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第三章 第二節 魔法少女大戦
第460話 亜獣の弱点や能力を見極めただとぉぉ——
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司令室の面々は呆然とした表情でモニタを見ていた。
イオージャに続いて、魔法少女たちの姿も消えていっていた。空の空間に裂け目のように開いた『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』の出口に、吸い込まれるようにして消えていく。
司令室のクルーは誰ひとりとして口を開かず、ひんやりとした雰囲気に包まれていた。
「どういうことよぉ!」
そんな空気を切り裂くように、アスカが声をひっくり返して怒鳴ってきた時、エドは自分がなじられているような気分になった。まるで亜獣担当者の不手際のせいで討ち漏らしたとでも言わんばかりに感じて、エドは無性にむしゃくしゃした。
「アスカ、時間が限られていることはわかっていただろう」
「エド、限られているもなにも、ナンにもできなかったわよ。ユウキは体当たりをかましただけだし、あたしにいたってはアイツの口元を切って、笑顔をちょっぴりチャーミングにしてやっただけよ」
ヤマトくんが参加していないのだから仕方がない——。
そう言った文句が口をついて出そうになった。
科学者として「タラレバ」を持ち出すのは相応しくないが、さきほどの戦いにヤマトが参加していたら、あの短い時間でイオージャを仕留められていた可能性は否定できない。
「アスカ、心配しないで。すごい成果はあったわ」
レイが静かに言った。
「魔法少女の弱点を見つけたし、能力の切り分けもできた。そうでしょう。ユウキ」
レイのその自信に満ちた言い方はエドの気持ちを逆なでした。
これに比べれば、アスカの責任を問うような態度など、ただの子供の癇癪だと一笑にふせるレベルだ。
亜獣の弱点や能力を見極めただとぉぉ——?。
「あぁレイくん。キミのたてた仮説がただしいと思えてきたよ」
ユウキが手ごたえに満ちた返事を返してきた。
エドは混乱した。
腸が煮えくり返るほどの怒りを覚えながらも、その内臓が腐り落ちたかと思えるほど、ズンとした重みと痛みに襲われた。極度のストレスを警告するアラートが脳内に鳴り響き、それと同時に網膜デバイス上に『警告』の文字がチカチカと踊りはじめた。
すぐに『生体チップ』が脳に信号を送り、安らぎをもたらす脳内物質『セロトニン』が大量分泌されはじめた。おそらく微量ながら、脳内麻薬『エンドルフィン』も出ているに違いない。さきほど一瞬だけ頭をもたげかけた、屈辱感や絶望感がすぐに和らいだ。
だが、不安感はまだ拭えないでいる——。
エドはいつのまにか金田日のほうに目をむけていた。無意識のうちに一番嫌いなライバルに、助けを求めようとしていたことに気づいた。
だが、金田日もこちらを見ていた。
彼も今のレイたちの会話にショックを受けているのは確かだった。
なにが、わかったのだ??????。
イオージャに続いて、魔法少女たちの姿も消えていっていた。空の空間に裂け目のように開いた『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』の出口に、吸い込まれるようにして消えていく。
司令室のクルーは誰ひとりとして口を開かず、ひんやりとした雰囲気に包まれていた。
「どういうことよぉ!」
そんな空気を切り裂くように、アスカが声をひっくり返して怒鳴ってきた時、エドは自分がなじられているような気分になった。まるで亜獣担当者の不手際のせいで討ち漏らしたとでも言わんばかりに感じて、エドは無性にむしゃくしゃした。
「アスカ、時間が限られていることはわかっていただろう」
「エド、限られているもなにも、ナンにもできなかったわよ。ユウキは体当たりをかましただけだし、あたしにいたってはアイツの口元を切って、笑顔をちょっぴりチャーミングにしてやっただけよ」
ヤマトくんが参加していないのだから仕方がない——。
そう言った文句が口をついて出そうになった。
科学者として「タラレバ」を持ち出すのは相応しくないが、さきほどの戦いにヤマトが参加していたら、あの短い時間でイオージャを仕留められていた可能性は否定できない。
「アスカ、心配しないで。すごい成果はあったわ」
レイが静かに言った。
「魔法少女の弱点を見つけたし、能力の切り分けもできた。そうでしょう。ユウキ」
レイのその自信に満ちた言い方はエドの気持ちを逆なでした。
これに比べれば、アスカの責任を問うような態度など、ただの子供の癇癪だと一笑にふせるレベルだ。
亜獣の弱点や能力を見極めただとぉぉ——?。
「あぁレイくん。キミのたてた仮説がただしいと思えてきたよ」
ユウキが手ごたえに満ちた返事を返してきた。
エドは混乱した。
腸が煮えくり返るほどの怒りを覚えながらも、その内臓が腐り落ちたかと思えるほど、ズンとした重みと痛みに襲われた。極度のストレスを警告するアラートが脳内に鳴り響き、それと同時に網膜デバイス上に『警告』の文字がチカチカと踊りはじめた。
すぐに『生体チップ』が脳に信号を送り、安らぎをもたらす脳内物質『セロトニン』が大量分泌されはじめた。おそらく微量ながら、脳内麻薬『エンドルフィン』も出ているに違いない。さきほど一瞬だけ頭をもたげかけた、屈辱感や絶望感がすぐに和らいだ。
だが、不安感はまだ拭えないでいる——。
エドはいつのまにか金田日のほうに目をむけていた。無意識のうちに一番嫌いなライバルに、助けを求めようとしていたことに気づいた。
だが、金田日もこちらを見ていた。
彼も今のレイたちの会話にショックを受けているのは確かだった。
なにが、わかったのだ??????。
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