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第三章 第二節 魔法少女大戦
第415話 アメリカ陸軍対魔法少女6
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魔法少女!
スージーはそう判断した。それはどう見ても人間の姿をしていた。そして羽こそ見えなかったが、シャフト内の中空を舞っていた。人間ではない——。
だが、なによりもその格好だった。ここにはおよそ場違いな、フリルやドレープが多用されたド派手な原色のコスチュームやドレスを着ていた。
「ガイル、魔法少女よ!」
スージーは大声で叫んでいた。そんなことはすでに戦闘をはじめている本人が一番よくわかっているというのに……。だが叫ばずにはいられなかった。
すぐさまテレパスラインを起動させて、思念で本部へ報告をいれる。
『こちら陸軍第二大隊 スージー・クアトロ中佐。当方ニューヨーク、ソーホー地区にて魔法少女と交戦……』
そこまで言ったところで、おもわず声がとまった。エレベータ・シャフトの下方にむけて放った銃弾の雨が、何人もの魔法少女をとらえたのが見えた。魔法少女がばらばらとシャフトの奥底の闇にむけて落ちていく。
倒せる!。
スージーのこころが踊った。
先ほどまでの尻込みする気分が一瞬にして晴れ渡り、気持ちが逸った。
「あらゆる角度からの攻撃を!。魔法少女には倒せる死角が存在することを忘れるな」
その時兵士の一人が手榴弾を上から投げおとした。手榴弾は魔法少女の群れをすり抜け、下方で爆発した。こころで命じた範囲内と方向だけで爆発する『思念誘導型指向性爆弾』。下から吹き上がった炎と爆風に、何人もの魔法少女が巻き込まれて燃えあがる。
ガイルのからだが爆風に煽られる。思わずガイルが顔をそむけ、その視点が真上をむいた。
そこに魔法少女の群れがいた——。
エレベーター・シャフトの上方から、視界一杯にひろがっておびただしい数の魔法少女が急降下してきていた。上方を浮揚している隊員たちに、ガイルが大声で叫んだ。
悲鳴にもにた怒声。
ガイルの焦りと恐怖がスージーのこころに浸潤してくる。
そのとき、接続したままになったテレパス・ラインから声が聞こえてきた。
『第二大隊、クアトロ中佐……。現在、第一大隊はワシントンDCにて魔法少女と交戦中。第三大隊はサンフランシスコで音信不通……』
頭のなかで呪詛のことばのように呟かれる本部からの報告に、スージーは茫然自失としていた。
視界にはガイルの手元が映っている。ガイルは手慣れた手つきでマルチプル銃を操作し、ランチャーミサイルを上方にむけて撃ち込んだ。が、間に合わなかった。上方の兵士たちは魔法少女たちに飛びかかられていた。その上方で爆発が起きる。直撃をくらった数体の魔法少女が、ばらばらと肉片となって落ちてくる。
組みかかってきた魔法少女に抵抗する兵士たちのからだに、血や肉片が降り注いでくる。大きな肉片の直撃をくらった兵士が『揚力装置』の制御をうしない、エレベータ・シャフトをぐるぐる回転しながら落下していくのが見えた。
スージーはそう判断した。それはどう見ても人間の姿をしていた。そして羽こそ見えなかったが、シャフト内の中空を舞っていた。人間ではない——。
だが、なによりもその格好だった。ここにはおよそ場違いな、フリルやドレープが多用されたド派手な原色のコスチュームやドレスを着ていた。
「ガイル、魔法少女よ!」
スージーは大声で叫んでいた。そんなことはすでに戦闘をはじめている本人が一番よくわかっているというのに……。だが叫ばずにはいられなかった。
すぐさまテレパスラインを起動させて、思念で本部へ報告をいれる。
『こちら陸軍第二大隊 スージー・クアトロ中佐。当方ニューヨーク、ソーホー地区にて魔法少女と交戦……』
そこまで言ったところで、おもわず声がとまった。エレベータ・シャフトの下方にむけて放った銃弾の雨が、何人もの魔法少女をとらえたのが見えた。魔法少女がばらばらとシャフトの奥底の闇にむけて落ちていく。
倒せる!。
スージーのこころが踊った。
先ほどまでの尻込みする気分が一瞬にして晴れ渡り、気持ちが逸った。
「あらゆる角度からの攻撃を!。魔法少女には倒せる死角が存在することを忘れるな」
その時兵士の一人が手榴弾を上から投げおとした。手榴弾は魔法少女の群れをすり抜け、下方で爆発した。こころで命じた範囲内と方向だけで爆発する『思念誘導型指向性爆弾』。下から吹き上がった炎と爆風に、何人もの魔法少女が巻き込まれて燃えあがる。
ガイルのからだが爆風に煽られる。思わずガイルが顔をそむけ、その視点が真上をむいた。
そこに魔法少女の群れがいた——。
エレベーター・シャフトの上方から、視界一杯にひろがっておびただしい数の魔法少女が急降下してきていた。上方を浮揚している隊員たちに、ガイルが大声で叫んだ。
悲鳴にもにた怒声。
ガイルの焦りと恐怖がスージーのこころに浸潤してくる。
そのとき、接続したままになったテレパス・ラインから声が聞こえてきた。
『第二大隊、クアトロ中佐……。現在、第一大隊はワシントンDCにて魔法少女と交戦中。第三大隊はサンフランシスコで音信不通……』
頭のなかで呪詛のことばのように呟かれる本部からの報告に、スージーは茫然自失としていた。
視界にはガイルの手元が映っている。ガイルは手慣れた手つきでマルチプル銃を操作し、ランチャーミサイルを上方にむけて撃ち込んだ。が、間に合わなかった。上方の兵士たちは魔法少女たちに飛びかかられていた。その上方で爆発が起きる。直撃をくらった数体の魔法少女が、ばらばらと肉片となって落ちてくる。
組みかかってきた魔法少女に抵抗する兵士たちのからだに、血や肉片が降り注いでくる。大きな肉片の直撃をくらった兵士が『揚力装置』の制御をうしない、エレベータ・シャフトをぐるぐる回転しながら落下していくのが見えた。
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