いつか日本人(ぼく)が地球を救う

多比良栄一

文字の大きさ
310 / 1,035
第三章 第一節 魔法少女

第309話 今のはなに?。いつのまに攻撃をしかけた?

しおりを挟む
 魔法少女たちの別の隊列が真上にむかって人の壁をつくって待ちかまえていた。

 空中で仰向けにねそべったような状態で、真上から急襲してきた戦闘機をむかえうつ。機銃とレーザー砲が一斉に発射される。
 だが、魔法少女たちはその上空にむけて『移行領域トランジショナル・ゾーン』の傘を展開していた。レーザー砲や銃弾はそのまま魔法少女たちのからだをすり抜け、さらにその下にあるイオージャのからだも通り抜け、地上にあるビル数棟と空中回廊を破壊した。
 奇襲は空振りになったが、ヤマトの操る無人戦闘機はすぐさま次の攻撃態勢に移っていた。戦闘機は次のヒット&アウェイのため急旋回にはいる。
 だが、そこまでだった。
 戦闘機は急カーブを描いて上昇しようとしたところで、突然まるで分解したように、ばらばらとパーツが外れはじめたかと思うと、爆発した。

 今のはなに?。いつのまに攻撃をしかけた?。
 
 レイは魔法少女の今の攻撃になにかとんでもない違和感を覚えた。
 そう、まるで文字通り『魔法』を見せられたような感覚。
 さきほどデミリアンにむけて電撃を浴びせたのとはあきらかに異質の攻撃。これはあのフーディアムに現れた魔法少女が、アンドロイド兵や人間を吹き飛ばしたときにも感じた違和感——。

 だがレイにその肌感覚の差異について、思考を巡らせている時間はなかった。
 次の5機は縦一列のトレイル編隊で、ビルの合間を縫うような超低空飛行で魔法少女の群れを横からついた。が、この戦闘機は正面にむけてビームもミサイルを打ち込むこともしなかった。
 ただ魔法少女の群れのなかに突っ込んでいった。
 マッハのスピードで真正面から次々と飛込んでくる戦闘機に、魔法少女たちの『魔法』は間に合わなかった。が、同時に『移行領域トランジショナル・ゾーン』の壁は魔法少女たちに、一切のダメージを与えることもなかった。
 5機の戦闘機が魔法少女の壁をすり抜けた。魔法少女たちがすぐにうしろを振り向いて、背後から『魔法』をふるおうとステッキをふりあげる。その瞬間、魔法少女のまわりで小規模の爆発がおきた。広範囲にわたって時間差で爆発をしていく。どうやらすり抜ける瞬間に、ステルス空中爆弾を空中にまき散らしていたらしい。
 魔法少女たちが張った『移行領域トランジショナル・ゾーン』のベールの内側で爆発したいくつかの爆弾が、数人の魔法少女はばらばらに吹き飛ばした。
 空から血塗れになった魔法少女の各部位が、血飛沫ちしぶきとともに落ちてくる。
「よし!」
 ヤマトの弾むような声が聞こえた。

 レイは魔法少女たちはヤマトに任せることにして、すこしでもこの場所から離れようとセラ・サターンを動かそうとした。だが、先ほどイオージャを貫いた時に腕に力をこめた反動か、今度は腕にちからがうまくはいらなかった。どこかの腱を痛めたのかもしれない。それでもビルの窓に指を這わせながら、方向を転換して横の大通りのほうへからだを移動させる。
「レイ、まずい!。早く逃げてくれ」
 ふいに飛込んできた声は、エドの声だった。それまでまったく存在感がなかったのを帳消しにしようとでもするように、ひと一倍大きな声でエドが叫んでいる。
 レイはすぐに自分の背後のカメラに目をむけた。

 イオージャがこちらに背中を向けようとしている姿が目にはいった。

『まるで「スカンク」っていう生き物の攻撃みたい』

 たしか、自分はそのとき、そういう感想を漏らした。 
 レイはイオージャのその動作がなにを意味しているのか、自分がどれほど抜き差しならない状態に追い込まれようとしているのか、すぐに悟った——。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。

wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。 それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。 初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。 そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。 また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。 そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。 そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。 そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

処理中です...