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第三章 第二節 魔法少女大戦
第423話 アメリカ陸軍 魔法少女との戦いの記録5
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耳をつんざく爆発音とともに何万トンという災害級の水がまるで瀑布さながら、数十メートル下のフロアめがけて落ちてきた。最大30メートルの大形生物のレプリカ・ロボットをはじめとする、あらゆる海洋生物も一緒に——。
魔法少女たちはすぐさま上空にむけて『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』のベールを展開した。
それは脊髄反射的な動きで、当然の反応だった。
何十万トンの水は羽根を容赦なくもぎとる脅威であるし、一緒におちてくる巨大生物は圧倒的破壊力で魔法少女たちを押し潰す、さながら兵器のようなものなのだ。それに、なによりもフロア中央に誘導されていた魔法少女らは、逃げられる選択肢をもたなかった。
その瞬間をのがさずスージーが叫んだ。
『ーてぇ!!』」
と、同時に地面に仰向けに倒れると、揚力装置『フライ・バーニア』をトップギアにいれ、超流動斥力波をめいっぱい吹かした。とたんに床の上を仰向けのまま、外周にむかって滑りながら飛んでいく。床を滑りながら上空にむけて、スージーは銃を撃ちまくった。
上からの防御に備えて『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』のベールの傘をかぶったものは、側面や下側からの攻撃にひとたまりもなくやられた。放たれた銃弾やレーザーがことごとく命中した。あわてて側面や下側にベールを切り替えた魔法少女は、頭上からの巨大生物に押し潰された。
スージーは強烈な加速で飛び出し、天井の落下に巻き込まれず脱出をはたした。が、その勢いのままフロアの壁に激突した。
うっ、といううめき声が聞こえる。
だが、おそらく最初からスピードを緩めることなど考えていなかったはずだ。
水槽からの落下物は大量の水とともに魔法少女を巻き込んでいった。
飛んで逃げようとした魔法少女を頭上から『サメ』の顎が襲いかかり、広がった『ダイオウイカ』の触手が数体を道連れにした。落下してきた何頭もの『イルカ』が瀕死の魔法少女の上で跳ねてとどめをさすと、『ウミガメ』がその頭を潰して血飛沫を飛び散らせた。
その様子を仰向けのまま見あげているスージーのまわりに、大波となって水槽の水が押し寄せてくる。痛みに喘ぎながらも、あわてて立ちあがろうとする。が、波にあしをとられてそのまま転倒し、変色して澱んだ水のなかに顔が沈む。
が、スージーはすばやく体勢を立て直して、なんとか立ちあがると、あたりを見回して、戦況を確認していた。
フロアに叩きつけられているロボットの落下音が響き、床が揺さぶられるたびに、水が小さな波紋となって広がる。フロアの中心にはすでに落下してきた海洋生物の山ができあがっていた。そしてフロアの中央の上の天井からは、まだ相当量の水が滝さながらに流れ落ちていて、フロアに濁流のような流れを作っていた。
その潮流に流されないよう踏ん張りながら、スージーが部下たちに声をかけた。
『各位、魔法少女の生き残りがいないか確認せよ……』
魔法少女たちはすぐさま上空にむけて『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』のベールを展開した。
それは脊髄反射的な動きで、当然の反応だった。
何十万トンの水は羽根を容赦なくもぎとる脅威であるし、一緒におちてくる巨大生物は圧倒的破壊力で魔法少女たちを押し潰す、さながら兵器のようなものなのだ。それに、なによりもフロア中央に誘導されていた魔法少女らは、逃げられる選択肢をもたなかった。
その瞬間をのがさずスージーが叫んだ。
『ーてぇ!!』」
と、同時に地面に仰向けに倒れると、揚力装置『フライ・バーニア』をトップギアにいれ、超流動斥力波をめいっぱい吹かした。とたんに床の上を仰向けのまま、外周にむかって滑りながら飛んでいく。床を滑りながら上空にむけて、スージーは銃を撃ちまくった。
上からの防御に備えて『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』のベールの傘をかぶったものは、側面や下側からの攻撃にひとたまりもなくやられた。放たれた銃弾やレーザーがことごとく命中した。あわてて側面や下側にベールを切り替えた魔法少女は、頭上からの巨大生物に押し潰された。
スージーは強烈な加速で飛び出し、天井の落下に巻き込まれず脱出をはたした。が、その勢いのままフロアの壁に激突した。
うっ、といううめき声が聞こえる。
だが、おそらく最初からスピードを緩めることなど考えていなかったはずだ。
水槽からの落下物は大量の水とともに魔法少女を巻き込んでいった。
飛んで逃げようとした魔法少女を頭上から『サメ』の顎が襲いかかり、広がった『ダイオウイカ』の触手が数体を道連れにした。落下してきた何頭もの『イルカ』が瀕死の魔法少女の上で跳ねてとどめをさすと、『ウミガメ』がその頭を潰して血飛沫を飛び散らせた。
その様子を仰向けのまま見あげているスージーのまわりに、大波となって水槽の水が押し寄せてくる。痛みに喘ぎながらも、あわてて立ちあがろうとする。が、波にあしをとられてそのまま転倒し、変色して澱んだ水のなかに顔が沈む。
が、スージーはすばやく体勢を立て直して、なんとか立ちあがると、あたりを見回して、戦況を確認していた。
フロアに叩きつけられているロボットの落下音が響き、床が揺さぶられるたびに、水が小さな波紋となって広がる。フロアの中心にはすでに落下してきた海洋生物の山ができあがっていた。そしてフロアの中央の上の天井からは、まだ相当量の水が滝さながらに流れ落ちていて、フロアに濁流のような流れを作っていた。
その潮流に流されないよう踏ん張りながら、スージーが部下たちに声をかけた。
『各位、魔法少女の生き残りがいないか確認せよ……』
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