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第三章 第二節 魔法少女大戦

第400話 0・5秒を勝ち取らねばならんのだ

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「だがやらねばならん。なんとかして、0・5秒を勝ち取らねばならんのだ」
 その時上方から国連事務総長の声が響いた。
おや、おや、おやウェル・ウェル・ウェル、ウルスラ大将。それにカツライ中将も。おふたりで直々じきじきのおでましとは光栄だ。ゴーストかカバードでの参加でよかったのに……」
 上をみあげると国連事務総長を囲むようにして、文官や武官の幹部連中のバカでかい顔が中空にいくつも並んでいた。あまりに大きいので、ホログラムが重なってしまっていて、誰なのか判別できない顔もある。
「そうしたかったのですかね。事がかなり重大なだけに、『誠意』などという少々古めかしい意気込みを見せねばならない、と思いましてね」
「ふむ聞いてるよ。とんでもなく難易度の高い要求をね」
 事務総長がそう言うと、追従するように笑い声がおきた。ウルスラはその冷笑に対して、大袈裟なジェスチャーで訴えた。
「とんでもなく難易度が高い?。皆さんが首を5センチほどふるだけなのにですか?」
 とたんに会場内にざわめき、脳内へ非難めいた音声が飛び込んでくる。
 ちょっとしたジョークすら許さないのか!、と一瞬怒りを爆発しかけたが、こちらの心根を見透かされるのもしゃくだったので、すぐさま続きを口にした。
「皆さんが許可するという意思を示していただくだけで、こちらは次の行動に移せるのですがね」
 「ばかなことを。そんなに簡単に首を縦にふれる事案ではない!」
 議長の腰ぎんちゃく、次期、事務総長候補の男がいきりたった。すると、それに苛ついたのか、ミサトが一歩前に出ると上を見あげて訴えた。
「みなさま、報告は受けていると思いますが、私たちは亜獣が作り出したと思われる『魔法少女』たちに手を焼いています。この『魔法少女』はいわば、等身大の亜獣のようなものですが、私たちの世界にある兵器や武器で排除することができるんです」
「亜獣が作り出したと思われる?。そこはまだ推測の域をでないのかね?」
 腰ぎんちゃくの指摘に、ウルスラは思わず顔をしかめた。現場や亜獣の脅威を身をもって知りもしない連中はどうでもいい枝葉末節にこだわって、全体を見ようとしたがらない。連中はこちらの嘆願を握りつぶすのが目的なのだから、それで正解なのだろうが、こちらにも総司令官という立場がある。簡単には引けるわけがない。
「ええ、そうです。推測の域をでません」 
 ミサトの発言を受けるようにして、ウルスラが答えた。
「今までだって亜獣の正体や武器を完全に掌握できて戦ったことなどありません。亜獣と対峙してきた歴代の指揮官はみなそうです。誰もが手探りのなかで、未知の生命体にいどんでいったのです。それとも確信できると言い切ってしまえば、皆さんは賛成してくださるのですか?」
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