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第三章 第二節 魔法少女大戦
第429話 キミは、あたしとつがいたくないの?
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「いいけどさ。ぼくはアイに恋するかどうかわかんないだろ」
ぼくは率直な意見を口にした。すこしはアイの暴走がとまってくれるかという期待もあった。だけどアイはそんなことじゃあめげなかった。
「いいの!。今はあたしの番なの。あんたの気持ちはあとでいい。まずはあたしの気持ちをきいて、知っててくれればいいわ」
「それでも好きにならなかったら?」
「好きになるの!。あたしはタケルがあたしのこと好きになるまであきらめないから」
「ちぇっ。なんか脅迫みたいじゃないかぁ」
「そう思うなら、そう思っててもいいよ」
アイはぼくを正面から見すえてきた。一歩もひかない覚悟のつもりだ——。ぼくは押しつけがましいアイの気持ちに押し切られそうな気がして、すこし茶化してみた。
「でも、ぼくにとってアイはお姉ちゃんみたいなものだよ」
「は、お姉ちゃんに恋する人だっているわ。たとえば……、クレオパトラは弟と結婚したのよ。知ってるでしょ」
「だってあれはプトレマイオス朝を存続させるためにしかたなく……」
「ほうら、そうでしょ。じゃあ、あたしたちも日本人の純血を存続するために仕方なく、でいいじゃない」
「だったら愛はどこにあるのさ?」
「た、たぶん……、クレオパトラは弟を愛してたと思うわよ」
ふいにアイの言っていることがあやしくなってきたので、ぼくは得意の歴史の知識を披瀝してみせた。
「そんなはずないさ。だって、クレオパトラは、小ポンペイウスやジュリアスシーザーやマルクス・アントニウスと浮名を流したんだよ」
「タケル、ほんと、いじわるなのね」
歴史上の人物になぞらえられて、気分を害したのかアイは口を尖らせた。どうやら、ロジックで説得するのをあきらめたらしい。感情に訴えてくる作戦にきりかえてきた。
「だって、どんなにきれいごとを言っても、歴史上の人々は……」
「タケル、キミは、あたしとつがいたくないの?」
真正面から見すえられた上に、そうストレートに問われてヤマトはことばを飲み込んだ。
いつのまにか、ぼくの呼び方が『あんた』から『キミ』に変わっている。その呼び方が、格上げになったものかどうかはわからない。でも、それだけで。ぼくの脳内で、アイに対するエロティックな思い出が総動員されはじめた。
以前、戦いのあとでぼくだけに見せたか弱い姿。守りたくなるようなやさしい寝顔。リラックス・スーツから覗いていたアイの豊満な胸。太ももに押しつけられたそのやわらかな感触。安心感にほっこりとする温もり……。
われながら単純だ——。
こんなに感情が動かされては、父に殴られても文句は言えやしない。
「あ、いや、そのう……。もちろん……」
ぼくは率直な意見を口にした。すこしはアイの暴走がとまってくれるかという期待もあった。だけどアイはそんなことじゃあめげなかった。
「いいの!。今はあたしの番なの。あんたの気持ちはあとでいい。まずはあたしの気持ちをきいて、知っててくれればいいわ」
「それでも好きにならなかったら?」
「好きになるの!。あたしはタケルがあたしのこと好きになるまであきらめないから」
「ちぇっ。なんか脅迫みたいじゃないかぁ」
「そう思うなら、そう思っててもいいよ」
アイはぼくを正面から見すえてきた。一歩もひかない覚悟のつもりだ——。ぼくは押しつけがましいアイの気持ちに押し切られそうな気がして、すこし茶化してみた。
「でも、ぼくにとってアイはお姉ちゃんみたいなものだよ」
「は、お姉ちゃんに恋する人だっているわ。たとえば……、クレオパトラは弟と結婚したのよ。知ってるでしょ」
「だってあれはプトレマイオス朝を存続させるためにしかたなく……」
「ほうら、そうでしょ。じゃあ、あたしたちも日本人の純血を存続するために仕方なく、でいいじゃない」
「だったら愛はどこにあるのさ?」
「た、たぶん……、クレオパトラは弟を愛してたと思うわよ」
ふいにアイの言っていることがあやしくなってきたので、ぼくは得意の歴史の知識を披瀝してみせた。
「そんなはずないさ。だって、クレオパトラは、小ポンペイウスやジュリアスシーザーやマルクス・アントニウスと浮名を流したんだよ」
「タケル、ほんと、いじわるなのね」
歴史上の人物になぞらえられて、気分を害したのかアイは口を尖らせた。どうやら、ロジックで説得するのをあきらめたらしい。感情に訴えてくる作戦にきりかえてきた。
「だって、どんなにきれいごとを言っても、歴史上の人々は……」
「タケル、キミは、あたしとつがいたくないの?」
真正面から見すえられた上に、そうストレートに問われてヤマトはことばを飲み込んだ。
いつのまにか、ぼくの呼び方が『あんた』から『キミ』に変わっている。その呼び方が、格上げになったものかどうかはわからない。でも、それだけで。ぼくの脳内で、アイに対するエロティックな思い出が総動員されはじめた。
以前、戦いのあとでぼくだけに見せたか弱い姿。守りたくなるようなやさしい寝顔。リラックス・スーツから覗いていたアイの豊満な胸。太ももに押しつけられたそのやわらかな感触。安心感にほっこりとする温もり……。
われながら単純だ——。
こんなに感情が動かされては、父に殴られても文句は言えやしない。
「あ、いや、そのう……。もちろん……」
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