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キラクラの戦い/開戦

第78話「出迎え」

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ギャー

レポマンデ「この声は、マレアンデ隊のやつらか?
何が起こってる?!」
 
レポマンデは、テントの外に出ると信じられない光景が広がっていた。
 

ヤナコナの第二陣にたどり着く前に、
マレアンデ隊の者達が倒れ、立っているのはマレアンデのみだった。
 
その先には、異国の装いをした男がヤナコナ達の後ろに控えていた。
 
レポマンデ「・・一体何が?」
 
 
-数時間前 バルディビア本陣-
アルデレテ「バルディビア様、原住民の長達に友好関係を結ぶ使いを出したとか?」
 
バルディビア「うむ、戦わないに越した事はないであろう。」
 
アルデレテ「やつらは乗ってきますかね?」
 
バルディビア「アルマグロ派だった者達の話によると
奴らはかなりの蛮勇らしい。
突っぱねてくる可能性が高いかも知れぬな。」
 
オロ「この丘に陣取ったのは、上策ですな。
仮に奇襲してきた所で私たちの元へはすぐ辿りつけますまい。」
 
アルデレテ「とは言え、前線には備えさせておく必要がありますな。」
 
ネイラ「ならば、前線の守備は私めが引き受けましょう。
60名ほどヤナコナを駆り出してくだされ。」
 
アルデレテ「なんと60名足らずでなんとする?」
 
ネイラ「もちろん大軍で攻めてくるならば、本陣の方へ救援を求めます。」
 
アルデレテ「しかし、ヤナコナ達とネイラ殿だけで望むおつもりか?
そんなに貴殿は腕が立つのか?」
 

ネイラ「いえ、300名たらずであれば、私1人いれば十分でございます。」
 
バルディビア「ほう、興味深いのぅ。
面白い!
戦場のマエストロの腕前拝見させて頂こう。」
 
ネイラ「ただ条件がございます。
ヤナコナの選定において、30名は戦に不向きな使い捨ての者達で構いません。
残りの30名は力仕事に向いてる者達を用立ててくださいませ。」
 
アルデレテ「?」
 
オロ「ネイラよ、あれをやるのだな。」
 
ネイラ「はい、集めた情報から鑑みて
上手くハマる事でしょう。」
 
バルディビア「何が始まるのかのぅ。
楽しみだわ。」
 

-バルディビア陣営麓-
マレアンデはヤナコナを隔てて、ネイラと対峙していた。
 
ロン「マレアンデ様に加勢にいかなくては!!」
 
レポマンデ「待て、ロン!」
 
レポマンデ兵「マレアンデ様ー!」
 
マレアンデ「来るな!!
私は大丈夫だ!
お前達はさっさと回収して、撤退しろ!」
 

ネイラ(ほう、兵数の優位はあちらにあるのに撤退を選ぶか
あの指揮者は蛮勇ではないのか?
我が仕掛けの脅威を察した、
あるいは他の目論見があるのか?)
 
レポマンデ「何が起きてるんだ?!
ん?あれは・・?」
 
レポマンデはヤナコナの第二陣の前に無数の穴が空いているのに気付いた。
 
レポマンデ「落とし穴か?」
 
また、穴に落ちてない死体には、四方八方から矢が突き刺さっていた。
 
レポマンデ「弓隊を潜ませていたのか、
・・しかし何処へ?
ヤナコナ達は斧しか持っておらぬぞ。」
 
ロン「レポマンデ様、あれ見てよ!」
 
死体の山の両脇には沢山の柱が設置してあった。
その柱は無数の矢を放つ様な仕掛けが施されている様だった。
 
レポマンデ「そういう事か。
あやつらは、一陣の兵をわざと弱兵にして勢いづかせたのか?
深く入り込ませたとこで、
罠で殲滅させたという所か。」
 
ロン「マレアンデ様もかすり傷を負ってるよ。」
 
レポマンデ「あのマレアンデすら、傷を負うとは
侮れん仕掛けだ。」
 
ロン「マレアンデ様を助けに行かなきゃ。」
 
レポマンデ「いや、あいつが大丈夫と言ってるんだ。
俺たちは任務を全うしよう。」
 
レポマンデはそういうと、鉄製の兜を抱えて撤退の指示始めた。
 
マレアンデ(よし、そろそろ動くか。)
 
マレアンデは後退を始めた。
 
ネイラ(ふむ、再び浴射ポイントに入ったな。)
 
ネイラは手を挙げた。
 
ニナ「撃て!」

一斉にマレアンデに柱の装置の矢が襲いかかった。
また、中央から無数の斧が飛んできている。
 
マレアンデ「舐めるなよ!」
 
マレアンデは走りながら槍を回転させ
矢や斧を弾いている。
 
(これはまだ良いか・・)
ネイラは小銃を眺めながら呟いた。
そして、側にある槍を手にし投げた。
 
ヒュルルー
 
投げ槍は綺麗なスパイラルを描きながら、マレアンデに真っ直ぐ向かって行く。
 
マレアンデ(しまった!!)
 
投げ槍はマレアンデの心臓に真っ直ぐに進んでいる。
 
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