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第二章 第二節 電幽霊(サイバー・ゴースト)戦
第239話 ヤマトは『ドラゴンズ・ボール』を見つめた
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ヤマトは階段を駆け上がりながら、貴重な時間をずいぶんうしなったことに苛立っていた。理想通りいったなら今ごろ『ドラゴンズ・ボール』を奪取して、この危険な階層からの移動をしていたはずだ。もしかしたら、国連軍の武装戦を沈めるなどという無謀な作戦は中止させて、レイもユウキもひきあげさせているかもしれない。
さきほど、内側から半魚人に襲いかかられた入り口がある階まであがってくると、クララがすぐそばの空中に逆さまに浮いたまま待機していた。
「タケルさん大丈夫ですの?」
「ああ、クララ、心配かけた。アスカの光の矢に助けられた」
「ええ。わたしも身を持って知ってますわ」
「なにがあった?」
クララはなにも言わずに下のほうを指さした。ヤマトはその指さす方向、自分の頭上をみあげた。
そこにおおきな穴がぽっかり空いていた。
その入り口は、ひとがひとり通れる程度だったが、その上の穴は数人まとめて通れるほどだった。
「アスカさんが言うには、狙いが狂った……だそうですわ」
クララはさりげなく言ったが、自分がここまで駆けあがっている最中に、二人の間でなにかがあったのだと、なんとなく悟った。
「ずいぶん、またすごく狙いが狂ったもんだな。きみは大丈夫だったのか?」
「えぇ。まぁ……。それよりタケルさん。はやく中へ」
クララがすこしばつが悪そうな顔で先を急がしてきたので、ヤマトはそのおおきな穴の縁に手をかけて、塔の中に足を踏み入れた。
塔の内部は直径十メートルほどの空間で、その内周には外階段とおなじような形で、螺旋階段が設えられていた。ただ外階段にあったような鎖の防護柵や手摺りはない。
足を踏み外せば、間違いなく真っ逆さまにおちてしまう。階段の横幅は一メートル程度はあったが、万が一ここで戦いを強いられたら、その幅では体をかわすことすら困難だ。
ヤマトは下を見おろした。
百メートルほど下に煌々と光を放つ物体があった。
目がくらむ光のせいではっきり見えなかったが、それが『ドラゴンズ・ボール』であることに間違いなかった。ボールは塔の内径の真ん中に浮いていた。
モンスターどもがいない——。
ヤマトは階段を降りようとして、すぐにその違和感に気づいた。目で見えないだけではない。気配そのものが感じられなかった。さきほど突然、この塔のなかから襲いかかられたことを考えると、一抹の痕跡もなく消えうせていること自体が不自然すぎる。
ヤマトは入り口から顔をだして、そとにいるクララに声をかけた。
「クララ。モンスターが一匹もいない」
「一匹も?」
「あぁ、不自然すぎる。きみの霊覚でそこから探れるか?」
「それなら、あの大きな穴からなかを覗いてみます」
クララはそう言うなり、アスカが空けた大穴にむかった。ヤマトはそれを目で追いながら自分のすこし上の穴を見あげた。すぐにクララは穴から顔を覗かせたが、ほぼそれと同時に大きな声で叫んできた。
「タケルさん。ほんとうになにもいませんわ!」
「きみの霊感でも、なにも感じられないんだね」
「えぇ。すくなくとも、今、この穴の近辺には電幽霊の霊気のようなものはありません。もしかしたらアスカさんが全部退治されたのではないですか?」
このエリアの電幽霊を完全に駆逐——?。
ヤマトは楽感的な考え方は好きではなかったが、今ここで逡巡している時間はなかった。
これは楽観的ではなく、前向きの考え方だ——。
ヤマトは踊り場から一歩踏み出し、慎重に階段を降りはじめた。不測の襲撃だけは避けたかったので、手のひらは内壁に吸い付かせるようにして、指でレンガをまさぐりながら歩を進めた。
階段を降りていくに従って、光の輝きが強くなってきた。それと同時に光る物体の全体像もしだいにはっきりと見えてくる。ヤマトがその光る物体が『ドラゴンズ・ボール』と認識できる距離まで近づく。
手を伸ばせば、手に掴めそうなところまで来て、実はどんなに頑張っても手が届かないことに気づいた。直径十メートルほどの内径の中心に浮いているのだから、どこから手を伸ばしても五メートルは離れているということだ。
ヤマトは『ドラゴンズ・ボール』を見つめた。二百年ほど前まであった『ベースボール』という球技で使われていたボールほどの大きさ。その表面に六個の星マークが記されている。デジタルデータに変換されて、元の容器とは異なるが、これが『ドラゴンズボール』であることに間違いはなかった。手に収まるようなサイズ感にアイコン化されているが、実際は数エクサバイト(テラバイトの100万倍)分のデータの塊だ。
どうやってこれを手にする——。
ジャンプして掴もうとしても、この狭い階段から助走なしで、ボールに飛びつくのはリスクが高かった。誤って一番下まで落下してしまっては、損傷によるマナの減数も深刻だろうし、ふたたび大きく時間のロスをもたらせてしまう。
陸エリアとちがって、この海エリアでは現実の人間の身の丈レベルの力しかもてないのだから、そうなる可能性はきわめて高い。
現実と等身大ではないのは、剣さばきや格闘の腕前が達人しベルなことと、マナがなくならなければ、死なないということくらいだ。
ふいにヤマトはアスカが開けた大穴を思いだした。ヤマトはテレパシーを使った。
「クララ、今、どこにいる?」
「タケルさん。先ほどの大穴のそばで待機していますわ」
「クララ、君に無理させたくないんだが、その穴からこの塔の中を下降するのはできないだろうか。もちろん塔のどんな場所に絶対ふれないという条件で」
「タケルさん。塔の内部の情報を教えてください?」
「塔の内部の直経は十メートル。内周に螺旋階段があるが、それ以外に塔の中には何もない。その塔の中心部にドラゴンボールが浮いている。手をのばしても届かない。飛びついてもとれるかどうかわからない」
クララはすぐに返事を返してこなかった。
突然、クララが沈思黙考したことで、ヤマトは自分がクララに無茶な要求をしてしまったのではないかと感じた。時間を費やしてしまった思いに、性急が過ぎてしまったのか。
「今、いきます」
ヤマトは顔を上にむけた。すぐ間近にある『ドラゴンズ・ボール』が放つ光が邪魔して、見づらかったが、はるか頭上からなにかが降りてきているのが見えた。
「タケルさん、下で光ってるその光ですね」
「あぁ、ぼくはそのすぐ近くにいる」
セイはそう言いながら、周りの様子に変化がないか気を配った。クララを危険な場所に飛び込ませたのだ、細心の注意をはらわねばならない。
しばらくしてクララの姿が見えてきはじめた。
ダイバーが垂直降下で潜ってきているような姿勢で、脇目もふらずに自分のほうだけを見つめて降りてきている。こちらの顔がみえて安堵したように見える。
「タケルさん」
「クララ、悪いね。危険だが、これが一番てっとり早いという判断をした」
クララの顔がヤマトの顔のすぐ間近でとまった。クララの顔がヤマトとは逆向きのまま見つめあう。クララの表情がすこし戸惑ったものに変わった。
「あのぅ……、このあとどうすれば……」
ヤマトはクララの目の前に手をさしだした。突然、顔の真ん前に差し出された手に、クララはすこし面食らった様子でじっとヤマトの手を見つめた。
「ぼくをひきあげて、あの『ドラゴンズ・ボール』のところまで連れていってくれ」
さきほど、内側から半魚人に襲いかかられた入り口がある階まであがってくると、クララがすぐそばの空中に逆さまに浮いたまま待機していた。
「タケルさん大丈夫ですの?」
「ああ、クララ、心配かけた。アスカの光の矢に助けられた」
「ええ。わたしも身を持って知ってますわ」
「なにがあった?」
クララはなにも言わずに下のほうを指さした。ヤマトはその指さす方向、自分の頭上をみあげた。
そこにおおきな穴がぽっかり空いていた。
その入り口は、ひとがひとり通れる程度だったが、その上の穴は数人まとめて通れるほどだった。
「アスカさんが言うには、狙いが狂った……だそうですわ」
クララはさりげなく言ったが、自分がここまで駆けあがっている最中に、二人の間でなにかがあったのだと、なんとなく悟った。
「ずいぶん、またすごく狙いが狂ったもんだな。きみは大丈夫だったのか?」
「えぇ。まぁ……。それよりタケルさん。はやく中へ」
クララがすこしばつが悪そうな顔で先を急がしてきたので、ヤマトはそのおおきな穴の縁に手をかけて、塔の中に足を踏み入れた。
塔の内部は直径十メートルほどの空間で、その内周には外階段とおなじような形で、螺旋階段が設えられていた。ただ外階段にあったような鎖の防護柵や手摺りはない。
足を踏み外せば、間違いなく真っ逆さまにおちてしまう。階段の横幅は一メートル程度はあったが、万が一ここで戦いを強いられたら、その幅では体をかわすことすら困難だ。
ヤマトは下を見おろした。
百メートルほど下に煌々と光を放つ物体があった。
目がくらむ光のせいではっきり見えなかったが、それが『ドラゴンズ・ボール』であることに間違いなかった。ボールは塔の内径の真ん中に浮いていた。
モンスターどもがいない——。
ヤマトは階段を降りようとして、すぐにその違和感に気づいた。目で見えないだけではない。気配そのものが感じられなかった。さきほど突然、この塔のなかから襲いかかられたことを考えると、一抹の痕跡もなく消えうせていること自体が不自然すぎる。
ヤマトは入り口から顔をだして、そとにいるクララに声をかけた。
「クララ。モンスターが一匹もいない」
「一匹も?」
「あぁ、不自然すぎる。きみの霊覚でそこから探れるか?」
「それなら、あの大きな穴からなかを覗いてみます」
クララはそう言うなり、アスカが空けた大穴にむかった。ヤマトはそれを目で追いながら自分のすこし上の穴を見あげた。すぐにクララは穴から顔を覗かせたが、ほぼそれと同時に大きな声で叫んできた。
「タケルさん。ほんとうになにもいませんわ!」
「きみの霊感でも、なにも感じられないんだね」
「えぇ。すくなくとも、今、この穴の近辺には電幽霊の霊気のようなものはありません。もしかしたらアスカさんが全部退治されたのではないですか?」
このエリアの電幽霊を完全に駆逐——?。
ヤマトは楽感的な考え方は好きではなかったが、今ここで逡巡している時間はなかった。
これは楽観的ではなく、前向きの考え方だ——。
ヤマトは踊り場から一歩踏み出し、慎重に階段を降りはじめた。不測の襲撃だけは避けたかったので、手のひらは内壁に吸い付かせるようにして、指でレンガをまさぐりながら歩を進めた。
階段を降りていくに従って、光の輝きが強くなってきた。それと同時に光る物体の全体像もしだいにはっきりと見えてくる。ヤマトがその光る物体が『ドラゴンズ・ボール』と認識できる距離まで近づく。
手を伸ばせば、手に掴めそうなところまで来て、実はどんなに頑張っても手が届かないことに気づいた。直径十メートルほどの内径の中心に浮いているのだから、どこから手を伸ばしても五メートルは離れているということだ。
ヤマトは『ドラゴンズ・ボール』を見つめた。二百年ほど前まであった『ベースボール』という球技で使われていたボールほどの大きさ。その表面に六個の星マークが記されている。デジタルデータに変換されて、元の容器とは異なるが、これが『ドラゴンズボール』であることに間違いはなかった。手に収まるようなサイズ感にアイコン化されているが、実際は数エクサバイト(テラバイトの100万倍)分のデータの塊だ。
どうやってこれを手にする——。
ジャンプして掴もうとしても、この狭い階段から助走なしで、ボールに飛びつくのはリスクが高かった。誤って一番下まで落下してしまっては、損傷によるマナの減数も深刻だろうし、ふたたび大きく時間のロスをもたらせてしまう。
陸エリアとちがって、この海エリアでは現実の人間の身の丈レベルの力しかもてないのだから、そうなる可能性はきわめて高い。
現実と等身大ではないのは、剣さばきや格闘の腕前が達人しベルなことと、マナがなくならなければ、死なないということくらいだ。
ふいにヤマトはアスカが開けた大穴を思いだした。ヤマトはテレパシーを使った。
「クララ、今、どこにいる?」
「タケルさん。先ほどの大穴のそばで待機していますわ」
「クララ、君に無理させたくないんだが、その穴からこの塔の中を下降するのはできないだろうか。もちろん塔のどんな場所に絶対ふれないという条件で」
「タケルさん。塔の内部の情報を教えてください?」
「塔の内部の直経は十メートル。内周に螺旋階段があるが、それ以外に塔の中には何もない。その塔の中心部にドラゴンボールが浮いている。手をのばしても届かない。飛びついてもとれるかどうかわからない」
クララはすぐに返事を返してこなかった。
突然、クララが沈思黙考したことで、ヤマトは自分がクララに無茶な要求をしてしまったのではないかと感じた。時間を費やしてしまった思いに、性急が過ぎてしまったのか。
「今、いきます」
ヤマトは顔を上にむけた。すぐ間近にある『ドラゴンズ・ボール』が放つ光が邪魔して、見づらかったが、はるか頭上からなにかが降りてきているのが見えた。
「タケルさん、下で光ってるその光ですね」
「あぁ、ぼくはそのすぐ近くにいる」
セイはそう言いながら、周りの様子に変化がないか気を配った。クララを危険な場所に飛び込ませたのだ、細心の注意をはらわねばならない。
しばらくしてクララの姿が見えてきはじめた。
ダイバーが垂直降下で潜ってきているような姿勢で、脇目もふらずに自分のほうだけを見つめて降りてきている。こちらの顔がみえて安堵したように見える。
「タケルさん」
「クララ、悪いね。危険だが、これが一番てっとり早いという判断をした」
クララの顔がヤマトの顔のすぐ間近でとまった。クララの顔がヤマトとは逆向きのまま見つめあう。クララの表情がすこし戸惑ったものに変わった。
「あのぅ……、このあとどうすれば……」
ヤマトはクララの目の前に手をさしだした。突然、顔の真ん前に差し出された手に、クララはすこし面食らった様子でじっとヤマトの手を見つめた。
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