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第三章 第三節 進撃の魔法少女
第473話 進撃の魔法少女2
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どれも街中の様子を映していて、リポーターが街の様子を伝えていた。だが、いつものロボット・リポーターに混じって、驚いたことに本物の人間のリポーターも現場へ繰り出しているようだった。それだけでただならぬ雰囲気が感じられる。
魔法少女——?。
アイシェはあまり聞きなじみがないそのワードが気になったので、AIに口頭で命じた。
「過去、12時間分のニュースを超速再生で一気見させて」
すると12分割の画面がさらに24に細分化され、その画面をものすごいスピードで映像が再生されていった。ほぼなにかがちかちか瞬いているような速度。
その光の瞬きをしっかりとした目で見つめて、ラピッド・ラーニング式で情報を瞬時に読み取っていく。自分が外部と情報を遮断していた12時間になにがあったのかを確認する。アイシェは光の洪水に目を奪われた。思わず声が漏れる。
「嘘でしょ。イスタンブールって……。やだ現場ちかくじゃない。それに世界20箇所同時ってどうなってるの……?」
アイシェは焦る気持ちを抑えるようにして、脳内通信システム『テレパス・ライン』を起動して、友人のアダを呼び出した。だが、アダはなんの返事もしてこなかった。眠っていたとしても、脳をこれだけ揺らしていれば、なんらかの反応はあるはずだ。彼女はすぐにアダの生体IDの履歴をチェックし、思考共有回路『ニューロン・ストリーマ』でアダの脳に直接アクセスしようと試みた。アダとは日頃から感情を共有していたのだから、思いが伝わるはずだ。
だが、信じられないことに、なにひとつ意志の疏通がきかなかった——。
アイシェは再アクセスをしようと、アダの顔を思い浮かべた。そのとき遠くのほうで、パパパパパという乾いた音がした。
銃撃の音——?。
自分でもその音が銃声だとなぜ思ったのかわからない。アイシェは窓に駆け寄り外を見た。
さきほど垣間みた、アヤソフィア寺院付近から黒煙があがっているのか見えた。
ただ事ではない——。
アイシェは『万布』を肩にはおると、肩口部分に貼ってあるスライド・パッドに指を這わせて、月と星のマークをなぞった。すぐにクロスの襟のうしろ部分の布がふくらんで頭をすっぽり隠し、同時に襟の前部がおおきくひろがって首元を覆う。
ヒジャブ(顔以外をおおい隠す、比較的緩めのイスラムの女性の宗教衣)のできあがりだ。
アイシェのお気に入りは日本風のデザイン柄で、このヒジャブも蝶の羽根模様のすこしピンクがかった柄のものだ。数百年前に爆発的に流行ったことがある伝統的なものと聞いている。
この時代になってもイスラムの女性は、こんなものを身につけねばならないというのは、不自由をきわまりなかったが、敬虔な信者に見つかって咎められるよりはマシだ。
魔法少女——?。
アイシェはあまり聞きなじみがないそのワードが気になったので、AIに口頭で命じた。
「過去、12時間分のニュースを超速再生で一気見させて」
すると12分割の画面がさらに24に細分化され、その画面をものすごいスピードで映像が再生されていった。ほぼなにかがちかちか瞬いているような速度。
その光の瞬きをしっかりとした目で見つめて、ラピッド・ラーニング式で情報を瞬時に読み取っていく。自分が外部と情報を遮断していた12時間になにがあったのかを確認する。アイシェは光の洪水に目を奪われた。思わず声が漏れる。
「嘘でしょ。イスタンブールって……。やだ現場ちかくじゃない。それに世界20箇所同時ってどうなってるの……?」
アイシェは焦る気持ちを抑えるようにして、脳内通信システム『テレパス・ライン』を起動して、友人のアダを呼び出した。だが、アダはなんの返事もしてこなかった。眠っていたとしても、脳をこれだけ揺らしていれば、なんらかの反応はあるはずだ。彼女はすぐにアダの生体IDの履歴をチェックし、思考共有回路『ニューロン・ストリーマ』でアダの脳に直接アクセスしようと試みた。アダとは日頃から感情を共有していたのだから、思いが伝わるはずだ。
だが、信じられないことに、なにひとつ意志の疏通がきかなかった——。
アイシェは再アクセスをしようと、アダの顔を思い浮かべた。そのとき遠くのほうで、パパパパパという乾いた音がした。
銃撃の音——?。
自分でもその音が銃声だとなぜ思ったのかわからない。アイシェは窓に駆け寄り外を見た。
さきほど垣間みた、アヤソフィア寺院付近から黒煙があがっているのか見えた。
ただ事ではない——。
アイシェは『万布』を肩にはおると、肩口部分に貼ってあるスライド・パッドに指を這わせて、月と星のマークをなぞった。すぐにクロスの襟のうしろ部分の布がふくらんで頭をすっぽり隠し、同時に襟の前部がおおきくひろがって首元を覆う。
ヒジャブ(顔以外をおおい隠す、比較的緩めのイスラムの女性の宗教衣)のできあがりだ。
アイシェのお気に入りは日本風のデザイン柄で、このヒジャブも蝶の羽根模様のすこしピンクがかった柄のものだ。数百年前に爆発的に流行ったことがある伝統的なものと聞いている。
この時代になってもイスラムの女性は、こんなものを身につけねばならないというのは、不自由をきわまりなかったが、敬虔な信者に見つかって咎められるよりはマシだ。
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