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第三章 第二節 魔法少女大戦
第405話 こんなにも晴れがましい気分になるものなのか
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投影された世界地図上に、炎がもえるようなアイコンが重なっていく。
ニューヨーク
香港
ワシントンDC
ベルリン
ロンドン……。
予想はされていたが、列挙されているほぼ上位は大都市ばかりだ。
「ミライ、上位の地区の国の軍隊と、管轄の国連軍へ至急連絡して。ちかくに魔法少女の巣窟があるはず」
「了解しました」
その指示に従って人々が動きはじめる。
訓練を重ねた無駄のない、きびきびとした動き。
数十人ものオペレーターが一斉に自分の担当国の部隊に連絡をとり、一部の高位の武官が各国の独自軍隊の司令官への説明をはじめている。ウルスラは国際連邦の責任者たちへ報告を、ミサトは国際連邦軍の各国司令官を相手にしている。
100以上ものサブ画面上に映っていた各国軍隊の映像も一斉に動きはじめた。探索を要請された部隊と見送られた部隊で反応があきらかに変わった。魔法少女探索に動きはじめた軍の映像は緊張にこわばり、それに指示をとばしている司令室はあわただしさに包まれている。
金田日はそれらを見ながら、緊張しながらも悦にいっていた。
彼はこの世界規模の大作戦を、まるで自分が指揮しているような気分になっていた。いや、まさにその一翼を担っているのだ。指揮していると言ってはばかることはないはずだ。
こんなにも晴れがましい気分になるものなのか……。
が、ふと、ヤマトタケルの姿が目に入った。彼は両腕を組んだまま、じっと正面の世界地図のデータを見つめていた。一点をみつめて微動だにしていない。
その様子が金田日は気になった。
いや、正確には気にいらなかった。
横目でちらりと見ただけでも、ヤマトはあきらかに不満げな表情を浮かべているのがわかった。それが自分が指揮しているこの作戦に、難癖をつけようと手ぐすねをひいているように感じられた。
なにが気に入らないというのだ——。
膨大な情報があとからあとから追加され、データは次々と更新されていく。多少の精度を欠くことは避けられない以上、ある程度は予断して特定していくことは不可欠だ。完全な形で取捨選択するには時間が足りない。
手さぐりで進まなければならないことくらいはわかるはずだ。
その時、金田日はヤマトがどこを見ているのかに気づいた。
地図の一番右端、東の最果てを集中して見ていた。
日本列島——。
ヤマトはこの基地がある日本をじっと見つめていた。
金田日は視線を泳がせるようにして、地図の一番端に目をやった。
そこになんにもなかった。
北半球のすべての大陸、おおくの都市に、いくつもの光点が穿たれ、魔法少女出現可能性エリアが特定され続けているというのに、日本列島だけはまっさらだった。
日本列島だけ魔法少女がいない……?。
ありえない。
そんなこと絶対ありえるわけない——。
ニューヨーク
香港
ワシントンDC
ベルリン
ロンドン……。
予想はされていたが、列挙されているほぼ上位は大都市ばかりだ。
「ミライ、上位の地区の国の軍隊と、管轄の国連軍へ至急連絡して。ちかくに魔法少女の巣窟があるはず」
「了解しました」
その指示に従って人々が動きはじめる。
訓練を重ねた無駄のない、きびきびとした動き。
数十人ものオペレーターが一斉に自分の担当国の部隊に連絡をとり、一部の高位の武官が各国の独自軍隊の司令官への説明をはじめている。ウルスラは国際連邦の責任者たちへ報告を、ミサトは国際連邦軍の各国司令官を相手にしている。
100以上ものサブ画面上に映っていた各国軍隊の映像も一斉に動きはじめた。探索を要請された部隊と見送られた部隊で反応があきらかに変わった。魔法少女探索に動きはじめた軍の映像は緊張にこわばり、それに指示をとばしている司令室はあわただしさに包まれている。
金田日はそれらを見ながら、緊張しながらも悦にいっていた。
彼はこの世界規模の大作戦を、まるで自分が指揮しているような気分になっていた。いや、まさにその一翼を担っているのだ。指揮していると言ってはばかることはないはずだ。
こんなにも晴れがましい気分になるものなのか……。
が、ふと、ヤマトタケルの姿が目に入った。彼は両腕を組んだまま、じっと正面の世界地図のデータを見つめていた。一点をみつめて微動だにしていない。
その様子が金田日は気になった。
いや、正確には気にいらなかった。
横目でちらりと見ただけでも、ヤマトはあきらかに不満げな表情を浮かべているのがわかった。それが自分が指揮しているこの作戦に、難癖をつけようと手ぐすねをひいているように感じられた。
なにが気に入らないというのだ——。
膨大な情報があとからあとから追加され、データは次々と更新されていく。多少の精度を欠くことは避けられない以上、ある程度は予断して特定していくことは不可欠だ。完全な形で取捨選択するには時間が足りない。
手さぐりで進まなければならないことくらいはわかるはずだ。
その時、金田日はヤマトがどこを見ているのかに気づいた。
地図の一番右端、東の最果てを集中して見ていた。
日本列島——。
ヤマトはこの基地がある日本をじっと見つめていた。
金田日は視線を泳がせるようにして、地図の一番端に目をやった。
そこになんにもなかった。
北半球のすべての大陸、おおくの都市に、いくつもの光点が穿たれ、魔法少女出現可能性エリアが特定され続けているというのに、日本列島だけはまっさらだった。
日本列島だけ魔法少女がいない……?。
ありえない。
そんなこと絶対ありえるわけない——。
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