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第三章 第二節 魔法少女大戦
第384話 わたしはあなたの作戦を支持しない
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「エド、残念だけど、わたしはあなたの作戦を支持しない」
召集された会議の席で開口一番、草薙大佐がエドにむかって言ってきたことばがそれだった。エドはあまりにも逃げ道のない直接的な言い方が気に障った。反射的に言い返そうとしたが草薙はその反証を許さなかった。
「7回シミュレーションをやって7回とも失敗しました。どんなにゆるい設定やデータを持ち込んで検証しても、ヤマトタケルをどうやっても守りきれないんです」
「草薙大佐、あなたは地球上の電源を切断するという作戦の発案者だから、対案であるぼくの案が気にはないのでしょう?」
エドは草薙をにらみつけて反駁した。彼女は何も言わず、今回特別に会議への同席を許可された副官のバットーにアイコンタクトをとった。促されるようにバットーが口を開いた。
「エドさん、冷静に、いやニュートラルな気持ちで聞いてくださいよ。われわれ警備部のモンは、当初あんたの作戦をとても独創的で、唯一無二のユニークなモンだと前向きにとらえていたんだ。オレたちは襲ってくるか、来ねぇかわからねぇ敵のために、いついかなる時も気を張りつめてねぇといけねぇ。それがこちらから打って出ようっていうんだ。正直、草薙大佐はどうかわかんねぇけど、すくなくともオレは前のめりだったんだよ」
「ならどうして?」
「今の報告聞いたろ。あまりにも結果がよくなかったんだ。二回に一回、いや三回に一回でも、うまくいって光明の一つでも見いだせてりゃな。でも0じゃあさすがにあんまりだよ……」
バットーはそう言って言葉尻をにごした。
エドは警備部の連中が、自分たちの実力不足を棚にあげて、こちらの案を追いやろうとしていると感じた。エドはそのことをバットーに指摘してやろうと、口を開きかけたが、アスカが立ちあがってそれを遮ってきた。
「エド。あたしもこの作戦は反対よ。だってタケルが丸腰で、危機が迫っているかもしれないとわかっている状況で、あたしたちデミリアン・パイロットがそれを気にせずに戦えると思ってる?。いくらあたしが優秀だとしてもそれは無理よ」
アスカはエドに一方的に意見を投げつけて座りかけたが、思いだしたようにレイの方を見てつけ加えた。
「ここにいるレイはもっと無理だけどね!」
そこで全員がおし黙まり気まずい空気が支配しはじめた。ミサトがそれに耐えきれなくなったのか、誰かれかまわずに訴えはじめた。
「で、けっきょくどうするのが正解なの?」
ミサトの視線が全員の頭上をひとしく流れていく。
だが、エドだけはあからさまに避けていた。結局、その視線は最終的には春日リンのうえに行き着いた。リンはそれをあらかじめ想定していたのだろう。
すぐさま自分の意見をのべはじめた。
召集された会議の席で開口一番、草薙大佐がエドにむかって言ってきたことばがそれだった。エドはあまりにも逃げ道のない直接的な言い方が気に障った。反射的に言い返そうとしたが草薙はその反証を許さなかった。
「7回シミュレーションをやって7回とも失敗しました。どんなにゆるい設定やデータを持ち込んで検証しても、ヤマトタケルをどうやっても守りきれないんです」
「草薙大佐、あなたは地球上の電源を切断するという作戦の発案者だから、対案であるぼくの案が気にはないのでしょう?」
エドは草薙をにらみつけて反駁した。彼女は何も言わず、今回特別に会議への同席を許可された副官のバットーにアイコンタクトをとった。促されるようにバットーが口を開いた。
「エドさん、冷静に、いやニュートラルな気持ちで聞いてくださいよ。われわれ警備部のモンは、当初あんたの作戦をとても独創的で、唯一無二のユニークなモンだと前向きにとらえていたんだ。オレたちは襲ってくるか、来ねぇかわからねぇ敵のために、いついかなる時も気を張りつめてねぇといけねぇ。それがこちらから打って出ようっていうんだ。正直、草薙大佐はどうかわかんねぇけど、すくなくともオレは前のめりだったんだよ」
「ならどうして?」
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バットーはそう言って言葉尻をにごした。
エドは警備部の連中が、自分たちの実力不足を棚にあげて、こちらの案を追いやろうとしていると感じた。エドはそのことをバットーに指摘してやろうと、口を開きかけたが、アスカが立ちあがってそれを遮ってきた。
「エド。あたしもこの作戦は反対よ。だってタケルが丸腰で、危機が迫っているかもしれないとわかっている状況で、あたしたちデミリアン・パイロットがそれを気にせずに戦えると思ってる?。いくらあたしが優秀だとしてもそれは無理よ」
アスカはエドに一方的に意見を投げつけて座りかけたが、思いだしたようにレイの方を見てつけ加えた。
「ここにいるレイはもっと無理だけどね!」
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だが、エドだけはあからさまに避けていた。結局、その視線は最終的には春日リンのうえに行き着いた。リンはそれをあらかじめ想定していたのだろう。
すぐさま自分の意見をのべはじめた。
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