を指さした。
「そして、その中で唯一、まちがいなく一群の魔法少女が確認されたのがここ、ブライト邸の二体です」
「ということはどういうことなの?」
ミサトが自分で考察することなど端から無理と判断して結論を急がせた。
「もしレイの言うように『魔法が漏れでている』としたら、その亀裂は……この日本にある可能性が高いです」
「どこにあるって言うのよ、メイ!」
アスカが噛みつかんばかりの勢いで訊いた。
「アスカ、それはわからないわ。それをこれから探すっていう話なの」
「日本であるという可能性はどこから?」
ユウキがマップを見ながら言った。
「この八つの点をすべて囲んで、それらが全部入る円弧を描くと、最小の丸の中心は日本になるからだけど?」
「なるほど。ですが逆にインドのほうを中心にした大きな円弧の可能性もあるのでは?」
「ユウキ、その可能性は0とは言えないわ。だけどもしそんなに大きな円の範囲内にまで漏れでた魔法の力が及ぶのなら、それこそあちらの世界にいながら、いくらでも攻撃をしかけられるわ」
リンがユウキの仮説を否定すると、クララが遠慮がちに付け加えた。
「それに全員が一群の魔法少女になっていない説明もつかないですしね」
「全員って!?」
レイがふいに口を開いた。それはレイにしてはあまりに強い口調だった。
「違和感ってなによ、レイ」
そう尋ねたミサトの口ぶりは、まるでレイを恫喝しているように聞こえた。これ以上、厄介事を掘り起こして欲しくない、という自分の希望をたっぷり含んだ恣意的な質問だった。
「一群がいたこと……」
「それはさっきリンから聞いたわぁ。なにが気にくわないわけぇ」
レイがリンを見あげた。リンはその視線に促されるように、3Dマップを呼びだした。会議テーブルの真ん中におおきなホログラフィック映像の地球儀がまわりはじめる。それはエンマ・アイが消えたあとに赤い点で真っ赤になった地球の姿だった。
「ほかの場所でブライト邸とおなじ一群の魔法少女が報告されていないか調べました」
リンは空中の別の空間に浮かんでいるウィンドウ画面に手を伸ばすと、そこにあるデータ画面を指でつまんで、真っ赤な地球の上にドロップした。
赤い地球にそのデータが重なると、あらたな点がそこに現われた。
青く点滅する点——。
それは日本に三箇所、台湾民国に一箇所、そして中華合衆国の東岸に四箇所存在していた。
「全部で八箇所——。この青い点が、一群の魔法少女が出現が疑われると報告された場所です」
リンは日本地図の箱根付近の青い点を指さした。
「そして、その中で唯一、まちがいなく一群の魔法少女が確認されたのがここ、ブライト邸の二体です」
「ということはどういうことなの?」
ミサトが自分で考察することなど端から無理と判断して結論を急がせた。
「もしレイの言うように『魔法が漏れでている』としたら、その亀裂は……この日本にある可能性が高いです」
「どこにあるって言うのよ、メイ!」
アスカが噛みつかんばかりの勢いで訊いた。
「アスカ、それはわからないわ。それをこれから探すっていう話なの」
「日本であるという可能性はどこから?」
ユウキがマップを見ながら言った。
「この八つの点をすべて囲んで、それらが全部入る円弧を描くと、最小の丸の中心は日本になるからだけど?」
「なるほど。ですが逆にインドのほうを中心にした大きな円弧の可能性もあるのでは?」
「ユウキ、その可能性は0とは言えないわ。だけどもしそんなに大きな円の範囲内にまで漏れでた魔法の力が及ぶのなら、それこそあちらの世界にいながら、いくらでも攻撃をしかけられるわ」
リンがユウキの仮説を否定すると、クララが遠慮がちに付け加えた。
「それに全員が一群の魔法少女になっていない説明もつかないですしね」
「全員って!?」
レイがふいに口を開いた。それはレイにしてはあまりに強い口調だった。
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