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第一章 最終節 決意
第146話 リンは、人生で最大の快哉を心の奥底で叫んだ
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「ひかるぅぅぅ!!!」
轟音とともにプルートゥの手のひらが、ブライトの上から叩きつけられた時、春日リンは声にもならない声をあげて、雨の中に駆け出していた。今、目の前で見た光景には、希望のひとかけらもなかった。だが駆け寄らずにはいられなかった。
ただの人間には興味がない——。
だからリンは人の生き死に対する感情もぞんざいだった。
だが今、目の前でプルートゥに叩き潰された人間は、自分にとって『ただの男』ではなかった男だ。
何年前だったろうか……。
ブライトとはイギリスでクラブ歌手をやっていた時に出会った。高級クラブではなかったが、国際連邦軍の軍人御用達で名をはせたクラブだった。
リンが歌い終えて客席の方へ挨拶に降りていった時、ブライトの方から声をかけてきた。彼はほかの軍関係者と同様、所属がひと目でわかるよう軍服を着ていた。軍服は何よりも人々の注目を集め、女性に言い寄るための小道具なのだから当然だ。この場所に平服で来るほうがどうにかしている。
「君、いい歌だったよ」
「どうも。ほかのお客様には今いちだったようだけどね。ほら、オールドスタイルのジャパニーズ・ソングだったから」
「そうかい。ボクにはどれも懐かしくて心にしみたけど……」
えぇ、そうでなくては困る。あなたの好みを知るのに、どれだけの費用がかかったことか。おかげでほかのお客から総スカンだ。
「ありがとう。私はリン、ミア・メイ。これでも半分は日本人。リンって呼んで」
「そうか、リン。ぼくは一条輝《いちじょうひかる》。生粋の日本人だ」
「あなた、国連軍の士官ーー」
リンはブライトの胸元にわざとらしく視線をむけながら言った。ブライトはその視線に気付いて、おなじようにわざとらしく胸の軍章を確認した。
「ああ。そうだとも。世界を守っている一員だよ」
「へえー。この間もマルセイユに現れた亜獣のせいで、大量の犠牲者がでたってきいたけど……」
リンが皮肉交じりにブライトを煽った。
このおとこはそういうプライドを刺激する物言いに、あからさまに反応する。
報告書からの分析では、そうあった。
「あぁ、そうだな。5000人以上の犠牲がでた」
「全然、守れているとは言えないんじゃないかしら?」
「残念だよ。あの司令官はいつもデミリアンをうまく使いこなせてない。初動が遅すぎる。し、NATO軍との連携がなってない」
「あら、まるであなただったら、うまくやれるみたいじゃない?」
「自信はある。今、日本支部への配属を請願中だ」
「日本支部?。あなたがデミリアン部隊を率いるの?」
「あぁ、ぼくがこの手で世界を守ってみせるつもりた」
リンはあからさまなビジネススマイルをして見せた。
「へー、すごいわね」
「期待してもらいたい。まぁ、まだ配属は確定してないんだがね」
にこやかな笑みを貼りつけていた、リンの表情がすっと真顔になった。
「軍人さん。あなた、デミリアン、各機の勝率は言える?」
「勝率?」
「各機の歴代パイロットの名前と経歴、現在の名機のパイロットの名前は?」
「なんだい。やぶから棒に……」
「旗鑑「セラ・ムーン」。パイロットは日本直江《やまと・なおえ》、『セラ・マーキュリー』には副官の敦午鉄也《つるご・てつや》、セラ・マーズには17才の神名朱門《かみな・あやと》。まともに戦えるのはこの三機のみ」
「いや、しかしデミリアンは今、五体稼働している……」
「えぇ、そうね。たしかに子供たちが、この殺戮に参加している。茆目 愛《えんま・あい》、12歳。セラ・ヴィーナス、パイロット。そして、最後の一機セラ・ジュピターにはまだ9歳の少年が乗ってる。指揮官の日本 直江《やまと・なおえ》の一人息子、日本託慧月《やまと・たける》がね」
リンは一気にまくしたてた。つけ入る隙をいっさい与えない。この男は押しに弱い。特に高圧的な女性が好み……。それも調査済だ。
「ず、ずいぶん詳しいんだな」
気圧された様子のブライトに、リンには挑戦的な目をむけた。
「詳しい?」
「えぇ、詳しいってものじゃないわ。どれだけの期間、MITでデミリアンの研究に没頭してきたと思うの?。科学誌に発表した論文も10や20じゃない……」
「私はデミリアンに世界一詳しい。そう自負してる」
「な、なら……、ど、どうして、こんなところで歌手を?」
ブライトはリンの気迫に飲まれていたが、なんとかそれを払拭しようとして、当然といえる疑問をリンに投げかけてきた。その声色には疑念が混っていた。
あぁ、その質問を待っていた。
リンは目の前のテーブルに置かれたブライトの酒に、やにわに手を伸ばすと、承諾もなしに、くっと呷るなり言った。
「飽きたからよ」
「飽きた?」
「えぇ。実物にほとんど触れる機会のない研究、実戦で活かせもしない成果、採用もされない画期的な戦術……、もうそんな現実に飽き飽きしたの」
リンはブライトの目を見すえて訴えた。
ここが勝負どころ……。
「私はあなたのように『たられば』で語ってるわけじゃない。私はそれだけの時間を費した。あなたがデミリアンを指揮して、人々を救ってみせるという自信以上に、私は戦いを優位に進める自信がある。だけど、私にはそれを活かせるチャンスに恵まれなかった」
「だから、私はあきらめて、『リ・プログラム』を受けて、まったく違う、あたらしい人生に足を踏み出すことにしたの……」
ブライトがごくりと唳をならした。
こちらがちらつかせた餌に、いまにも食いつきそうだ。
「リン……」
ブライトはゆっくりと口を開いた。
「その話、別の場所でゆっくり聞かせてもらえないだろうか……」
リンは、人生で最大の快哉を心の奥底で叫んだ、その時のことを今も鮮明に憶えている。
あの時から、自分の本当の人生がはじまったのだ。それはブライトという男なしには実現しえなかったことだ。うまく策に嵌まってくれたことも含めて感謝している。
目の前の光景をふさいでいたプルートゥの手のひらがふいに持ちあがった。ハッとしてプルートゥの方を見ると、うしろからアスカのセラ・ヴィーナスが襲いかかるところだった。リンは反射的になにかアスカにむかって声をあげた。自分でもなにを言ったかは覚えていない。プルートゥの手のひらがあった場所に、倒れているブライトの姿に目を奪われていた。
「輝!!」
雨にじっとりと濡れた白衣が体にまとわりついて走りにくかったが、リンは全力でブライトの元へ駆けよった。
ブライトはからだを「くの字」に曲げて横臥していた。彼のからだの回りをさっと回し見る。血や体液があたりに流れ出している様子はない。見えている範囲内では、どこにも外傷をおっているような部分は見て取れない。ただ、なにかぬめっとした粘液があたりにまき散らされており、それらの多くはブライトの体の上にも大量に付着していた。
これは何?。
ふいにブライトが呻いた。
生きてる!!。
リンはブライトの脇に膝をついて、体をゆさぶった。
「輝、大丈夫?」
ブライトがゆっくりと目をひらいた
「リン……か……」
「輝、大丈夫なの?、痛いところない?」
「大丈夫だ、怪我はない。リョウマが……最後の瞬間、わたしを助けてくれた」
「リョウマが?」
「手のひらが直撃するギリギリで、プルートゥは指をおおきく開いてぼくのからだを避けた。私は指の又と又の間でかすり傷ひとつ負わずにすんだ」
「偶然じゃなくて?」
「いや、リョウマの声が聞こえた……」
苦笑いらしい表情をブライトが浮かべた。
「あいつ……、わたしに言付けを頼んできたよ」
「本当に?。まだ自我があるってこと?。だったら、リョウマをまだ救えるかもしれないじゃない!」
希望に思わず声を張ったリンの顔を見あげながら、ブライトは弱々しく首を横にふってみせた
「それはもう……。リン、君が一番良くわかってるはずだろ。この世で一番あいつらに詳しいんだから……」
リンはブライトに弱々しく笑ってみせた。
「ええ、そうね……」
ブライトは首を反対にむけると、プルートゥのうしろ姿を見ながらつぶやいた。
「それに、たとえ救いだせたとしても、リョウマは自分の罪を一生背負って生きてはいけやしない」
リンはブライトの顔に手をあてながら言った。
「そうね。それは……、あなたのほうが詳しい……」
轟音とともにプルートゥの手のひらが、ブライトの上から叩きつけられた時、春日リンは声にもならない声をあげて、雨の中に駆け出していた。今、目の前で見た光景には、希望のひとかけらもなかった。だが駆け寄らずにはいられなかった。
ただの人間には興味がない——。
だからリンは人の生き死に対する感情もぞんざいだった。
だが今、目の前でプルートゥに叩き潰された人間は、自分にとって『ただの男』ではなかった男だ。
何年前だったろうか……。
ブライトとはイギリスでクラブ歌手をやっていた時に出会った。高級クラブではなかったが、国際連邦軍の軍人御用達で名をはせたクラブだった。
リンが歌い終えて客席の方へ挨拶に降りていった時、ブライトの方から声をかけてきた。彼はほかの軍関係者と同様、所属がひと目でわかるよう軍服を着ていた。軍服は何よりも人々の注目を集め、女性に言い寄るための小道具なのだから当然だ。この場所に平服で来るほうがどうにかしている。
「君、いい歌だったよ」
「どうも。ほかのお客様には今いちだったようだけどね。ほら、オールドスタイルのジャパニーズ・ソングだったから」
「そうかい。ボクにはどれも懐かしくて心にしみたけど……」
えぇ、そうでなくては困る。あなたの好みを知るのに、どれだけの費用がかかったことか。おかげでほかのお客から総スカンだ。
「ありがとう。私はリン、ミア・メイ。これでも半分は日本人。リンって呼んで」
「そうか、リン。ぼくは一条輝《いちじょうひかる》。生粋の日本人だ」
「あなた、国連軍の士官ーー」
リンはブライトの胸元にわざとらしく視線をむけながら言った。ブライトはその視線に気付いて、おなじようにわざとらしく胸の軍章を確認した。
「ああ。そうだとも。世界を守っている一員だよ」
「へえー。この間もマルセイユに現れた亜獣のせいで、大量の犠牲者がでたってきいたけど……」
リンが皮肉交じりにブライトを煽った。
このおとこはそういうプライドを刺激する物言いに、あからさまに反応する。
報告書からの分析では、そうあった。
「あぁ、そうだな。5000人以上の犠牲がでた」
「全然、守れているとは言えないんじゃないかしら?」
「残念だよ。あの司令官はいつもデミリアンをうまく使いこなせてない。初動が遅すぎる。し、NATO軍との連携がなってない」
「あら、まるであなただったら、うまくやれるみたいじゃない?」
「自信はある。今、日本支部への配属を請願中だ」
「日本支部?。あなたがデミリアン部隊を率いるの?」
「あぁ、ぼくがこの手で世界を守ってみせるつもりた」
リンはあからさまなビジネススマイルをして見せた。
「へー、すごいわね」
「期待してもらいたい。まぁ、まだ配属は確定してないんだがね」
にこやかな笑みを貼りつけていた、リンの表情がすっと真顔になった。
「軍人さん。あなた、デミリアン、各機の勝率は言える?」
「勝率?」
「各機の歴代パイロットの名前と経歴、現在の名機のパイロットの名前は?」
「なんだい。やぶから棒に……」
「旗鑑「セラ・ムーン」。パイロットは日本直江《やまと・なおえ》、『セラ・マーキュリー』には副官の敦午鉄也《つるご・てつや》、セラ・マーズには17才の神名朱門《かみな・あやと》。まともに戦えるのはこの三機のみ」
「いや、しかしデミリアンは今、五体稼働している……」
「えぇ、そうね。たしかに子供たちが、この殺戮に参加している。茆目 愛《えんま・あい》、12歳。セラ・ヴィーナス、パイロット。そして、最後の一機セラ・ジュピターにはまだ9歳の少年が乗ってる。指揮官の日本 直江《やまと・なおえ》の一人息子、日本託慧月《やまと・たける》がね」
リンは一気にまくしたてた。つけ入る隙をいっさい与えない。この男は押しに弱い。特に高圧的な女性が好み……。それも調査済だ。
「ず、ずいぶん詳しいんだな」
気圧された様子のブライトに、リンには挑戦的な目をむけた。
「詳しい?」
「えぇ、詳しいってものじゃないわ。どれだけの期間、MITでデミリアンの研究に没頭してきたと思うの?。科学誌に発表した論文も10や20じゃない……」
「私はデミリアンに世界一詳しい。そう自負してる」
「な、なら……、ど、どうして、こんなところで歌手を?」
ブライトはリンの気迫に飲まれていたが、なんとかそれを払拭しようとして、当然といえる疑問をリンに投げかけてきた。その声色には疑念が混っていた。
あぁ、その質問を待っていた。
リンは目の前のテーブルに置かれたブライトの酒に、やにわに手を伸ばすと、承諾もなしに、くっと呷るなり言った。
「飽きたからよ」
「飽きた?」
「えぇ。実物にほとんど触れる機会のない研究、実戦で活かせもしない成果、採用もされない画期的な戦術……、もうそんな現実に飽き飽きしたの」
リンはブライトの目を見すえて訴えた。
ここが勝負どころ……。
「私はあなたのように『たられば』で語ってるわけじゃない。私はそれだけの時間を費した。あなたがデミリアンを指揮して、人々を救ってみせるという自信以上に、私は戦いを優位に進める自信がある。だけど、私にはそれを活かせるチャンスに恵まれなかった」
「だから、私はあきらめて、『リ・プログラム』を受けて、まったく違う、あたらしい人生に足を踏み出すことにしたの……」
ブライトがごくりと唳をならした。
こちらがちらつかせた餌に、いまにも食いつきそうだ。
「リン……」
ブライトはゆっくりと口を開いた。
「その話、別の場所でゆっくり聞かせてもらえないだろうか……」
リンは、人生で最大の快哉を心の奥底で叫んだ、その時のことを今も鮮明に憶えている。
あの時から、自分の本当の人生がはじまったのだ。それはブライトという男なしには実現しえなかったことだ。うまく策に嵌まってくれたことも含めて感謝している。
目の前の光景をふさいでいたプルートゥの手のひらがふいに持ちあがった。ハッとしてプルートゥの方を見ると、うしろからアスカのセラ・ヴィーナスが襲いかかるところだった。リンは反射的になにかアスカにむかって声をあげた。自分でもなにを言ったかは覚えていない。プルートゥの手のひらがあった場所に、倒れているブライトの姿に目を奪われていた。
「輝!!」
雨にじっとりと濡れた白衣が体にまとわりついて走りにくかったが、リンは全力でブライトの元へ駆けよった。
ブライトはからだを「くの字」に曲げて横臥していた。彼のからだの回りをさっと回し見る。血や体液があたりに流れ出している様子はない。見えている範囲内では、どこにも外傷をおっているような部分は見て取れない。ただ、なにかぬめっとした粘液があたりにまき散らされており、それらの多くはブライトの体の上にも大量に付着していた。
これは何?。
ふいにブライトが呻いた。
生きてる!!。
リンはブライトの脇に膝をついて、体をゆさぶった。
「輝、大丈夫?」
ブライトがゆっくりと目をひらいた
「リン……か……」
「輝、大丈夫なの?、痛いところない?」
「大丈夫だ、怪我はない。リョウマが……最後の瞬間、わたしを助けてくれた」
「リョウマが?」
「手のひらが直撃するギリギリで、プルートゥは指をおおきく開いてぼくのからだを避けた。私は指の又と又の間でかすり傷ひとつ負わずにすんだ」
「偶然じゃなくて?」
「いや、リョウマの声が聞こえた……」
苦笑いらしい表情をブライトが浮かべた。
「あいつ……、わたしに言付けを頼んできたよ」
「本当に?。まだ自我があるってこと?。だったら、リョウマをまだ救えるかもしれないじゃない!」
希望に思わず声を張ったリンの顔を見あげながら、ブライトは弱々しく首を横にふってみせた
「それはもう……。リン、君が一番良くわかってるはずだろ。この世で一番あいつらに詳しいんだから……」
リンはブライトに弱々しく笑ってみせた。
「ええ、そうね……」
ブライトは首を反対にむけると、プルートゥのうしろ姿を見ながらつぶやいた。
「それに、たとえ救いだせたとしても、リョウマは自分の罪を一生背負って生きてはいけやしない」
リンはブライトの顔に手をあてながら言った。
「そうね。それは……、あなたのほうが詳しい……」
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