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第三章 第二節 魔法少女大戦
第428話 ぼくはうかつにも心拍をはね上げてしまった
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そう皮肉をおりまぜたが、アイはまだことばを続けようとしていた。
「でもあたしはそういうことは、好きなひととじゃないとしたくないの」
「好き嫌い関係なく、純血の日本人の血を残すのもぼくらの任務なんだから……」
「任務!。タケル、あんた、本当にそれだけぇ?。なんか感情のひとつも動かないっていうのぉ」
「ごめん。ぼくは感情を持たないよう、父さんに言われているし、そういう訓練を受けてきている。アイもそうだろ」
「ん、まぁ、そうなんだけどぉ……。でも消せない感情ってあるでしょ」
ぼくは残念そうな表情を顔にうかべてから、首を横にふってみせた。アイはそのジェスチャーをみて、顎をつきあげて鼻をならした。
「ふん。いいわよ。どうせ、あんたの気持ちは関係ないんだし。あたしの気持ちの問題なんだから」
「ぼくはアイがどう思ってようと、あんまり関係ないんだよ」
「あたしはヤなの。あたしは好きな人とつがいたいの。どうあがいてもタケルとつがわなくちゃならないなら、タケルを好きな人にしちゃえば問題解決でしょ」
「ん、まぁ……」
ぼくはなんと言っていえばアイが納得してくれるかわからなかったので、曖昧な返事でことばを濁すことにした。だけどアイはそれを肯定と受け取ったらしかった。期待感いっぱいに目をおおきくひらくと、うれしそうに口元を緩めた。そして、正面の教壇のほうに向き直ると、先生にむかって挙手した。
「先生!」
先生はあきらかに面喰らった顔をしていた。が、アイはかまわず続けた。
「あたし、今日からタケルに恋します」
思わぬ宣言にぼくはドキリとした。感情をくゆらせてもいけないのに、迂闊にも心拍をはね上げてしまった。それどころか耳まで熱を帯びてきて、赤くなってきている。
こんなところを父に見られてたら、確実に殴りつけられるかもしれない。致命的なほどに感情を揺さぶられた。
まちがいなくデミリアンのパイロット失格だ——。
だけど、こころがふわっと落ち着いて、でもなぜか焦って、それでいて照れくさくて、そしてとてもわくわくしていた。どうにも気持ちの高鳴りをとめられない……。
こんなことはいけないことなのだと、ぼくは自分に言い聞かせた。こんなに感情が上下していては、地球を守る任務などこなせるわけがない——。
あわててぼくはアイに反論した。
「でもあたしはそういうことは、好きなひととじゃないとしたくないの」
「好き嫌い関係なく、純血の日本人の血を残すのもぼくらの任務なんだから……」
「任務!。タケル、あんた、本当にそれだけぇ?。なんか感情のひとつも動かないっていうのぉ」
「ごめん。ぼくは感情を持たないよう、父さんに言われているし、そういう訓練を受けてきている。アイもそうだろ」
「ん、まぁ、そうなんだけどぉ……。でも消せない感情ってあるでしょ」
ぼくは残念そうな表情を顔にうかべてから、首を横にふってみせた。アイはそのジェスチャーをみて、顎をつきあげて鼻をならした。
「ふん。いいわよ。どうせ、あんたの気持ちは関係ないんだし。あたしの気持ちの問題なんだから」
「ぼくはアイがどう思ってようと、あんまり関係ないんだよ」
「あたしはヤなの。あたしは好きな人とつがいたいの。どうあがいてもタケルとつがわなくちゃならないなら、タケルを好きな人にしちゃえば問題解決でしょ」
「ん、まぁ……」
ぼくはなんと言っていえばアイが納得してくれるかわからなかったので、曖昧な返事でことばを濁すことにした。だけどアイはそれを肯定と受け取ったらしかった。期待感いっぱいに目をおおきくひらくと、うれしそうに口元を緩めた。そして、正面の教壇のほうに向き直ると、先生にむかって挙手した。
「先生!」
先生はあきらかに面喰らった顔をしていた。が、アイはかまわず続けた。
「あたし、今日からタケルに恋します」
思わぬ宣言にぼくはドキリとした。感情をくゆらせてもいけないのに、迂闊にも心拍をはね上げてしまった。それどころか耳まで熱を帯びてきて、赤くなってきている。
こんなところを父に見られてたら、確実に殴りつけられるかもしれない。致命的なほどに感情を揺さぶられた。
まちがいなくデミリアンのパイロット失格だ——。
だけど、こころがふわっと落ち着いて、でもなぜか焦って、それでいて照れくさくて、そしてとてもわくわくしていた。どうにも気持ちの高鳴りをとめられない……。
こんなことはいけないことなのだと、ぼくは自分に言い聞かせた。こんなに感情が上下していては、地球を守る任務などこなせるわけがない——。
あわててぼくはアイに反論した。
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