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第三章 第三節 進撃の魔法少女
第538話 亜獣の責任者になった者の特権
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「でも、そのことがぼくが腕利きのハッカーを知っている、ということとは直接結びつかないと思うけど」
エドは苦笑しながら言った。
「何を言ってるんだい。ほらあの時……、セラ・プルートが亜獣と化した時、三番目に出現した幻影獣『モスピダン』の分析データにアクセスできなくなった。ヘルメット博士の生体パスワードでないと、封印できないはずのデータなのに、誰かがアクセス不能にしたんだ。そんなことって、特別な権限を受け継いだ者にしかできっこないだろ」
ヤマトはあえて何も言わず、エドの目をじっと見た。エドはすこし煽るような口調で言った。
「あのモスピダンの分析データのなかに、『四解文書』の真実に触れるなにかが、そこにあったんだろ。そのもの単体では気づかれない内容だけど、『プルートゥ』の事案とつきあわせると、浮びあかるような何かが」
「だったら?」
ヤマトは冷たく言い返した。一触即発の空気を感じてか、金田日がおろおろした表情をみせている。いつの間にかエドの態度があの時のような強気にあふれている。
「いいや、なにも。ぼくは『四解文書』には何の興味もない。それに君もすでに知っているように、ぼくも『四解文書』の一節を受け継がされているからね」
ヤマトは余裕でその告白を無視したが、金田日はおおきなショックを受けていた。笑ってしまうほど目をひんむいてエドの顔を凝視している。
「エド、それは本当なのかネ」
「金田日博士。亜獣の責任者になった者の特権なのですよ。このあいだうちあけた、ヤマトくんも知らない亜獣に関するいくつかの秘密と、『四解文書』の一節を受け継ぐのはね。まあ、ぼくは特権というより足枷だと思ってますがね」
「知っているのはどの一節です?」
「ヤマトくん。君はこの文書の内容をひとまえで口外できないのを知ってるだろ?。でもぼくにはこの節がなにを言っているのかよくわからずにいる。そう言えば、きみにはこれがどの一節がわかるんじゃないかな」
「ええ。おそらく……。なんとなくわかりました」
ヤマトはエドがいろいろ打ちあけてくれたことに満足していた。これだけ胸襟をひらいてくれたことははじめてかもしれない。
「エド、協力させてもらうよ」
エドは眼鏡の枠をつかんですこし下にずらすと、自分の目をこちらにむけてきた。レンズ越しでは真意がみてとれないとでもいう仕草に見えた。なんとも芝居がかりすぎだ。
「ぼくも魔法少女が誰なのか気になる。そんな脅威が人知れず基地内で大手をふっているっていうのも気にいらないしね」
「どどうやるつもりなんだい?」
ヤマトは困ったような表情をしてみせた。
「すまない、エド。ぼくもそれはわからない。でもその人物ならまちがいなくAIをだし抜いてくれる」
エドは苦笑しながら言った。
「何を言ってるんだい。ほらあの時……、セラ・プルートが亜獣と化した時、三番目に出現した幻影獣『モスピダン』の分析データにアクセスできなくなった。ヘルメット博士の生体パスワードでないと、封印できないはずのデータなのに、誰かがアクセス不能にしたんだ。そんなことって、特別な権限を受け継いだ者にしかできっこないだろ」
ヤマトはあえて何も言わず、エドの目をじっと見た。エドはすこし煽るような口調で言った。
「あのモスピダンの分析データのなかに、『四解文書』の真実に触れるなにかが、そこにあったんだろ。そのもの単体では気づかれない内容だけど、『プルートゥ』の事案とつきあわせると、浮びあかるような何かが」
「だったら?」
ヤマトは冷たく言い返した。一触即発の空気を感じてか、金田日がおろおろした表情をみせている。いつの間にかエドの態度があの時のような強気にあふれている。
「いいや、なにも。ぼくは『四解文書』には何の興味もない。それに君もすでに知っているように、ぼくも『四解文書』の一節を受け継がされているからね」
ヤマトは余裕でその告白を無視したが、金田日はおおきなショックを受けていた。笑ってしまうほど目をひんむいてエドの顔を凝視している。
「エド、それは本当なのかネ」
「金田日博士。亜獣の責任者になった者の特権なのですよ。このあいだうちあけた、ヤマトくんも知らない亜獣に関するいくつかの秘密と、『四解文書』の一節を受け継ぐのはね。まあ、ぼくは特権というより足枷だと思ってますがね」
「知っているのはどの一節です?」
「ヤマトくん。君はこの文書の内容をひとまえで口外できないのを知ってるだろ?。でもぼくにはこの節がなにを言っているのかよくわからずにいる。そう言えば、きみにはこれがどの一節がわかるんじゃないかな」
「ええ。おそらく……。なんとなくわかりました」
ヤマトはエドがいろいろ打ちあけてくれたことに満足していた。これだけ胸襟をひらいてくれたことははじめてかもしれない。
「エド、協力させてもらうよ」
エドは眼鏡の枠をつかんですこし下にずらすと、自分の目をこちらにむけてきた。レンズ越しでは真意がみてとれないとでもいう仕草に見えた。なんとも芝居がかりすぎだ。
「ぼくも魔法少女が誰なのか気になる。そんな脅威が人知れず基地内で大手をふっているっていうのも気にいらないしね」
「どどうやるつもりなんだい?」
ヤマトは困ったような表情をしてみせた。
「すまない、エド。ぼくもそれはわからない。でもその人物ならまちがいなくAIをだし抜いてくれる」
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