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第三章 第二節 魔法少女大戦
第328話 ケイはいつもうかつな物言いが多すぎる
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アルはレイの唐突の質問の意味がわからなかったので、数字をとりあえず並べ立てた。
「量のことなら、そう、30ガロン、110リットルってとこかな。これで五体のデミリアンの戦闘4回から5回分。ウィッチ・ソードなら、まぁ100万本くらいってとこだ」
「なによ、4回分じゃあ、まだ足りないじゃないのさ」
アスカが呆れ返った声をあげた。たまらずケイが言い訳をする。
「もちろん。そのあとの分も手配済です。安心してください。火星からの輸送に時間がかかるので、常に精製してスタンバイしています。ただ、今回はウィッチ・ソードに使ったため、少々ひっぱくしているのです」
「われわれの分、デミリアンの使用量は問題ないのですか?」
クララは事態の切実さをすぐさま感じ取ったらしかった。
「あ、えぇ。そちらの確保を最優先にしているため、ウィッチ・ソードは1000本しか製造できなかったのです」
そうケイは弁明したが、それがまるで自分たちを正当づけようとしているように聞こえたのだろう、草薙大佐がおもむろに口を開いた。
「では、デミリアンの使用量を減らしたら、何本作れたのかしら?」
アルはこころのなかで舌打ちをした。
ケイはいつもうかつな物言いが多すぎる——。
テレパス・ラインで脳に直接どなりつけてやろうかという気に駆られたが、アルはよけいな摩擦を引き起こしたケイに、自分で責任をとらせることにした。
「あ、いや、その……」
ケイが目で訴えかけていた。脳内ではテレパス・ラインの着信を知らせるアラートが鳴っている。必死で助けを乞うているのだろう。
「いえ……。そうですね。机上の数字ですが、たぶん20万本くらいは。でもそうすると、今度はデミリアンの体液が不足しますから、そんなには……」
「そういうことね……」
草薙が満身でせわしく弁明するケイを、はた目から見てもゾッとする目つきで睨みつけてから、口元だけ緩めて言った。
「わかったわ。ありがとう」
「あ、いえ……。すみません。でも『GW素子』は数年前に喪失事件があってから、慢性的に……」
「ケイ!!」
アルは反射的に大声でどなりつけたが、すでに遅かった。いままで口を開くこともなくずっと黙り込んでいたヤマト・タケルが即座に反応した。
「アル、喪失事件ってなんのことだ?」
アルは天を仰いだ。気持ちを整える。
「すまねぇな。これはこちらの専権事項だから、おまえは知らなくていいことになっている」
「だが知りたい。これはぼくたちデミリアン・パイロットにとって、生き死ににかかわる重要な事項だと思う」
「量のことなら、そう、30ガロン、110リットルってとこかな。これで五体のデミリアンの戦闘4回から5回分。ウィッチ・ソードなら、まぁ100万本くらいってとこだ」
「なによ、4回分じゃあ、まだ足りないじゃないのさ」
アスカが呆れ返った声をあげた。たまらずケイが言い訳をする。
「もちろん。そのあとの分も手配済です。安心してください。火星からの輸送に時間がかかるので、常に精製してスタンバイしています。ただ、今回はウィッチ・ソードに使ったため、少々ひっぱくしているのです」
「われわれの分、デミリアンの使用量は問題ないのですか?」
クララは事態の切実さをすぐさま感じ取ったらしかった。
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そうケイは弁明したが、それがまるで自分たちを正当づけようとしているように聞こえたのだろう、草薙大佐がおもむろに口を開いた。
「では、デミリアンの使用量を減らしたら、何本作れたのかしら?」
アルはこころのなかで舌打ちをした。
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「あ、いや、その……」
ケイが目で訴えかけていた。脳内ではテレパス・ラインの着信を知らせるアラートが鳴っている。必死で助けを乞うているのだろう。
「いえ……。そうですね。机上の数字ですが、たぶん20万本くらいは。でもそうすると、今度はデミリアンの体液が不足しますから、そんなには……」
「そういうことね……」
草薙が満身でせわしく弁明するケイを、はた目から見てもゾッとする目つきで睨みつけてから、口元だけ緩めて言った。
「わかったわ。ありがとう」
「あ、いえ……。すみません。でも『GW素子』は数年前に喪失事件があってから、慢性的に……」
「ケイ!!」
アルは反射的に大声でどなりつけたが、すでに遅かった。いままで口を開くこともなくずっと黙り込んでいたヤマト・タケルが即座に反応した。
「アル、喪失事件ってなんのことだ?」
アルは天を仰いだ。気持ちを整える。
「すまねぇな。これはこちらの専権事項だから、おまえは知らなくていいことになっている」
「だが知りたい。これはぼくたちデミリアン・パイロットにとって、生き死ににかかわる重要な事項だと思う」
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