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第三章 第二節 魔法少女大戦

第450話 セラ・ヴィーナスのからだに魔法少女がぶつかった

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 魔法少女たちの群れの上方で、飛んでいる十体ほどの魔法少女が近づいてきた。

 セラ・ヴィーナスのからだに、近づきすぎた魔法少女がぶつかった。と、数体の少女がそのまま一緒に下降していく。ヴィーナスの装具に魔法少女のひらひらした衣装が巻き込まれたのかもしれない。
 アスカはその魔法少女を引き剥がそうと、自分のからだに手を伸ばした。左手で肩口にいた少女を掴みあげる。が、腰に伸ばした右腕は手の先が逆向きについているせいでうまく掴めなかった。

 その瞬間だった。
 セラ・ヴィーナスが魔法少女の群れのなかを通り抜けた。
 すぐに上方のカメラ映像を覗き込む。
 そこにはカウント・ダウンの数字が映し出されている。
「2」
 まんまとすり抜けられた魔法少女が、あわてて下方に降りてこようとしている。
「1」
 さきほど掴み損ねた魔法少女を右手がガッチリと握りしめる。両手に魔法少女を握りしめた状態でさらに下降していく。

 
 集中を切らすな——。

 もう一度『移行領域被覆(TZC=トランジショナル・ゾーン・コーティング)』を示す数字を見やる。

 100%——。

「0」
 その瞬間、一斉に中国国防軍の攻撃が浴びせられた。
 噴水のように湧き上がってきたビーム砲の光線が、それに負けないおびただしい量のミサイルや銃弾が、セラ・ヴィーナスの体を直撃する。
 が、『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』のベールにふれたとたん、そのまま通り抜けていった。そしてそのまま魔法少女が飛んでいるところに送り込まれ、一気に炸裂。轟音が空気を揺さぶる。
 
 アスカはすぐ隣でおなじような思いをしているユウキの映像に目をやった。顔を若干こわばらせてはいたが、それでもデミリアンに傷ひとつつけることなく、魔法少女の群れをくぐり抜けたようだった。
「アスカくん、大丈夫かい?」
 モニタごしでじっと見つめられているのに気づいて、ユウキが訊いてきた。
「なあに、生意気なこと言ってンのよ。それはこっちのセリフでしょう。顔、引きつっているわよ」
「そ、そうですか……。まぁ、いくら『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』に守られているとわかっていても、レーザー砲の集中砲火をあれだけ浴びれば、さすがに生きた心地はしませんでした」
「そうね。それは同意する。ちょっとだけだけど、あたしも死ぬかと思ったわ」
「アスカくんがですか?」
「まぁね。こんな体験はさすがにはじめてだから……」

 その時、ミライからの指示が飛んだ。
「アスカ、ユウキ、もうすぐ着地するわ、準備して。それと……」


「アスカ、あなたが両手に掴んだままの魔法少女、どうするつもり?」
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