上 下
18 / 31
伝説の鳥

第18話「幻影の試練」

しおりを挟む
ピリャンの精霊「こやつらは幻影、ここに来た者達の姿を投影しておる。」
 
ナウエルは次々と襲いかかるインカ(タワティンスーユ)兵を、手にしたセンコンで難なく制圧していく。

 
ピリャンの精霊「ここで命を落とした者は30名。」
 
インカ(タワティンスーユ)兵に加え、矢が四方八方から飛んできた。
 
ナウエルはセンコンで矢をはたき落としながら進む。
 
さらに、左右の岩壁からは斧が手足を狙って切り掛かってきた。
 
ナウエル「よっ、おっと!」
 
ナウエルは全ての仕掛けを鮮やかに躱して進んでいった。
 
ピリャンの精霊「何たる身の軽さ。傷一つ負わぬとは・・」
 
ナウエル「良い運動になったよ。」
 
ナウエルは、さらに奥へ進んだ。
 
ナウエルの目線の先には、こちらを見ている何者かが鎮座していた。

 
ピリャンの精霊「これで最後だ。
ここを乗り越えた者は、今まで1名。」
 
ビリビリとした覆い被さる様な圧が迫ってくる。
 
ナウエル「これは・・今までの奴らとはまるで違う。」

ナウエルは気を引き締める様に、センコンを握り返した。
 
金色の斧が頭上に高く輝き、ナウエルの想定を超えるスピードで振り下ろされた。
 
ナウエルに躱わす暇はなく、攻撃をセンコンで受け止めるしかなかった。
 
ゴン!
 
ナウエル「父さん並みに重い一撃だ。
このセンコンでなければ・・」
 
大男は間髪入れずに攻撃を繰り出してきた。
 
しかし、一発目の攻撃で既に目が慣れたナウエルは、攻撃を受けずに躱わし始めた。
 

1歩、2歩、3歩人間技とも思えない動きで、大男との間合いを詰めいく。
 
お互いが無傷では済まない間合いまで、近づくとナウエルの動きが変化した。
 
彼は岩壁を利用しながらあらゆる方向から攻撃を仕掛けた。
 
大男は身を翻し、仰け反り、時折金の斧で攻撃を捌く。
 
ナウエル「体格の割に身のこなしが軽い。
けど・・エルネイと比べたら・・」
 
ピリャンの精霊「ほう。貴様は、これほどの者と対峙するのは、初めてではないな。」
 

大男の咆哮が轟き、洞窟の壁に無限に反響するかの様に響き渡る。
 
大男の連続攻撃は凄まじく、息をつく間もなく無尽蔵に繰り出されていく。
 
最後の一撃は、これまでの攻撃の中で最も鋭く、空気を裂く音が「ビュオッ!」と鳴り響いた。
 
ナウエルもそれに呼応するかの様に渾身の一撃を繰り出す。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

大和型戦艦4番艦 帝国から棄てられた船~古(いにしえ)の愛へ~

花田 一劫
歴史・時代
東北大地震が発生した1週間後、小笠原清秀と言う青年と長岡与一郎と言う老人が道路巡回車で仕事のために東北自動車道を走っていた。 この1週間、長岡は震災による津波で行方不明となっている妻(玉)のことを捜していた。この日も疲労困憊の中、老人の身体に異変が生じてきた。徐々に動かなくなる神経機能の中で、老人はあることを思い出していた。 長岡が青年だった頃に出会った九鬼大佐と大和型戦艦4番艦桔梗丸のことを。 ~1941年~大和型戦艦4番艦111号(仮称:紀伊)は呉海軍工廠のドックで船を組み立てている作業の途中に、軍本部より工事中止及び船の廃棄の命令がなされたが、青木、長瀬と言う青年将校と岩瀬少佐の働きにより、大和型戦艦4番艦は廃棄を免れ、戦艦ではなく輸送船として生まれる(竣工する)ことになった。 船の名前は桔梗丸(船頭の名前は九鬼大佐)と決まった。 輸送船でありながらその当時最新鋭の武器を持ち、癖があるが最高の技量を持った船員達が集まり桔梗丸は戦地を切り抜け輸送業務をこなしてきた。 その桔梗丸が修理のため横須賀軍港に入港し、その時、長岡与一郎と言う新人が桔梗丸の船員に入ったが、九鬼船頭は遠い遥か遠い昔に長岡に会ったような気がしてならなかった。もしかして前世で会ったのか…。 それから桔梗丸は、兄弟艦の武蔵、信濃、大和の哀しくも壮絶な最後を看取るようになってしまった。 ~1945年8月~日本国の降伏後にも関わらずソビエト連邦が非道極まりなく、満洲、朝鮮、北海道へ攻め込んできた。桔梗丸は北海道へ向かい疎開船に乗っている民間人達を助けに行ったが、小笠原丸及び第二号新興丸は既にソ連の潜水艦の攻撃の餌食になり撃沈され、泰東丸も沈没しつつあった。桔梗丸はソ連の潜水艦2隻に対し最新鋭の怒りの主砲を発砲し、見事に撃沈した。 この行為が米国及びソ連国から(ソ連国は日本の民間船3隻を沈没させ民間人1.708名を殺戮した行為は棚に上げて)日本国が非難され国際問題となろうとしていた。桔梗丸は日本国から投降するように強硬な厳命があったが拒否した。しかし、桔梗丸は日本国には弓を引けず無抵抗のまま(一部、ソ連機への反撃あり)、日本国の戦闘機の爆撃を受け、最後は無念の自爆を遂げることになった。 桔梗丸の船員のうち、意識のないまま小島(宮城県江島)に一人生き残された長岡は、「何故、私一人だけが。」と思い悩み、残された理由について、探しの旅に出る。その理由は何なのか…。前世で何があったのか。与一郎と玉の古の愛の行方は…。

鈍亀の軌跡

高鉢 健太
歴史・時代
日本の潜水艦の歴史を変えた軌跡をたどるお話。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

戦国の華と徒花

三田村優希(または南雲天音)
歴史・時代
武田信玄の命令によって、織田信長の妹であるお市の侍女として潜入した忍びの於小夜(おさよ)。 付き従う内にお市に心酔し、武田家を裏切る形となってしまう。 そんな彼女は人並みに恋をし、同じ武田の忍びである小十郎と夫婦になる。 二人を裏切り者と見做し、刺客が送られてくる。小十郎も柴田勝家の足軽頭となっており、刺客に怯えつつも何とか女児を出産し於奈津(おなつ)と命名する。 しかし頭領であり於小夜の叔父でもある新井庄助の命令で、於奈津は母親から引き離され忍びとしての英才教育を受けるために真田家へと送られてしまう。 悲嘆に暮れる於小夜だが、お市と共に悲運へと呑まれていく。 ※拙作「異郷の残菊」と繋がりがありますが、単独で読んでも問題がございません 【他サイト掲載:NOVEL DAYS】

処理中です...