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第三章 第三節 進撃の魔法少女
第488話 まだアイさんを愛してるのですか?
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「まだアイさんを愛してるのですか?」
あまりにむきだしの質問が、クララの口からついてでた。まるでなにかの罪を糾弾しているようにすらかんじられた。
ふいにアスカは腹が立った。クララのその態度が傲慢に思えた。ヤマトの彼女でもないクララに、そこまで上から目線の物言いをする権利などないはずだ。
そう、あたしにだってそんな権利はない——。
「クララ、あんたねぇ!」
アスカはクララを咎め立てしたが、クララはおかまいなしにまくし立てた。
「これは、タケルさん個人の問題ではありません。この人類、地球上の100億人の生き死にがかかった重要な問題です」
アスカはハッとした。
湧き上がってきたクララに対する怒りや苛立ち、ほかのネガティブな感情も一気に消し飛んだ。
偉そうに思い上がっていたのは自分のほうだ——。
タケルに聞かされていなかったからと言って、元カノの話にとらわれて感情に流されていた。
なんて、情けない。アスカ。しっかりなさい!。
「そうよ、タケル。クララの言う通りよ」
アスカはつよく咎めだてして聞こえるように、精いっぱい声を張った。
「あんたが誰を好いてたとか、どれくらい好きだったかは今はどうでもいい。でも、タケル、いまも気持ちが残っているというのなら、あたしたちはあなたと一緒に出撃できない。そして司令部もクルーもあなたを出撃させない!」
アスカはクララのほうにチラリと目をむけてから、力強く言った。
「あたしは、タケルを、あたしの兄とおなじには、絶対させない!」
「アスカ、心配しなくていい。ぼくは大丈夫だ」
「は、簡単に言わないで!。あいつらはあなたを狙っているのよ。つけ込んで、揺さぶって、苦しませて、いえ、なんだってやってくる。やれることならなんでもね」
「わかってる。だけど、ぼくはどんなことを仕掛けられても耐えられるし戦える。そして絶対、『亜獣エンマ・アイ』を倒してみせる」
タケルがエンマ・アイをわざと『亜獣』と言ったのがわかった。そういう線引きをしているというパフォーマンスなのだろう。かえって不安が募る。
「あの子、タケルとの思い出をきっと話しかけてくるわ」
「ああ、そうだろうね。でも大丈夫だ」
「あの人、タケルさんへの思いを打ち明けてきますわ」
クララが横から、さらに踏み込んだ可能性を示唆してきた。一瞬苛立ちそうになったが、ぐっとことばを飲み込んだ。
これは自分がしたくなかった質問だ——。
あまりにむきだしの質問が、クララの口からついてでた。まるでなにかの罪を糾弾しているようにすらかんじられた。
ふいにアスカは腹が立った。クララのその態度が傲慢に思えた。ヤマトの彼女でもないクララに、そこまで上から目線の物言いをする権利などないはずだ。
そう、あたしにだってそんな権利はない——。
「クララ、あんたねぇ!」
アスカはクララを咎め立てしたが、クララはおかまいなしにまくし立てた。
「これは、タケルさん個人の問題ではありません。この人類、地球上の100億人の生き死にがかかった重要な問題です」
アスカはハッとした。
湧き上がってきたクララに対する怒りや苛立ち、ほかのネガティブな感情も一気に消し飛んだ。
偉そうに思い上がっていたのは自分のほうだ——。
タケルに聞かされていなかったからと言って、元カノの話にとらわれて感情に流されていた。
なんて、情けない。アスカ。しっかりなさい!。
「そうよ、タケル。クララの言う通りよ」
アスカはつよく咎めだてして聞こえるように、精いっぱい声を張った。
「あんたが誰を好いてたとか、どれくらい好きだったかは今はどうでもいい。でも、タケル、いまも気持ちが残っているというのなら、あたしたちはあなたと一緒に出撃できない。そして司令部もクルーもあなたを出撃させない!」
アスカはクララのほうにチラリと目をむけてから、力強く言った。
「あたしは、タケルを、あたしの兄とおなじには、絶対させない!」
「アスカ、心配しなくていい。ぼくは大丈夫だ」
「は、簡単に言わないで!。あいつらはあなたを狙っているのよ。つけ込んで、揺さぶって、苦しませて、いえ、なんだってやってくる。やれることならなんでもね」
「わかってる。だけど、ぼくはどんなことを仕掛けられても耐えられるし戦える。そして絶対、『亜獣エンマ・アイ』を倒してみせる」
タケルがエンマ・アイをわざと『亜獣』と言ったのがわかった。そういう線引きをしているというパフォーマンスなのだろう。かえって不安が募る。
「あの子、タケルとの思い出をきっと話しかけてくるわ」
「ああ、そうだろうね。でも大丈夫だ」
「あの人、タケルさんへの思いを打ち明けてきますわ」
クララが横から、さらに踏み込んだ可能性を示唆してきた。一瞬苛立ちそうになったが、ぐっとことばを飲み込んだ。
これは自分がしたくなかった質問だ——。
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